働かないアリに意義がある

 「徹子の部屋」制作委員会『「徹子の部屋」の30年 あの名場面をもう一度』読了、★★★★。10年前の30周年記念本を、昨年の(世間的・私的)徹子ブームをきっかけに購入。アーカイブとしての充実は特集本(ムック)に全放送回の出演者リストが纏められる等する40周年を待たねばならないが、大人数を短く切り取ったスターのトークダイジェストは読み所多し。あと、大正~昭和の大女優の言葉遣いの美しさには襟を正される思いがしますね。

 本日は、制度を無視して勝手に行う、高1現代文第4.5回定期テスト。授業進度が早く、各定期テストの試験範囲が膨大になることを懸念して、折り返し地点で1回テストを行ってしまうというイベントです。0.5回で出題した文章は正式な定期では出題せず、その得点を平常点として加味するに留める作戦。という訳で、第4回以降の授業で扱った3種類の文章を、本日1限に全クラス横並びで出題。
 同じ時刻に、高3の二次対策テスト会が行われており、本日は11時過ぎに高1の答案が200枚、高3漢文の答案が50枚、まとめてどん! とやって来ました。ので、昼以降はガッシガシに採点・添削三昧。高1は明後日、高3は明日の朝に答案を返却します(高3の添削は終了、高1は進捗40%まで)。

 夜は「もりき」で牡蠣しゃぶ。〆は豆腐で、生姜をたっぷり使って出汁にはとろみをつけて貰いました(餡かけみたいな感じ)。

有能奴隷根性 Oh Yeah 小銭勘定

 本日の高1は外部模試受験、英国90分、数学100分の3教科。業務が監督だけになるので比較的気が楽です。放課後には高1の担任会議。

 進路指導室で、国語の問題を事務嬢さんから受け取るとき、何気なく1ページ評論問題の文章冒頭をチラ見したら「ウェーバー」「国家」「暴力」の語。
 私「あぁ、萱野稔人かぁ」
 嬢「凄い、一瞬で分かるんですか?」
 私「国語教師なら、人気の書き手は分かりますよ」
 嬢「やっぱり、読書の量が違うから?」
 私「違う違う。ジュンク堂のせい」
 嬢「?」
 私「表紙が見えるように本を棚に並べることを『面陳列』っていうんですけど、人文学書の売り場で面陳列された本に進学校予備校の教師はふらふらと」
 嬢「おびき寄せられる」
 私「日本中の模試と高校入試って、全部ジュンク堂が作ってるんですよ」

 数学の監督中。「1から5までの整数が1つずつ書かれた、赤、青、黄のカードが5枚ずつある。この15枚を袋に入れ、同時に3枚を取り出す。3枚とも異なる色を取り出し、かつ、赤に書かれた数をa、青をb、黄をcとおくとき、a≦b≦cとなる確率を求めよ」という確率の問題が白紙の生徒が多いのに目眩がする。
 あのさ、「コンビネーション15の3」だよ? 分母、3桁(455通り)だよ? 数えろやっ!
 と、「1024までなら数えられる教」の信者であるところの元F校生はお冠なのでした。
 実際この問題、(a、b、c)=(1、1、1)(1、1、2)(1、1、3)……と書き出したら結局35通りしかなく5分もありゃ解ける問題です。同窓同僚数学にその話をしながら。
 私「数えりゃ5分じゃないか。数えたって点はくれるんでしょ?」
 同「当然。その代わり、1つでも数えあげ損ねたら0点で、部分点はない。っつーか数えんなよ。頭悪いぞ」
 私「賢く0点よりゃ馬鹿な満点の方がマシだわ。合格してナンボでしょ?」
 同「数えて合格できる問題作るような大学を狙うならね」
 以下、具体的大学名を挙げたやり取りは、略。

 夜は「もりき」で鴨刺し。今年の猟期も15日で終わりなのでその前にちょっとした贅沢。仲良しの中3英語先生はこの鴨がお気に入り、今年も行こうと誘われていたので、近くお声がけをしよう。

偶然なんか待てないよ

 5時入り職員室で授業準備・高3浪人生答案添削・担任業務。始業まで3時間半は、3時間を仕事、30分を珈琲ブレイクに充て、珈琲を飲む間はPC室で日記の更新。
 先週、高1学年内でインフルエンザがプチ流行して、A組も女子生徒2人が出席停止になりました(二人とも合唱部だったのですが、そこでうつったのかな)。明日が外部模試受験の日だったのでそれが受けられなかったら可哀想だと思っていたのですが、何とか医者の許可が下りて二人とも明日には復帰できるということに。安堵。

 最近の学級日誌(日直感想)に書いてあったのですが、クラス内で本の貸し借りが行われるようになったとのこと。未知だった本に触れる、或いは友達に好きなジャンルの本を貸す、という「贈与の環」が出来るのならばそれこそが学びの共同体、担任が勧めた訳でもなくそんな環が広がっているのならば、彼ら、大したもんなんじゃないでしょうか。

 本日は高1の現代文が5コマ。7限授業の日は、SHRと掃除とが終わったら既に17時を回っています。3時起床の人間にとっては17時と言ったら深夜を間近の体内時計、既にちょっとおねむなんですね。
 さて、自宅に帰って軽くシャワーを浴び、本日の夜はどこで何を食べようか(行きつけ「もりき」は店休)、と考える私の持ち物であるところのスマートフォンが震える。何ぞと思って画面を見たら、高2担任団体育先生からのメールで「19時からK市で7人なんだけど、良い店ない?」と。

 高2、本日が3泊4日のスキー研修最終日で、北海道から福岡・K市に帰還。で、まさか、その引率慰労打ち上げ会場を当日の開宴1時間前に押さえろと来たか。店休居酒屋の多い月曜の夜に難題を吹っかけるよねぇ。他の学年の先生なら最低でも前日には連絡をくれるんですけれども、流石体育先輩、井上順~高田純次ユースケ・サンタマリア大泉洋、と連なる適当男の系譜を継ぐ者、帰りのバスで思い立ってメールですからね。
 こういうのは電話攻勢よりは歩いて直接店を覗いていくに限る、と自宅前のバス停から西鉄へ向かいながら体育先生とメールのやり取り。参加者とか食べたいものとか、そういうのを色々聞き取りながら店の候補を考えます。●●先生が居るなら洒落た雰囲気の店は回避とか、確かジンギスカンを食べる日があるとか言ってたから焼肉は無しとか。

 西鉄から街中のアーケードを歩きつつ外から色々な店の混雑を覗いて回って、結局繁華街の海鮮居酒屋「U」に。店内12人のテーブル席が空いていて助かりました。顔なじみの店主さんに「7人大丈夫ですか?」と聞いたら「仕込みの都合で1時間後なら」と正に高2のための返事が返って来ました。
 私自身は、そこから徒歩2分の野菜料理「B」で読書独酌。帰りに「U」に寄って15分ほどご挨拶、ビールを1杯と突き出しだけ。

 腹ごなしに30分の徒歩で帰宅。健康睡眠。

毎日毎日僕等は一般の

 昨日生命保険の件でお世話になった英語パイセンお母様、から1冊の文庫を託けられた私。そう言えば、パイセンは最近お母様から山本周五郎を推されていると仰有っていました。で、「どうかこれを娘に」と頼まれたその本が『小説 日本婦道記』。確かに読みやすい短編集で入門には打って付け且つ間違いなく著者の代表作の一つ(直木賞辞退)、なんですけれども独身アラフォータラレバ娘に肉親からこの本は無言の圧力。母怖い。

 午前中は掃除その他細々とした家事、昼前から出勤して授業準備や学級通信の作成など。ご家庭の事情で急遽明日の年休を取られる先生が出たという連絡が入ってきたので、高1の授業5クラス分をカットして全クラス7限→6限に変更する時間割パズル、これは過去に4年間やった仕事ですので杵柄の余裕。明日の時間割変更に関しては、一応、各クラスの担任の先生方に電話で連絡(休み中の電話は本当は避けたいんですが……携帯電話の善し悪しですよねぇ)。その際、パイセンにはお母様から託けられた本があるということもお伝え。「ありがと。楽しみ」「ですねぇ」

 出張・研修時に温かい飲み物をという動機でサーモスをご購入の母君ですが、電話で話したら結局一度も使っていないということ。「池ノ都くん(←二人称)にあげましょうか?」 何故と訊ねたら、コンビニのホットコーヒーを買ったら充分だからだというお話。
 母君は私など足元に届かない「日常性の維持」の権化、買い物のスーパー・ドラッグストアは3ヶ所を守りその外に出ることはなく、コンビニに入ることも(文字通り)皆無。以前、サーモスをどのように使おうかという話をした時に、コンビニでホットコーヒーをお求めになって移しかえればどうでしょうか? と私が提案をしてコンビニコーヒーの存在を知ったご様子で、曰く「研修所徒歩1分の所でホットコーヒーが買えるなら保温をする必要がない」という結論に至ったとのこと。
 私の持っているもの(63回生Nくんママからのプレゼント)とは色違いらしいから、戴きましょうかね。

贈与の環が動くとき霊力が動く

 本日は高1現代文の授業が3コマ、生徒は半ドンでしたが私は天神に移動して64回生2人(文系Sくん・理系Iくん)と慶應小論文の指導面談。更にその後、10年間加入している生命保険に関する説明を受けるために、生保レディであるところの英語パイセン女子のお母様とお会いしました。
 具体的には、新天町「ドトール」でSくん1時間、Iくん1時間と入れ替わり面談(私は14時~16時の2時間滞在)。隣の席には61回生文系Dくんがおられ院試勉強、ご挨拶だけ。「ドトール」を出てからジュンク堂で時間を潰し、その後でパイセンママと待ち合わせの喫茶店。

 10年前。
 パイセンに突然、「池ノ都くん、明日、私のお母さんに会ってくれない? 印鑑持参で」と言われました。「付き合ってもないのに結婚しろというセクハラ」かとビクビクしながらお会いしたら、お母様は生保レディでいらして「問答無用で生命保険に加入させられるというパワハラ」でした。
 あれから10年。
 加入から10年経った生命保険による貯蓄その他がどうなっているかの説明をする必要がとパイセンに促され、10年ぶりにお母様とお会いし、その場で新しい保険に加入する流れに。「いえ、これは強制ではなくですね、私が準備して参りましたこの紙にサインするだけでいいんです。10年前と違って今は印鑑も要らないんですよ」と即決。あれよあれよの展開で、辛うじて私の死亡保険金の受取人名義がパイセンになっていないかを確認するので精一杯でした。

 天神出張(出張、というか趣味ですけど)の帰りは二日市下車で焼き鳥「月空」。今日は、マスターであるところの63回生Mくんパパ、のご家族が(Mくん本人以外)カウンターにいらしたのでご挨拶。
 高須克弥『行ったり来たり 僕の札束』読了、★★★。著者には、夫を亡くした西原理恵子を励ます際に彼女の息子を指差し「人間は遺伝子の船」と言ったという有名なエピソードがありますが、お金に対するスタンスもその言葉に通じるものがありそう。莫大な金が著者の身体を通り過ぎて行く、(滅茶苦茶に働きながら)その金の流れに身を委ねつつ他人を救い他人に救われる。豪快さに目が行きがちですが、よく考えたらこれは極めて人間としてプリミティブな生き方にも思えますね。

歩こう この道の先の明日を まずは今を

 本日は授業2コマ、合間に高3・卒業生(64回生)依頼の添削。2月は業務が割と詰まっていて、特に中旬あたりから添削が滞りがちになると思われます。予めお詫びをば。

 車の免許を取らなかった理由は、中学の時からF校の教員になると決めていたからです。K市内の移動はバスと自転車(当時。現在は徒歩)で良いですし、K市と天神間は西鉄電車、K市と実家の小倉間は高速バス(当時。現在は新幹線)がありますから車は不要だったのです。車があると移動仕事のある部活顧問に狙われるかもねと、これは同じく免許をお持ちでない国語科恩師先生から(高1の時に)ちらっと伺ったんですけれどもそれを覚えていたのも大きいかな。
 生徒から「なぜ車の免許を取らなかったのか」と聞かれたら「飲酒運転をするから」と答えています。ちょっと前までの生徒たちはあまり面白くない冗談で質問をかわされたと感じていた様子でしたが、最近は「ですよねぇ」と納得する勢力が出て来ました。この「なりすましブログ」の影響が確実に浸透してきているという証左なのでしょうか。

つくろうものではないはず お前は俺の処へ

 2日前の高3文系最終授業、で黒板の余白に大学生になった時の心構え(不可集)を書いたんですけれども、それを生徒の誰かが写メってTwitterにアップしたら2日で2000ファボ超の拡散をしたそうです。リツイートが回って来たという「手の者」から教えてもらったので、F校無縁のまっぴぃ・オツカル様にチェックしてもらいました。フォロワー90人の鍵垢の身ですから「そういうこと」は自分とは無縁と思っていたので、正直結構嬉しいです。どなたかは知りませんが、多謝。

 夜は「もりき」。土鍋で麻婆豆腐が食べたい、というグランドメニューガン無視のリクエストをしてたら早速準備してくれてました。固形燃料でぐつぐつの土鍋に豆腐・茄子。〆は春雨という麻婆フルコース。

これってあれじゃん

 2012年に発売されていた情報に少し乗り遅れたらあっという間に完売していた高橋徹也『夕暮れ 坂道 島国 惑星地球 高橋徹也 Ki/oon Records Years Best』が再発売されていたことを知りネット注文。付属のDVDにはシングル曲のPVに加えてTVスポットが全て収録されているんですね。高校時代に土曜深夜のTVで観て衝撃を受けた「シーラカンス」のCMがもう一度観られます。

 5時入り職員室で授業準備、担任業務、高3テスト会準備。
 今週から3週連続、水曜日が高3テスト会の国語の日です。今年の私は漢文担当なので楽。東大の文系・理系、九大文系の過去問を出題した答案が昼前に届くので、翌日朝までに添削をして返却BOXに入れます。一昨年度・昨年度(63・64回生)の時は高3現代文担当(63回生の時は漢文も担当)だったのでテスト会の採点も12時間以上かかりましたが、漢文だけなら瞬殺……っつっても、やっぱり2~3時間はかかるんですけれども。高1現代文授業が5コマあるので、その合間の空き時間に。

 斎藤美奈子『文庫解説ワンダーランド』読了、★★★★★。「批評の要諦とはひっきょう『これってあれじゃん』だと私は思っている」(p132)に膝、最も尊敬する批評家の一人からこの言を得ただけでこの本を読んだ価値はありました。この「批評」を「現代文」に変えたら私の職業観そのものになります。

何故、と言葉で君は求める

 比嘉史果『真昼の百鬼夜行(1)』読了、★★★。藤栄道彦『妖怪の飼育員さん』とやや被りますが、こちらの方が人間と妖怪との「解り合えなさ」への目端がきいているのと妖怪をより愛らしく描いているのが特長。

 本日、今年度の高3最終授業が終わりました(高3は本日が修了式で、3月1日卒業式まではテスト会他自由登校)。その終礼時、最後の最後の挨拶でチョークケースが手から滑り落ち中身が全て粉々に。し~ん……とする教室で、辛うじて「引力に従い進むべき方向に進んだチョークが皆さんの粉骨砕身を象徴するかのように!」と苦しい弁明、笑っては貰えましたけれども。
 高3の授業は、仕事量は多いですが楽しいです(勿論漢文より現代文の方が面白いですが、贅沢は言えませんね)。人事の幸運か、私は初めて担当した56回生以降、今年度の65回生までの(62回生を除く)全ての学年で高3の授業(現代文若しくは漢文)を担当させてもらっているのですが、同じ教材(過去問)を使って飽きることはありません。来年以降も、何らかの形で高3には関わりたいところ。勿論、現高1の担任団を来年以降持ち上がるなら、高3ではガッツリ入試現代文です。

ホカ ホカ プシュー

 私が『THE KIDS』を購入したと言ったら意外という顔をなさった英語パイセン女子、はずっと前からSuchmosのファンだそう(私がジャミロクワイと言ったらカニエ・ウェストと言え、と叱られました)。で、パイセンはその『THE KIDS』が余りお気に召さずにちょっと熱が冷めた口。4月の福岡ライブも逡巡なさっているそうですが、いずれ心が離れるかも知れないならその前に一度参戦を、とお薦め。
 私「鬼の英語教師もうgood night♪」
 英「永遠にお休みしたいの?」

 新久千映ワカコ酒(8)』読了、★★★★★。『タカコさん』の奥さん然り、本作のアベさん然り、ほんわかタッチの作者が描き出す「デキ女」は魅力的で、今巻はアベさんスピンオフが嬉しく。主人公がただ独りで飲んでぷしゅーと言うだけという偉大なる「日常性の維持」、に時々入る珍味系つまみに「おっ」と言わされ、たま~に入る番外編(アベさんの話や酒祭りの話)に「おおっ」と言わされ、メリハリもきいてますね(酒飲みなので贔屓目の評価かも知れません)。この作品、ドラマ版とアニメ版とも1話ずつチェックしたんですけれども、どちらも「ぷしゅー」ってはっきり口に出してましたね。
 本日、私の独り酒は2度目訪問の台湾料理「K」。生中・麻婆豆腐・餃子・ニラもやし炒め、の4点セットが1080円という衝撃プライス。読書は斎藤美奈子畠中恵。ぶしゅー。