酔いどれ女の 行き着く先は 知っちゃいないさ 夜鳴鳥

 本日は会議ウィークのエアポケット。拘束なしの状態で殆どの先生は「自研」なのですが、私は高1の落単芸人たちの追認課題監督のために出勤なのです……が、朝のワイドショーが面白すぎてリビングのソファーを離れることが出来ません。証人喚問のダイジェストが演芸、苦笑失笑哄笑冷笑嘲笑、笑いって色々バリエーションがあるのねぇ、と気づかされます。「事実は小説よりも奇なり。私が言っていることが正しくございます」 いや~、面白い。遅刻ぎりぎりまで粘りました。

 落単芸人は単位を回収しないと高2に進級することが出来ませんので、「どうせ高2では履修しない科目の勉強をなぜ今頃やらんといかんのだ」という不満を隠しもしないお生徒さんを、そら不満を隠すくらいの器用さがあったら単位落とすような不勉強に自らを陥れるこたないわなぁ、とか考えながらなだめたりすかしたり叱ったりして何とか終わらせるよう指導する必要があって何のためにそんな必要がというとそれは彼らの進級のためというのもあるけれども監督してるこっちの身にもなれよいい加減解放してくれよ俺この後飲み会あんだよというのもあるわけでして朝から始まった監督は続きに続いて夕方Hold On Me、放して。

 下校完了時刻の17時ギリギリまでかけて何とか最後の課題を終えたA組某氏、に「秒で下校準備しろ!」と命じ、終わる時刻を見計らって呼び出しておいたタクシーに二人で飛び乗る。西鉄K駅着は特急が発車する3分前。カードに1000円をチャージして改札を潜り階段を上り、何とか間に合った特急で1駅15分、二日市にて飲み会は63回生理系軍団。
 発案者は担任体育先生で、先生が3年間担任を持たれたHさんが今年2浪して九医に合格した(これは本当に頑張りました)お祝いに、お友達のTさん・Gくん・Nくんという医学部3人組を交えた飲み会をという流れ。「お前、幹事やれ」と体育先生に言われたので、お店は二日市の焼き鳥「G」。Gくん・Nくんはサッカー部の中核メンバーだったので、同じくサッカー部だったMくんのお父様が開かれたお店を選ぶのは流れとして自然です。
 私自身は理系・医学部の生徒とはそんなに深く関わっていない(センターの授業、現代文を週2回だけですね)ので、積もり積もった話があるという程ではないのですが、それでも中3時代にはNくんの担任をしたこともありましたし、懐かしいお話を色々……としながら二日連続でやらかした。泥酔直電芸人第2弾は、同じくサッカー部でこっちは文系Eくん@東京。「え、何? 何で?」と戸惑うEくんを無視して全員で電話リレー、の挙句4月8日に福岡帰省というEくんに「じゃあ、僕と体育先生と一緒に夜は飲み会ね!」ってだからなんで1軒消化するたびに1軒予約が増えんだよ。

三日で三歩 三歩進んで

 本日は、長い長い会議。高1担任団が集まって、一年間の総括と次年度の課題を話し合う密度の濃い時間(但し、正確に言えば、高1担任団と高2担任団とでは人数の増減や人間の入れ替わりがあるかも知れません。4月1日に新担任団が決定され動き出します)。
 学年会議というのは、その担任団によってガラッと雰囲気が変わります。63回生(高1~高3で担任)は仲良し集団の爆笑連打、64回生(高3で副担任)は馴れ合いはしないけれど主任英語先生のお人柄で全体が調和された穏やかな雰囲気、今の67回生(高1で担任)は英数担任が雰囲気を締めつつ主任地理先生を支える真面目一徹……なんですけれども、今日の会議は珍しくジョーク頻発で笑いの絶えないものでした。一年間が無事に終わったという安堵と、今の所は生徒が良い方向に育ってくれているという信頼との証左だと思っておきましょう(外進A組は勉強しろ)。

 さて、夜は年度末恒例の高1担任団慰労飲み会。会場は当然のように私が探して押さえて居酒屋「W」。15分前に店に着いて入り口で関守(会費徴収)をしつつ、急遽入った(63回生の面々との)明日の宴会の会場手配。で、慰労会和やか……の二次会でやらかしてもうた。
 二次会。主任地理先生、文系世界史先生、寮監英語先生、私、というメンバー。英語先生から「64回生の寮生は悪かったもんね~。特に外進A組が~」という話が出た瞬間に携帯に手が伸びて64回生Tくん@東京に電話。「今、きみ(外進高1A寮生)の悪口が教員宴会の俎上で、世界史先生(64回生文系担当)も寮監先生もいらっしゃるから、弁解してね~」とか訳の分からん無茶振りをした挙句、月末上京時に昼飲みをする約束まで強引に取り付ける。

 夜の飲み会で2軒を回ってる間に、飲み会の約束(予約)が2軒分ってどういうこっちゃねんという話でして。

ミスター梅介

 1ツイート140字。 
 【行きつけ「肉屋 一ノ剱」で、人生初の豚足に挑戦。揚げ出し。食感がダメだと勝手に決めつけていたんですが、あれですね、鯛カマの眼の部分みたいなコラーゲン。美味しかったです。私「いや~、人生って勉強の余地がまだまだありますね」 マスター「先生にそう言われると怒られてるような気がします」】

 午前中は会議。午後はデスクワーク(「落単芸人」たちを監督しながら)。途中、63回生我らが文系A組のTくん・Mくんが遊びに来られ。Tくんは仮面浪人を経て京大に合格おめでとう!
 M「でですね、私も実はこの春に合格致しまして」
 私「は? Mくん、仮面浪人してたっけ?」
 M「いえ。私は九大一筋なんですが、それとは別に福岡よしもとのオーディションに合格しまして。九大では4人目だそうです」
 私「……やっぱり、あんた、冒頭から面白いね。九大辞めるの?」
 M「いえ、法学部と二束のわらじを履くかを考えているところでして。社長も大学は辞めるなと」
 私「あぁ、同時進行できるわけね。アルバイトみたいなもんか。あれなの? 地方の報道番組で街頭インタビューしたり?」
 M「そういう仕事があればいいなぁ、と」
 私「Mくん、成人式の時にインタビューされて『福岡には美人がいない』ってフリップに書いて炎上したことあったよね?」
 M「よくご存知で。結構燃えました」
 私「あれの、インタビューする側に回るかも知れないんだ。あ、オーディションって、漫才?」
 M「はい。相方のご両親はノリノリなんですが」
 私「えっ、きみんとこが反対してんの?」
 M「私の父が慎重論を唱えておりまして」
 私「えっ、あの目茶目茶ノリの良いお父さんが? ここへ来てまさかのベテラン社会人的風格?(←無礼)」
 M「思い出作りのつもりが、合格するとは思わなかったので、今はちょっと返事を保留にしてもらってる段階です」
 私「ほうほう。で、コンビ名は?」
 M「『晩白柚』といいます」
 私「既に人力舎かどっかでデビューして引退してるコンビがいそうな名前だね」
 法と笑いと二足の草鞋、「そんな僕に本の紹介を是非」と言われたので、川島武宣『日本人の法意識』、末廣厳太郎『役人学三則』、若林正恭『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』をお勧めしました。福岡よしもとの社長からは博多華丸の著作を薦められたそうです(あれ、大吉だったかな)。

それを言っちゃあおしまいよ

 1ツイート140字。
 【山本夏彦が20世紀のコラムで「ある読者が『一炊の夢』は『一睡の夢』の誤字である字引を引いて書け、との手紙を寄越して来た」と言ってるのを読んで、SNSが普及するずっと前からクレーマーも糞リプ野郎も棲息していたことが分かった。みたいな経験をした時、人ってTwitterを開くのかしら。】

 朝の職員室で、63回生担任だった数学先生の大笑い。何事ですかと近づいたら見せられた新聞広告は、某予備校が1面をでかでかと占拠した春の風物詩、そのポスターに写る3人の予備校出身者のうち1人はあらお懐かしや九大医学部Sくんじゃござんせんか。私「別段変顔してる訳でもありませんが、笑いの理由は?」 数「ここ読んで下さいよ、こいつふざけてますよ」 言われてポスターの横に載っている3人の鼎談記事を読んでみますと、Sくん曰く高3時に文化祭副責任者の重責を引き受け時間が取れなかったために浪人した、と。「こいつほざきやがった!」と私も大笑い。多分予備校側の編集で本人は不本意なのかも知れませんが、「それを言っちゃあおしめぇよ」を軽々飛び越えてかなりの良い根性感あふれる発言になっていましたんで、私「今度直で言い訳を聞かせて頂きたいところですな」 数「ですよ」

 本日は9時~12時で会議。
 高1の生徒の中には、進級は出来るけれども定期テストの5回平均が赤点だった(単位を落とした)科目の単位を回収しないといけない生徒が少なからずいます(A組にすらいます)。そんな「落単芸人」たちは、本日以降単位の回収が終わるまで毎日登校。回収方法は科目によって追試・課題・補修と様々ですが、まぁとにかく春休みなんて暢気なことほざいてんじゃねぇ、という身分は共通していらっしゃるわけでして。彼らに言いたいことは一言です。「監督が面倒臭ぇ」

 監督を兼ねて職員室でデスクワーク。結局夕方まで学校を離れられず。夜は「もりき」で湯豆腐。

ドミノ ドミノ 帰れ我が胸に

 柳沢幸雄『18歳の君へ贈る言葉』読了、★★★。開成校長で東大名誉教授ですから、「君」と呼ばれる想定読者(reader)が勝ち組(leader)予備軍に偏向しているこの内容も致し方ないですね。
 でもって、高野りょーすけ『現役東大生が1日を50円で売ってみたら』読了、★★★。開成校長で東大名誉教授の柳沢幸雄『18歳の君へ~』と並行して読んでこちらの方が面白かった。「一流」の学生を対象にした本からは「お呼びでない」と呼ばれた「一留」の学生が、50円何でも屋企画での体験を綴ったblogを書籍化。読み物のクオリティとしてはネットでも話題になった冒頭(発達障害の子供との数学話)頼みの感は否めないですが、他者多様を鏡にした筆者の自省の記録として好意的に読めば。

 春休みに入っていきなり曜日感覚が鈍るきっかけを作ってくれる祭日。昨日同様、誰に命じられることもない休日出勤で粛々とデスクワーク。流石に5時入りはしていませんが。
 生徒には、入試本番の日にこなすべきスケジュール、即ち何時に起きて何時から何時まで心身が最もよく働く状態でいるべきかということを考えろ、とよく言います。簡単に言えば、7時までに目覚めて9時17時にいちばん頭が良い身体ですね。人間は習慣の動物ですから、身体というものも一朝一夕では作れない、ということは入試の前日にその身体になっておかないといけない、ということは入試の前々日にその身体に……というドミノが今日のこの日まで倒れてくるという想像、これに入試の何日前何ヶ月前何年前に気づくかで生徒の合否は決まります。有名な「今でしょ」というフレーズも、要するにこういうことを仰っているのではないか、と推察。

 一日一食、本日は贅沢にも「梅の花」単品注文。こないだ久しぶりに行ったらやっぱり美味しくて感動したので、今日はそのお代わりです。

煮込んでしまえば 形もなくなる もうすぐ出来上がり

 よしたに『理系の人々(6)』読了、★★★。発売当時の『オタリーマン』を最初に読んだ感想は「この人はオタクなんじゃなくて理系なだけじゃないか」というもので、実際10年経った今ではこの『理系の』の方が筆者の名刺になってますね。

 ANATAKIKOU『3.2.1.○』、★★★★★。私が好きな松浦さん成分が漏れなく出尽くされている印象。例えば「雨がやんだら」とか「悲しくはないさ」とかに通じる「直球の切なさで胸を抉るぞ!」みたいなキラーチューンはないんですけれども、10曲36分という時間(この短さがまた良い)の中に1秒も弛みがない正にスルメアルバム。中盤「恋はマゼンタ」~「救世主とカンツォーネ」という4曲のザッツANATAKIKOUな流れなんて、あぁこれなら5年待てるわ、というね。それにしても、フルアルバムが発売されるなんて、そのこと自体が本当に嬉しい(前にも書きましたが大事なことなんで2度言いました)。

 7時起床、入浴、家事。クリーニング屋経由で出勤してデスクワーク。今日以降は校内に生徒不在(「男く祭」の準備でぼちぼち来るんでしょうが)、独りで好き放題仕事が出来る至福の日々(勿論、平日は会議がぎゅうぎゅう詰まっていますが)。
 今日の仕事の核は、刷る・折る・詰める紙の仕事、打つ・読むPCの仕事、という3時間。これには一切頭を使う必要がありませんので、手と眼だけをそちらの作業に集中させて、その間の脳はA組51人の通知表所見にどんなことを書こうかという方面に使用。この所見を書く作業、面倒臭いと仰る担任の先生は少なくないんですけれども、私はもう楽しくて仕方ないんですよね。喩えは悪いしそもそも私は炊事をしないので正しいのかも解らないんですが、多分、主婦がありものを工夫して料理するのに近いことをやってるんだと思います。
 隠し味のスパイスに何を入れるか、51回楽しめますね。例えば、部活充実成績優秀の文武両道で普通なら褒めて終わり、みたいな生徒なんだけれども一点だけ欠点があってSHRで基本横向いてるから教員からの情報感受能力に多少難あり、みたいな生徒がいるとしますでしょ?(某くん、例えに使ってごめ~んね)その生徒が、全てにおいて成功している定期テストで唯一「英丙」というリスニングオンリーの試験「だけ」失敗してる、みたいなデータを見つけた時のニンマリ感、と言えば解って頂けますでしょうか。

忘れない忘れない あの目をあの手をあの日を

 本日、修了式。明日からの春休みを経て、いよいよ67回生も文理別のクラス(内進・外進が混じったクラス)に分かれることになります(高2以降はクラス替えはありません)。要するに、本日が高1A最後の日で、今日を以てクラスは解散と相成るわけです。

 が、とは言うものの、今日は単なる「修了式」なのであって別に「卒業式」などではないのです。それなのに。

 「池ノ都先生 Thanks for teaching!」

 と中央に大書された黒板。紙テープで作った鎖が黒板上部に装飾され、中央の謝辞の周りにはA組メンバーたちの寄せ書き(担任やクラスへの思い)がどっから持ってきたんだというカラフルなチョークでびっしりと。教室側面の2枚目の黒板には、「いけのとたつや」を使った「あいうえお作文」が幾つか。担任による「餌付けーしょん」の果て、内進生より内進っぽいA組は、こんなお祭り学級になってしまいました。

 私「えっとですね。先ず、今日は修了式であって卒業式ではないということを先に断っておきまして。その上で、この大変有り難い沢山のメッセージなんですけれども、なんだか獣偏の字、言ってしまえば『独』の字が頻出しているように見受けられましてですね、まだ詳しく見ていない状態でこんなことを言うのはあれなんですけれども、これ、半分がた悪口では?」

 朝のSHRは修了式への移動があるため2、3分しか話せませんでした。が、「私は個人的な信条故に没収はしないけれども教室内のスマホ使用を許している訳ではない」という普段の言葉は棚上げにして、私も含めたみんなで黒板をパシャパシャと写しまくりました。今日だけは特別ですね。

 修了式・退任式粛々。体育館の壁には午後に行われる中学卒業式に寄せられた祝電がいっぱい貼られていましたが、その中に今日日のご時世を完全に無視した7段ピラミッドの写真であったり、「5段タワー」「100人ピラミッド」なるフレーズであったり、未だ虐待めいた教育が行われている学校もあるんだなぁ、としみじみさせられました。
 退任式は、3期9年をお勤めになった校長先生のご退任。そして、私も在学中に授業でお世話になった英語科のベテラン先生がお一人(但し、来年以降も常勤講師としてF校に携わられます)。

 「今日は別に卒業式なのではなく単なる修了式で、クラスは別になるかも知れないけれども4月にはまた会える訳で」と担任は教壇上で言いましたが、但し、一人だけは一緒にF高の2年生になることのない方もおられまして、と続けなければならないのは辛かった。ご家族の転勤で4月から東京のS高校に転学することになっているAさん(女子)の、最後のご挨拶。
 今は離れてもSNSで繋がることが出来るし、きっとA組の友達の中にも2年後に東京で会える人がいっぱいいるし、と、プレゼントのアルバムや寄せ書きを胸に抱えて話すSさんは、壇上では涙を見せませんでした。
 担任からは、プリザーブドフラワーでデコレートされたフォトフレームを。「S高校に進学・卒業するまでF高校の生徒だという自覚を忘れないようにします」と言われたので、「『卒業するまで』ではなくて、『卒業しても』です」とお返ししました。仮に卒業生ではなくても、67回生の、高1A組の同窓生であった事実はずっと続きます。

 10時30分、A組解散。放課後は、皆で写メを撮りまくって名残を惜しみ。

 さて、放課後にちょっとした仕事。A組の「手の者」を呼び出す。
 私「今日、A組でランチ会するんでしょ?」
 手「あ、はい。Aさんを囲んで」
 私「それ、どこでやるの? どんなメニューなの?」
 手「えっと、焼き肉『W』で、この春の食べ放題というものを」
 私「人数は?」
 手「39人の予定です。先生もいらっしゃいます?」
 私「訳がない。一応知っとこうと思ってね」
 職員室に戻ってからタクシーで「W」まで往復。彼らが注文している食べ放題にはドリンクがついていなかったので、お店の責任者の方にに代金を先払いして人数分のジュースを注文しておきました。最後の「餌付けーしょん」という意味もありますけれども、お店の方へのご挨拶も兼ねています(一応、大人も関知していますよという意味付けです)。「高校生ですので宜しくお願いいたします。五月蠅かったら叱ってやって下さい」と頭を下げ。

 店への往復のタクシーはちょっと面白かった。サプライズという程ではないにしても出来れば事前に知られないようにしときたかったので、顔馴染みの運転手さんに「F校の制服着てる生徒を追い越す時には身を潜めて(後部座席に横になって)隠れますね」と言ってたら、運転手さんの方がノリノリで「先生、30m先にF校生が、隠れて!」なんてスパイごっこをしてみたり。

 午後は、書店巡りをしたりミスドで本を読んだりしてまったり。

 夜は「もりき」貸切で純米の会。一番仲良しのHさんがご都合で来られず、常連10人といってもよくお話をするのはH医師(F高32回生の先輩)くらいというメンバー。私は18時~20時に訪問する「早い客」なので、20時以降が本格始動の多くの常連さんとはすれ違いになることが多いんです。だから、訪問回数だけなら他の誰よりもぶっちぎりだという割には顔見知りは多くないんですね。で、今日も初対面や二度目ましてやという方々が多いこともあって、19時開始のこの会も2時間くらいでお暇かなぁ、と思ってたら結局4時間以上居座ってしまいました(他の参加者はまだまだという雰囲気でしたが)。
 私が持ち込んだのは「喜楽里」(和歌山)の純米原酒。4合瓶持込の約束だったのですが売り切れだったために1升瓶を持って行ったのですがこれが良かった。1杯目にこれを選んだら、今日持ち寄られた中で最も甘くて多少酸が残ってる状態だったので、滑り出しにぴったりで。10年前は「もりき」定番だったんですけれども杜氏さんが亡くなって味が変わったということでフェイドアウトしたお酒、という話から(というか、今日のメンバーでは私が最古参かぁ)、店の昔話やら日本酒の杜氏さんが変わるとはどういうことか、とか話題が次々に転がっていきました。
 料理はマタギさん寄贈のイノシシ(焼肉)とシカ(ツミレにしてすき焼き)とでジビエ。他の方々の持ち寄りは、「繁桝」「田中六五」等の福岡の酒が中心。マスターは流石で「雪の茅舎」(秋田)の隠し酒を。
 思わぬ長居をしてしまったのは、会が楽しかったこともありますが、飛び込みで今は練馬勤務のAくんが来店したからというのが大きかった。一昨年のK市自衛隊幹部候補生、Aくん初来店で隣同士になった時に「コミケ」の話で滅茶苦茶盛り上がって以来のお友達。彼が東武練馬に転勤した後、私の上京旅行中に一緒に飲みに行ったり、今日みたいに彼がK市に来る時には必ず「もりき」で飲んだり(今日は友人の結婚式の序でだそう)。会のメンバーも自衛隊さん中心だったので初対面でもツーカーでした。

 0時就寝。

好きなことをやりなさい

 山口県に実家のある寮生から、NHKローカルの番組をDVDに焼いた物を貰いました。ご両親が録画して下さったそうです。鳥取で製作されている25分間のドキュメンタリー番組「フェイス」、の水木しげる翁特集回。先ごろ、水木翁がノートに書きためておられた直筆の日記が大量に発見されたということで、その記述内容から翁の幸福観を探ろうという試み。ゲストは佐野史郎と足立倫行。
 「あんまり面白くなかったそうですけど」と、仲介の寮生氏がわざわざ言った通り、番組は資料は貴重で(結論への)方向性・コメントは凡庸という出来栄え。しかし、ファンにとってはこの「資料は貴重」というのだけで既に十分なのです。因みに、名越康文が一瞬だけ登場しており、彼の動く姿・声に初めて触れました。

 本日は授業4コマ(高1B~E組)、A組だけ7限授業でその7限は本来私の現代文だったのですが、どうしても1時間足りないと関西数学先生が仰った(っつっても、ご自分が授業をお忘れで35分間くらいロスをしたのが原因なんですけどね)ので泣く泣く(?)差し上げることに。
 7限の開始時に先ずSHRを終わらせて(今日は外部模試の成績表返却がありました)、それから7限を数学先生にお任せ。授業が終わったら、掃除・下校の支持をそのまま先生にお願いしています。

 で、私は16時から1時間の年休で帰宅。本日はオツカル様とディナーデート。
 福岡出張の要件は昼過ぎには終わって、その後プロ野球の2軍の試合(開幕戦)を観戦してからK市入り、今夜は熊本のご実家に戻られてお母様に顔見せをなさるとのこと。
 私「出張って何の仕事だったの?」
 オ「柳川のやまと学校ってところ、競艇選手の養成学校なんだけど、そこの卒業式に来賓として」
 私「何つながりで?」
 オ「そりゃ、笹川財団つながりに決まってる」
 そうでしたそうでした、オツカル様の職場(公益財団法人・日本吟剣詩舞振興会)は、日本船舶振興会からの援助で成り立ってるところでした。
 オ「職場の後輩は日帰りで東京に帰ったけど、ウチ(←一人称)は実家に帰ろうか、と」
 私「……今、後輩っつった?」
 オ「あのねぇ、後輩が出来たのよ」
 私「きみが、14年ぶり2度目の就職をしたのが去年の5月とかで」
 オ「そうそう、既に後輩が1人」
 私「10人とかの規模の職場だったよね?」
 吟剣詩舞、盛り上がってるんでしょうか。

 17時の開店と同時に私のお気に入りの肉料理屋「I」に入店。やまと学校卒業式の面白話を聞いたり、3月の上京で(がっ様も合わせて3人)一緒に水森亜土ちゃんのライブを観に行く手筈を整えたりしながら、カウンター懐石コースは一切野菜なしの逆精進料理。掛け蕎麦でもネギを抜くオツカル様のために、マスターにお知恵を絞っていただきました。椀物の肉吸いにすらネギも何にも入っていないと言えば、その徹底ぶりが分かるでしょうか(固形の形で出てきた植物は山葵だけだったんじゃないかな)。私は流石に途中で耐えられなくなって、単品でピクルスを追加しましたが。

 2次会は文化街(K市を代表する飲み屋街)までタクシーを飛ばして、行きつけの小料理屋「S」。常連の平均年齢は60代超というお店で、初対面の先輩方に喜んでいただけるような昭和歌謡を色々と歌いました(オツカル様もその手の選曲はお手の物です)。
 常連らしき小母様が都はるみ「古都逍遥」をお歌いになりまして。
 常「この『逍遥』っていうのは何なのかしら」
 私「あ、お散歩って意味ですよ」
 常「まぁ、知らなかった! じゃあ、坪内逍遥っていうのは、随分と謙虚な名づけなのかしら」
 あ、面白いな、と思いました。

 2軒合わせて4時間弱、オツカル様の熊本帰省と私の明日の仕事とを考慮して、解散は割とあっさり。まぁ、10日後には会える訳ですし。

レッツゴー! かっこいい世界

 帰りのSHRの時、教室の外に高2の女子が二人で立ってて、何事かと出て行って尋ねたら「Aくんを待ってるんです」というお答え。「出待ちする程に?」と聞き返したら苦笑いでしたが、後から気付いた、ひょっとして「男く祭」のカッコメン(F高美丈夫品評会)の勧誘だったのか。え~、でも、高3に混じって高2の一人枠を、外進のA組から選ぶか~?
 私「ねぇねぇ、昨日の出待ち女子、もしかしてカッコメンの勧誘?」
 A「あ、えぇ、はい」
 私「やっぱり」
 A「普通、内進から選びますよね?」
 私「返事は?」
 A「断ってるとこです。メチャ恥ずいことさせられるんでしょ?」
 私「高3での2連続出場も前提で」
 A「嫌だ~」
 サッカー部が当日試合で公欠なんですね、それで候補が減ってしまう。

 64回生Nさん(この春、一浪で国立医学部合格)が職員室にお出でになり。
 N「私、先生に言いたいことがあるんです」
 私「はぁ」
 N「先生、私たちが高3の時の現代文の授業で、『かわいいはきゃわたん つらいはつらたん』って仰有いましたよね」
 私「確かに」
 N「64回生の女子って、それ聞いて『面白い!』ってなって、結構仲間内で『きゃわたん』『つらたん』って使ってたんですよ」
 私「ほうほう」
 N「そうしたら、予備校で他校出身の人に『F校生って、そんな俗語使うんだ……』って引かれちゃって」
 私「大変申し訳御座いません」
 オツカル様から得た情報「辛いはつらたん、可愛いはきゃわたん(抑揚は「パピヨン」と同じ)」をまんま授業で話したら、無垢な女子に受けてしまったという故の悲劇。

 一日授業無しでのんびりとデスクワークの日。夜は、土曜の「純米の会」用に注文しておいた「喜楽里」が届いたのを「もりき」に届けがてら独酌。

一刹那のうちにおいて懈怠の心あることを知らむや

 小林信彦『おかしな男 渥美清』読了、★★★★★。渥美清に関しては、かつてお昼のワイドショー番組に彼の死去の第一報が入った時、コメンテーターの市川森一が仰天して叫んだという記憶があります。さて本書の話、渥美清の出演作品を通して観たのは『八つ墓村』だけ、本書に興味を持ったきっかけも『トットてれび』だったくらい真っ更な状態で読みました。すると、先ずは筆者の造詣と筆力(文体の魅力と対象との距離感との絶妙!)とに圧倒され、その記述を全幅信頼すると仮定した場合に立ち現れてくる渥美氏の心の暗渠に戦くという流れ。全然知らない俳優なんですけれども、現役の誰に比することが出来るかを強引に考えるならば、やはりタモリなのかなぁ、などと。

 本日は授業が1コマで一日の流れは緩やか。放課後に、ちょっと重要な案件についての保護者面談があったのが唯一のトピックかな。
 仕事の後は、帰路にあるお気に入り「I」(肉料理)で読書独酌。マスターと、明後日の予約について細かい打ち合わせをして料金も先払い。

 2年半の母君の大病以降、ちょこちょこと年休を取る癖がつき始めました。以前は浪人生への添削郵送とか家庭訪問とか殆ど仕事の為以外に年休を取らなかったのですが、最近は引っ越し以来増えた家事(!)だとか、明後日みたいな飲み会だとか、酷い場合は上京旅行だとか。仕事舐めてんのか! って感じでしょうか。
 で、「明後日みたいな飲み会」ですよ。肉料理「I」にてマスターお任せの懐石2人前、お相手は愛しのオツカル様でして、福岡出張に絡めた熊本実家帰省の一環でわざわざK市にお出でになるというね。で、マスターと打ち合わせたコース料理内容は、オツカル様の食性に合わせた「完全野菜抜き」。薬味すら使わないという『ミスター味っ子』もかくやの注文を、マスターは割と面白がって引き受けてくれました。「精進料理」の逆ですから「懈怠料理」、年休取りまくり仕事舐めてんのか先生には相応しいネーミングなんじゃないでしょうか。