ごめんなさい 右 左 下を向く

 あぁ、これは昨夜1軒で帰ったのが完全に正解だったわ、という目覚め・入浴・出勤。後の8時15分の学校で出逢った事務嬢さん、昨日はあの後ライブバー「A」に学生2人を連れて行き、2時間に延長延長を含めて計4時間、結局2時過ぎまで飲んでたと教えてくれました。いや、マジで行かなくて良かった。
 1限の高3文系東大漢文、3限・4限の高2現代文、の授業を恙なく行えたのも、昨日1軒で帰ったからこそ。10年前なら2軒目も行ってましたが、あの頃は本当に若かったんだなぁ、としみじみ。というか、事務嬢さん、強すぎ。

 本日は体育祭前日で、4限授業の後で最終練習・準備。今日だけは高3も練習に加わります(F高の体育祭は高3は前日連取と本番とだけに参加する「お客様」型)。
 その高3に、私は謝らなければなりません。見損なってました、済みません。高1高2が空前の真面目、招集放送が走れと言ったら本当に走る真面目さが、中学男子校最後の学年であるところの現高3高校66回生にも共通していると思ってはいけない、委員長には「言えば従うと思うのは傲慢だからね」と一昨日伝えたのですが……高3も真面目でした。体操服若しくは無地のTシャツという服装規定に外れた生徒が殆どおらず、脱走兵も出ず、各ブロック毎に設置された櫓のてっぺんに登る煙属性も皆無、とどこまでも真面目。高2数学関西先生からは「汚れた心で生徒を見るからや」とからかわれました。

 その体育祭練習の監督を私は外れ、またまたまたまた生徒から借りた自転車でディスカウントストアまで3往復で大量の買い物。缶ジュースを41本、徳用安売りのお菓子を6~7種類、小分けの袋も50枚セットで。
 ジュースは保健室の大きな冷蔵庫で冷やして貰い、小袋に生徒41人分のお菓子詰め合わせを作る内職作業を職員室で。勿論、体育祭の後の糖分補給(戦士の休息)のためのものです。

 内職中の私を訪ねたのは63回生我らA組Iくんで、夏休み自宅帰省の序でに、来年度の教育実習の申込に来たとのこと。九大法学部、教科は公民だそうです。国試じゃなかったの? と聞けば両立させたいとのお話。
 I「先生は、それ(内職)、何やってるんですか?」
 私「グラウンド見た? 明日、体育祭なんだよね」
 I「あぁ、そっか。えっと、中学?」
 ……確かに、高2相手にやってる作業にゃ見えないか。

 で、こういう日にK市在住の生徒が訊ねてくるというのは正に「飛んで火に入る夏の虫」、そりゃそのまま飲みに行くわな、というノリで18時に西鉄で待ち合わせ。こないだ事務嬢さんと初訪問して美味しかった居酒屋「H」からバー「S」、の2軒をはしごしてお話。大学のこと、教職のこと、そして高校時代の思い出話のこと。
 Iくんの性格は一言で言えば「根性者」。それを象徴するような高1前期クラスマッチサッカーでの彼の姿を見て私は63回生とのつきあい方を決めたのですが、これはTwitterでは書けてもここには書けない話なので割愛。とにかく、「根性者」らしく国試教職の両立を貫いて欲しいところです。

シュトルム ウント ドラング 謝らないわ ハハハ

 そう言えば書いてなかったんですが、先週64回生Yくんと野菜料理「B」にて晩ご飯。熊本大学からK市自宅に帰省中のYくんから、大学のこと、家族のこと、将来のこと、を色々伺いまして、その帰り道。一番街アーケードを並んで歩いておりましたら、スーツ姿の集団の中から年若いイケメンが走ってきてご挨拶、これが58回生Mくんで今は銀行マンで職場の先輩方との二次会に移動中とのこと。私に話しかけて「済みません」、隣のYくんにはお邪魔して「済みません」、確かにひげ面戦場カメラマン風味のYくんが年齢不詳に見えても5歳下に敬語てF高の後輩やでと教えたら年増に見てしまい「済みません」。
 Y「この先輩はどうしてこんなに謝るんですか?(小声)」
 私「さぁ、本人に聞いてみたら?」
 Y「どうしてそんなに『済みません』と言うんですか?」
 ど直球に聞くYくんも凄いけど、期待通りに謝ってばかりで「済みません」と答えたMくんも外しません。若手サラリーマンが先輩と飲んでトークするテンション引き摺ってる時なんて、そんなもんなのかな。

 さて、体育祭のクラスTシャツが届きました。B組だから「Bee」ということで、蜂。蜂の胴体に担任の顔が乗っかってて最早「担任フリ素」説。私が8月8日生まれだからなのかそれとも働いて死ねという意味なのか、添えられた「ぶんぶんぶん」の文字は蜂であると同時に私が「文3」出身だということもかけられているのでしょうか(←絶対違う)。
 まぁ、去年の高1A、黒生地の胸の部分に白いキャンパスを作り私の顔(胸部より上)を描いた「ぼく、劣リーマン。」Tシャツ、私が来たら自分で自分の遺影を持っているようにしか見えないあれに比べたらどんなデザインでもまだ優しい方ですが。

 その体育祭の練習、高1・2年が空前の真面目状態だというのにやや違和感の教員はやはり私以外にもおりまして。体育「そういえば、毎年体育祭が終わるたびに『練習の時はどうなることかと思ったけど』って言ってたね」 数学「そうそう、『本番になったら出来るねぇ』って」
 本日は大雨雷の荒天(昼過ぎから晴れましたが、グラウンドが使えない状態)、明日明後日は晴れるので心配はないのですが、今日の練習は体育館で行われました。グラウンドと異なり放送設備の関係で運営による放送が聞こえにくいため、生徒は昨日よりやや集中力を欠いて(ざわついて)いましたが、これでもまだ大人しく真面目な方だと思います。

 夜は、58回生Eさん&Fくん、同窓数学、事務嬢さん、私、というメンツで焼き鳥「Y」にてコース料理。Eさん以外の3人とは週一レベルで飲んでる仲(同窓数学は奥様が出産間近で最近はご無沙汰気味)で、今回のトークは学会で大阪から福岡に来た大学院生Eさん(実質的な本日のゲスト)の、研究や私生活(割と波乱万丈)やの話で盛り上がり。「Y」の飲み放題は銘柄物も含めてメニューにある(ボトルワイン以外の)飲み物が全て3時間頼み放題という店の柱と客の肝臓とが刺し違えるようなシステムだと個人的には思うのですが、でもそれでやっていけるということは今日日の人々が余程お酒を飲まないのだろうなぁ、とこっちは勝手に瓶ビールを1本、2本、その2本目からは「一番搾り」を切らしてしまってメニューに載っていない「秋味」しかなくなりました申し訳ありません、と店員さんは頭を下げるけれども私は日本で一番好きな銘柄が飲み放題というのに笑いが止まらない。これはどうやら本気で店の柱と私の肝臓が差し違えそう……
 (3時間経過)……いや、ホンマに潰れるわ。明日の1限がヤバいわ。これは2軒目をお断りするのが勤め人の務めだわ、と学生2人を事務嬢さんにお預けして、こちらは端から1軒で帰るつもりだった同窓数学とタクシーに分乗する。

十六の、内気な妹と二人暮しだ。

 授業は1限と5限(高2現代文)だけで、今日はその合間にまたまた生徒から借りた自転車で市内をぐるぐる。母君のリハビリステーションに書類を届けて、銀行を2箇所回って、自宅で(体育祭練習監督用の服に)着替えて、スーパーで応援団の差し入れを買って、何だかんだで2時間弱くらいペダル漕いでました。割と汗だく。

 で、驚いたのが、高2の自転車置き場に並んでる自転車が、そらチェーンをしてはいたけれども(それだって直ぐに切れそうなやつ)、かなりの割合で鍵がつけっぱなしになってたこと。年に数度の風紀委員による抜き打ちチェック、F校ステッカーの有無とチェーンの有無とは問題視されるようですが、チェーンさえしてたら鍵はさしっぱでもいいの?
 クラスにて。
 担任「あれは何なの? 性善説?」
 生徒「鍵外すのが面倒臭いんじゃ」
 担任「面倒臭いで盗まれたら世話ないじゃん」
 生徒「盗むのって面倒臭くないんですかね?」
 まさか性「怠」説だったとは。育ちが良い子は知らんかもしれんけど、盗むような人は創意工夫どんな手間でも惜しまないですよ。

 本日から、高1・高2は放課後に体育祭練習。F高の体育祭は、ほぼ全てが生徒会・体育委員会主導で教員は手を出さない、軍隊行進とかアホらしいことは一切抜きでたら~ったら自由に生徒が振る舞う(けれども進行は滞らない)、という2つが大きな特長……だったと記憶してたんですけれども。
 今年度の主宰学年は我らが67回生高2で、この学年はF校初の中学共学化学年です(ですから68回生高1は共学化2年目)。当然、高校のみ共学というこれまでの学年に比べて女子の比率は高く、というか中学時代が男子校なのか共学校なのかという違いは大きく、とにかく生徒が真面目なんです。どんだけ真面目かというと、本部中央テントの体育委員が競技招集の放送で「走って集合して下さい」と言ったら本当に走りやがんの! こんなの、空前ですよ、未聞ですよ。これが絶後じゃなくて来年度以降も続くの? 「適当」「いい加減」という2語の、マイナス面が練習で、プラス面が本番で発揮されるというF校クオリティはどこへ消えたの?
 教員の方も、昔のたら~ったらを忘れたかのように「きびきび動け!」とか指示出したりしてんのよ。どこぞの公立でもあるまいし、勝手に生徒にやらしときゃい~じゃん、という私の意見が少数派なのかしら。

 あんだけキビキビ動いといて(動かしといて)、最後の指導部教員がもっと統率をとか移動を迅速にとか言うのを聞いて「えっ、まだこれ以上!?」って耳を疑いましたもん。
 私の感覚は真逆で、「走れ」と言ったら生徒が走るというのに即応して、段々と何の競技の招集にも「走って」という言葉をつけるようになったり時には名指しで「誰誰くん走って」等言い始めた本部放送が、次第に傲慢なものに思えてきましたもん。一応、何人かの生徒には「言えば従うと思うのは傲慢だからね」と言ったんですけれどもあれは冗句じゃなくて半分以上本気です。
 明後日から練習に参加の高3は最後の中学男子校学年。言えば走るという可能性はほぼゼロじゃないかと推測します(見損なってたらスミマセン)が、それで中央が苛ついたり失敗したと思ったりするんなら、そう感じたり思ったりする方が(少なくとも中学男子校最後の学年が居る今年までは)「違う」んじゃないかと、半ば本気で思って(願って?)います。

 サメマチオ『三分間のアニミズム』読了、★★★★。

木漏れ日 日傘を回しながら

 5時入りの職員室で特講の添削や担任業務や。朝のSHRの後、学年通信の折り込みの手伝いや家庭送付の資料の袋詰め等を行って、9時半から2時間の年休。タクシーでF校親玉大学病院を往復しました。母君の定期診察の介添え、結果は経過良好で抗癌剤治療の継続をしながら様子見ということ。本日は採血とCTとの検査で、次回は1ヶ月後です。
 学校に戻って4・5限が授業。高2現代文は加藤周一。本日から土曜の体育祭に向けた短縮授業日程が始まり、木曜までは5限後に放課です。生徒は放課後に委員会会議・活動を行うのですが、私は再び年休を取ってバスで西鉄に向かいました。

 明後日で母君は還暦。退職祝いを兼ねて何か贈り物を、と向かった先は岩田屋。和小物の店でパスケースを買うか、女性用の日傘を買うかを迷って後者を選択。パスケースは、現在のリハビリステーションの部屋の鍵がカードキー仕様だということで浮かんだものなのですが、よく考えたら長居して欲しい場所ではなかったのです。傘は藤色、包装紙だけ赤にしてもらいました。
 母君とは、近くちょっとした御馳走でも、という話も出て来ているのですが、何しろ少食偏食の方ですから一緒に食事をするのが大変で。先日昼食のうどん屋では、肉もやしうどんの「小」を半分強くらい食べることができた、というレベルです。何の「御馳走」を食べるんだという話でして。

 夜は「もりき」。18時過ぎに入ったのに全然開店準備が出来ていなかったのは、マスターの大学同期の方の訃報が突然飛び込んで来たため。マスターが中心になって通夜・葬儀の連絡を仲間間で回しているらしく、スマホが鳴り止みません。マスターの同期ということは62歳ということになるのかな。
 今日の健診結果(良好)を受けて、母君は「還暦を迎えられるのねぇ」と感慨のご様子でした。が、息子はもう少し貪欲に考えているのです。

Rainy Days and Mondays always

 ある日の「もりき」カウンターにて、大恩あるK市の母・Hさんから珍しく「見返り」を要求される。
 H「いけのっちゃん、私は今日はねぇ、とっっっっても機嫌が悪いのよ」
 私「ほう。どうしてですか?」
 H「聞いて! 例のあの取引先の嫌な奴! 前にも話した事ある毎に『僕はKOの経済だから』とか自慢するあいつ! あいつが今日もさぁ/」
 私「あ~、はいはい。KO経済? 東大じゃなくて? そんなので自慢になるの?」
 H「ああっ、気持ちいいっ! いけのっちゃんもう一回!」
 ……生徒には時々冗談で東大アピールをしたりしますけれど、どうなんでしょう。大学名が自慢になるなんて今日日ど田舎だけでしょうし、大体大学名ばかりをわざわざ自慢に使いたがる人って、大学で(社会に出てからも)何も成し遂げてないという事実を自分から外へダダ漏れさせてるようなもんですから、性格云々以前に頭が悪いですよね。

 雨です。先日お気に入りの傘(卒業した63回生が忘れ残していったブランドもの)を失くしてしまって以降、コンビニの安いビニール傘を使用中。なのですがもうそろそろ「取って置き」のおニューを出そうかなぁ、と迷ってはやっぱり、の繰り返し。差し入れを届ける黒団の応援練習風景を見る度に思い出すのは63回生青団の姿で、「取って置き」の傘はA組団長Nくん(のお母様)からいただいた物。使ってこそ活きるのは分かっていながら勿体ないと思ってしまい。

 本日は朝のSHRで課題テストの成績確認、帰りのSHRで英語リスニングのテスト、と最初と最後にイベント。間の授業はいつも通りで3限と6限とに高2現代文、8限(17時~18時)に東大理系漢文特講。今日の東大漢文は01年の理系専用問題(当時は、文系と理系とで別出典でした)で韓愈『対禹問』。禅譲世襲とを比較する文章なのですが、難しい問題なので予め禅譲世襲の定義を(知らない人が居るかも知れないので)示しておきました。それでも、平均点は20点満点で10点を大幅に下回るでしょうね。
 授業が入っていない時間は、教務部の作業として課題テストのデータ(上位者表・度数分布表)作成。学年通信に載せるのですが、主任地理先生が体育祭前に早めの発送をしたいと(珍しく余裕がない感じで)急かすので、バタバタの作業でちょっと焦りました。この学年の先生は「いらち」が多いけれども、主任先生もとうとう感染し始めたのかなぁ。

 「もりき」も肉料理「I」も店休の月曜日は、しかも次の日未明から特講添削があるのでいつも夜の店に迷いますが、今日は自宅徒歩5分の居酒屋「A」にてカウンター読書。幸田文『番茶菓子』読了、★★★★★。半世紀前と現在、彼我の差。生徒がこれを読める(読んで楽しいと思う)かどうかは分かりませんが、取りあえず学級文庫には入れます。ついでに、自分用と学級文庫用に2冊買った夢野久作平凡社ライブラリーも入れておきましょう。

樹海をくぐって下山して キリンに出逢った森の中

 今年、TQC東京大学クイズ研究会)の35周年記念パーティーが開催される方向だ、ということをOB某氏(3つ後輩)のツイートを通じて知りました。秋以降の開催が予定されているそうで、命の授業を「難」呼ばわりするのはいけないですが、このパーティーにだけは万難を排して参加します。諸氏に5年ぶりの再開、楽しみです。F校の教え子とも会えるかも知れませんね(クイ研に入ってる人、何人かいますので)。

 昔、とある回生の生徒との話。
 生「××先生が授業で『私、天然だから~』って言ってた」
 私「『天然』を自称するのはまず『養殖』」
 って失礼極まりない会話をしたことがあるんですけれども、何年も前の会話における無礼に仏罰が当たったのでしょう、今朝の2時に汗だくで目覚めてもう眠れなくなった、職員室全員の「バトルロワイアル」という悪夢で最後まで立ってたのが××先生でした。

 というわけで、眠れないまま入浴・着替え、普通に徒歩通勤で5時に学校入り。当たり前ですが誰もいない職員室にて、学級通信作成(担任業務)、課題テスト成績処理(教務部業務)、高2現代文授業準備(国語科業務)、高3漢文添削(同)、職員室清掃(教員業務)……等々がガシガシと捗って、ノルマだけなら9時過ぎに、予定外の仕事と日記の更新とを含めても11時半には全て終了してしまいました。
 で、「昼飲み出来るじゃん!」とかいうクズい考えが浮かぶ訳ですけれども(真面目に仕事をした人間だけがクズにもなれるのだ!)、考えたら12時の時点で起床から10時間経っててこれを7時起きの人に換算したら現在17時、全然昼じゃないじゃん。事務嬢さんにお誘いを投げてみたら、13時半からならイケル、という返事。

 学校からバス停まで10分歩いて、バスで西鉄K駅へ移動。歩いている間にすれ違った元高1A組の某くんが「ぼく、劣リーマン。」のTシャツを着ていたのは衝撃的なクラハラ(クラスTシャツデザインにおける担任へのハラスメント)でした。まさか校外でとは。
 バス車内では、優先席と通路挟んで向かいの席とを占拠して2人でピーチクパーチク囀る頭と育ちの良くなさそうな少女たち。聞きたくなくても聞こえてくる会話の内容から、彼女たちがこの後、半年前に卒業の高校同窓と集まるのだということが分かります。「先生、うちらのこと忘れとったりしてね」「さすがに覚えとるやろ。2、3年とかしたら知らんけど」「っつか、2年経って先生とかに会いたくないし」「言えてる」 私も、担任だったらこの手合いは秒で忘れると思う。

 西鉄ターミナルで、さっき学校で会った時に今日が誕生日だったと言ってたB組某くんがバス待ちしてたので、ミスドまで走って誕プレ買ったげました。彼、応援団長なんですけれども、我ら黒団は何故か10時半に本日の練習を切り上げており。
 でもって、K駅からアーケード街の喫茶店に向けて歩いて行くと、入口手前にあるラーメン屋「M」の前にものっそい行列が出来てて、ここは最近F校生の魂食化してるから長蛇の鱗の中に知ってる顔が、ほら1枚、2枚……って全員応援団やないか。私「まさか、これのために練習切り上げたとかじゃないよね?」 団「ちちち、違いますよ!」

 喫茶店でアイスコーヒー(眠気覚まし)飲みながら幸田文。『番茶菓子』は四季のエッセイ(掌編集)なんですが、読むにつけ現代の日本からは季節が蒸発していること、それも所作や感性の問題という説教じみた意味ではなくて、端的に気候変動の問題としてであること、が伝わって来ます。8月中頃から涼しくなってきた、って書いてますもん。

 事務嬢さんと約束の13時半……は起床から半日で体感では夜、なので「昼飲み」という語にもカギ括弧のニュアンス付きですが、兎に角合流前にコンビニで「メガシャキ」を買って飲んで。
 本日の1軒目はアーケード街入口にある韓国料理「M」、ランチ激安・単品割高の店で躊躇わず単品を選んで(ランチに付いてる汁と米とは不要なので)、ナムル・チヂミ・チャプチェ・スンドゥプチゲ、等々でビールとマッコリと。
 2軒目はK市昼飲みの隠れ里、西鉄K駅構内の「味のタウン」にある茶屋「O」。10時から夜までアイドルタイム無しで飲める店がひしめいているんですけど、既に飲んだ状態で歩くのはちょっと危険でそれが証拠に今日もタウン内のデザートショップに高2女子が集まってましてニアミス。でもって、「O」にある居酒屋セットは2400円で瓶ビール4本、小皿料理4品が出てくる破格で、しかもチンカチンカに冷えた瓶ビールに付いてくるコップが純銅のタンブラーだという至れり尽くせり。
 帰りは30分弱の徒歩帰宅、入浴、ちょっとだけTV(「東大王」)、就寝。

 7日の夜には飲み会が入りました。大阪から学会で福岡に来る58回生Eさんを迎えるため、仲良しのFくん、同窓同僚数学、事務嬢さん、私、という5人で。
 店をどこにするかちょっと迷うところですが、Eさんが「福岡っぽいもの」と仰有ってそれってもつ鍋か焼き鳥かだよねぇということになったので、K市焼き鳥3傑「Y」を予約。5人から飲み放題のコースが注文できてその中にもつ鍋が入っている、ビールがプレモルで同窓同僚数学の趣味にどストライク、等々の条件で選びました。

 幹事役は色んな人のビールの好みも自然に覚えてしまいます。63回生主任地理先生は元アサヒの社員だったとか、56・62回生主任英語先生はクラシックラガー派だとか、同窓同僚はプレモル贔屓だとか、まあ色々。先日は63回生数学先生と「秋味」の素晴らしさという話題で盛り上がったのですが、職員室全体(の中の私とよく飲む人たち)を見るとキリン派に傾くかなぁ、という印象。私も断然キリン派で、これは初めて自分でビールを選んだ時にキリンに手を伸ばした故の「刷り込み」なのですが、その時に手を伸ばした理由は祖父の名前が「池ノ都麒麟(いけのと・きりん)」だからなんですね。明治キラキラネームが孫のビールの好みを決めたんです。

幸せになれるものならば 友情より愛情

 東大文系志望の高3某くんと話してたときに、「内発・外発」の語を知らなかったのに驚愕。ですので早速、本日文系の授業で、漱石「現代日本の開化」と加藤周一「日本文化の雑種性」を紹介しつつ、(先日も日記に書いた)明治・敗戦・グローバル化、と近代以降の日本が独立をかけて西洋と対峙する3度の経験を概説しました。枠組み無しで現代文を読むのは勿体ないですからね。
 3・4限は、高2現代文で加藤周一「日本文化の雑種性」の授業を。

 三谷尚澄『哲学しててもいいですか? 文系学部不要論へのささやかな反論』読了、★★★。(これまた先日の日記に書いた)第一章に詳述された「標準的な日本の大学教員」の「教育・研究以外の業務」内容がF校教員の授業・授業準備以外の業務内容と完全に同じだったのが面白うて「やがて悲しき」だった、という以上に面白い・新しい話はなかったかな。書いてあることには共感できましたけれど。

 大分前に、F高クイ研のメンバーに「教科書とノート、の『ノート』を日本語で言える?」と聞いたら言えなかったことがあります。これはクイズにはならないのかな。私は受検時代、「notebook」は必ず「帳面」と訳しました。これは小さな拘りで、中1の時に化学を習ったお爺ちゃん先生が「お帳面」と仰有るのが何となく格好良かったからです。

 さて、クイズの話を久々に。
 覚えがないので泥酔時の小人さんが私の代わりに予約録画してくれたのでしょうが、それならば顧問の義務だと『高校生クイズ』を視聴しました。毎年観ている訳ではないので何とも言えませんが、生徒目線で観たら割と面白かった(羨ましかった?)んじゃないかな、と思いました(この場合の「生徒」は、必ずしもF校生のような進学校に限定をしません)。いよいよ参加者減が深刻なのかも知れませんが、今年は観ている中高生に「参加したら楽しいよ!」とアピールする番組にしたがっていたような気がします。「少しかじれば解けるよ」という問題の易しさ、後述する開成くんの名言における「破壊」をテロップで「突破」とまろやかにする優しさ。
 ただ、やっぱり決勝戦のいちばん大事なところで(明らかに恣意的に)誤答誘発の爆弾を投げたのは傷になりましたね。『高校生クイズ』がドキュメンタリーなのか否かは分かりませんが、ドラマは作る物ではなくて生まれる物なのでは、とは思います。でなきゃ生徒が可哀想……いや、そうではなくて生徒に「失礼」ですね。
 ともあれ、出場している高校生には総じて好感が持てました。準優勝の開成コンビ(1・2年生)の爽やかな笑顔は来年も出られるという確信が裏打つ余裕なのでしょうか。優勝校リア充カップルに対する敗者の弁が蓋し名言、「男子校の友情ではカップルは突破できない」というのを「フリ」にして、来年は是非とも全腐女子悶絶ものの優勝コメントを期待したいですね。

 ……というか、F高クイ研の応援をしろよ、俺。

見たら最期

 本日は始業式のみで何もない生徒は10時には下校できます。応援団・装飾・運営等、体育祭関係の準備練習の生徒は18時までみっちり活動。その応援団の団員であるB組某くんから自転車を借りて、気まぐれに学校と市内カレー店「S」とを往復。自転車に乗るのは何年かぶりですが、滅茶苦茶スムーズで気持ち良く、購入欲求がムラムラと湧いてきます。まぁ、飲酒運転待ったなしなんで自制しますが。
 午後は、今後出題される(であろう)校内模試の事前問題検討。とある書き手のブログエントリを本文にした問題を現代文の候補として提出したら特に反対意見もなく認められたのですが、これが初めて自分より後に生まれた筆者の文章を使った自作問題です。う~ん、複雑な気分。でもまぁ、兎に角とんでもなく巧いんだわ。
 そんでもって、本日の私は職員室日直で、18時の下校放送の後で校内を巡回。してましたら、高2フロアに男子が居ないのをいいことに女子チアのメンバーが普通教室で着替えようとしやがってて扉開けた瞬間に「そろそろ下校準うごああああああっっっっ!」ってなりました。危うくお婿に行けなくなるとこ。

ま、いっか。

 現在の日本は「ハラスメント」の粗製濫造、セクハラ・アカハラアルハラ等々は論の外で加害者が悪ですが、無臭社会窮まれりの「スメハラ」は言う側がやや狭量な気がしますし、先日ネットで見た「ベビハラ」などに至っては赤ちゃんの泣き声をハラスメント呼ばわりする馬鹿がドヤ顔で持論を述べる時代が来たかと情報化社会がもたらした社会の変化にいっそ感心するレベル。
 さて、私がF高で現在個人的に問題があるのではないかと注目しているハラスメントが「クラハラ」です。これは、クラスTシャツのデザインにおける担任へのハラスメントを表す私の造語で、要はこれが言いたかっただけ。勿論、去年の高1Aの「ぼく、劣リーマン。」ロゴに遺影みたいな私の絵が描かれたTシャツに比べたらどんなデザインだろうが「まだマシ」な訳で、一年経った今でも旧高1Aの生徒があれを時々校内で着て歩いてるのを見るたびに、それが例え女子生徒であろうが「女、脱げ」と実はこれが一番のハラスメントじゃないのかという反応をしてしまいます。
 で、朝。今年我らが高2BのTシャツを担当してくれている某くんが職員室にやって来まして、来週の体育祭に向けて作成するそのデザインについて相談を受けたのですが、その内容を要約すると「デザインに担任の悪口を盛り込みすぎたら料金がかさんで例年の倍の2000円くらいになるので、悪口を精選するか依頼先の会社を変えるかをクラスで話し合いたいから、朝のSHRの時間を下さい」というものでした。最近の若者の言葉の用法に「とても~である」という意味で「~しかない」という言い回しを(アイドルに対して「可愛さしかない」と言うみたいに)使うというのがあるんですけれども、前記Tシャツの用件に関しては額面通りの意味で「おかしさしかなくない?」と、真面目に訊いてるんですがどのクラスでも生徒が笑います……この「おかしさ」は生徒にとっては「面白さ」なのか、私ゃ「誤り」のつもりで使ったんですけどねぇ、とこれはハラスメントを訴える方が無粋かもね、と微苦笑。

 本日、課外最終日。高3漢文・高2現代文の授業をこなして半ドン、明日は2学期の始業式だけなので10時前には終わるでしょう。
 午後は小さな会議がありましたがなかなかの不調。

 夜の「もりき」では、一昨日の約束通りアラの頭を使った煮麺を作って貰いました。美味!

どんなに淋しくても きみはひとりでお帰り

 早朝職員室で授業準備、本日は2・3限が高2現代文で、教材は加藤周一「日本文化の雑種性」。国語科が採用している教科書には入っていませんが、これは是非扱っておきたい文章なので教科書外から引っ張ってきました。日本が独立をかけて西洋と対峙する3度の経験といえば、則ち明治文明開化・敗戦・グローバル社会。現在進行形で危機の最中にいる我々が、過去2回の開化・敗戦の経験から得る示唆は貴重だと思いますので、漱石「現代日本の開化」と加藤周一「日本文化の雑種性」はマストだと思うのですね。63回生の時は漱石は扱って加藤周一を忘れていたのが痛恨、今回はリベンジです。

 さて、3限終了後はSHRを副担任の先生にお任せして年休。母君のご要望で昼食と買い物とにお付き合いしました。買い物は家電ですので、市内人気のうどん屋「T」の後で、隣接する「ベスト電器」に行く流れ。偏食少食の母君はうどんの「小」でも漸く半分ちょっと食べられるだけでしたが、それでも肉うどんの出汁を美味しいとお喜びだったのでまぁ良しだと。家電購入も、体調が上昇してリハビリステーションを出た暁に使いたいという電気スタンドでして、未来志向を喜ばしいと思っておきましょう。
 ステーションに母君をお送りして少しだけお話。和紙の折り鶴を折るところを実際に見せていただいたのですが、1枚の折り紙を3×3の9等分にした小ささの紙を器用に折られる手捌きに「ほう!」となりました。

 母君とお別れの後は、生まれて初めてのハローワークにてとある書類の(再発行の)申請を。母君を私の扶養に入れる手続きに関するものなのですが、書類を揃えるだけでもあっちに行ったりこっちに行ったりと忙しいんですね。

 夕方のネカフェで日記を更新したり仕事をしたりしながら、ふと思いついて事務嬢さんにメール「今夜、ちょっとだけ飲みません?」 スムージーの写メを送りつけてミキサーを買わせて、サンマと「秋味」との写メを送りつけて魚焼く網を買わせて、散財待ったなしのリアル飯テロで旦那様がお稼ぎになったおぜぜを蒸発させておきながら、その旦那様が現在短期出張中の北海道でミサイル騒ぎに巻き込まれた話が面白いからそれでも肴にして二人で飲もうぜ、と人妻を誘う私は独身教師の鑑だな。
 で、訪れたお店は柳川市の人気店がK市移転の居酒屋「H」。柳川にお詳しい化学先生が推すだけあって美味廉価の良店でした。でもって、酒好きの二人が飲み始めたら「ちょっとだけ」なんかで終わるはずもなく……嬢「先生、最近気に入ってるバーがあるんですけど、『ちょっとだけ』行ってみません?」と、この辺りから事務嬢さんの本領発揮。

 ……眠さに耐えられない私、今日は負けたくない、今日こそは負けたくないのに……
 私「事務嬢さん、帰ろ~」
 嬢「帰り~」
 という定番のやり取りの後でギブアップ、先に独りでバーを出て帰宅。一回くらい、酔い潰した事務嬢さんをタクシーでご自宅までお送りして、「気をつけ給えよ、僕には妻も子どもも居ないんだから」みたいな紳・士・然! が出来んもんなんかと毎回。