これでギャラは同じなの

 池袋→本郷三丁目。一昨日羽田空港で出迎えた高2生徒3人の宿泊ホテルに、10時着。本日は、昼過ぎまでこの3人の東京観光に随身として付く……で、「どこ行きたいの?」って聞いたら、3人とも「「「……………………」」」
 東京ナイトに興奮して徹夜の挙げ句観光日の朝になってライフポイントほぼゼロ。生き方下手にも程がとお先生の涙。で、3人の中で辛うじて元気が残存、洋楽大好き某氏が「タワレコからのプリティグリーン!」って仰ってプリティグリーンって何よ。

 赤坂見附乗り換えで渋谷、私だったらそのキャリーバッグは自宅に郵送する、けれども高校生3人は頑としてゴロゴロ。平日朝の渋谷スクランブルは流石に人が少なく、スムーズにタワレコ入店。洋楽フロアで1時間潰せるという1人を放し飼いにして、教員と残り2人はビル2階のカフェで雑談。テーマは一つ、「はい、東京の印象は?」
 「臭い!」「汚い!」「帰りたい!」
 はい、正解。特に渋谷なんか選んだら、木訥少年の感想はそうなるに決まっているわけで。生活臭ですらないゴミの臭いしかしないもんね。と、いうわけで、昼食は昨日飲み会をやった「タパス&タパス」文化村店に連れて行くことにし、途中敢えてセンター街を通るという試み。はい、3人で感想を。「臭い!」「汚い!」「価値あるものが何もない!」
 はい、正解。でも、パスタはそこそこ美味いでしょ? 「でも、量が多い!」 最近のお子は小食。

 だからプリティグリーンって何よ? 「リアムがプロデュースしとると!」
 最近のキラキラネームみたいなそれは誰なのよ、って流石に本家をキラキラ扱いしたら本末転倒。成る程、好きなミュージシャンがプロデュースをしている洋服ブランドの専門店に行きたい、というわけね。ほうほう、日本唯一の店舗とな。

 表参道。地下鉄で移動したその駅に、私人生において用事があったことがない。以前訪れたことがあり今回の旅行でも訪れるブルーノート東京へも、渋谷から歩いて往復したんで、やっぱり表参道駅なんて使ったことがない。いや、使ったことがあるのを忘れているだけなんだろうか……という疑いは改札出て1分で払拭。「マルシェ・ドゥ・メトロ」なる名の駅内レストランに爆笑。どんだけオサレやねんな。「『マルシェ・ドゥ・メトロ』だって、あはははははは」とお洒落小馬鹿にしてたら生徒に「そういうイラっとするの見つけるの本当に巧いよね」と褒められる。こんなど血痰ネーム見せつけられたら忘れるはずも無く、私はこの駅を使ったことはないと確信。

 表参道をさまよい、プリティグリーンの専門店とやらに。キューブ状の建物のどこに入り口があるのかと思ったら階段を降りて地下から中に入るようになっててお洒落、入り口のドアに大きく「SALE」のテープが貼ってあってロック。
 立方体底面中央にちんまりと陳列棚。キューブ内お洒落空間をどんだけムダ遣いしてんだというこの商品配置に「つるとんたんの皿かっ!」とツッコみながら、「あれ、つるとんたんで良かったよね。チリコンカンじゃなかったよね、んっ、ちりとてちん……?」とか訳の分からない迷路に迷い込むお先生を横に、リアム大好きボーイは商品をためつすがめつ静かにはしゃぐ。リアムって誰だよ的に若干置いてけぼりな残り2人の生徒も「カッコイイお洋服」には興味津々のお年頃……あ、これ欲しいなとか言い出したその商品の値段を横から見て驚愕。いかにもヨーロッパでロックな柄なのに3回洗濯したら破れるんじゃないかっていうくらい繊細さ溢れる生地で編まれたそのおTシャツが……10000円っ!
 担任「目を覚ませっ! そのTシャツ1着で今僕が来てる3枚980円のTシャツが30枚買えるんだぞっ!」
 生徒「……まぁ、それ、300円には見えんから」
 担任「慰めるなっ!」

 リアム大好きボーイはリアム大好き店員さんとリアム大好きトークが弾みに弾んだらしく気づいたら2人でVIPルームみたいな所に消えていったんですけれども、後で聞いたらその店員さんの誕生日まで教えてもらってたからどれだけ投合したのかは推して知るべし。何か沢山買ったみたいだけど幾ら分とか聞くのもあれだから。
 さて、店……もといショップ(←お洒落)を出たところで生徒さんのHPはほぼゼロ、もだめ死ぬ、みたいなムードでお先生持て余し気味だったんですけれども、歩いてたら突然「鈴木ちなみ!」「グラサンで隠してたけどあれは間違いなく鈴木ちなみ!」を見かけた瞬間に一気に3人のテンションマックス。鈴木ちなみという人は全然知らないんですけれども、思春期の少年たちにとってはスライムベホマズンらしい、お先生深く深く感謝。
 表参道から乗り換え乗り換えで羽田空港の道中は省略。「臭い!」「汚い!」「何もない!」を連発してた3人の田舎者が、「東京凄ぇ!」に一気に宗旨替えしたのはちなみ様のお陰。ひとの力って凄いね。少なくとも、その(空)元気は羽田に着くまでは保ったもん。さて、お土産漁って福岡にさよ~なら~、のお生徒3氏とお別れの後は、まさかの本郷三丁目とんぼ返り。羽田空港浜松町東京本郷三丁目

 赤門前で待ち合わせの58回生Wくん・Tくんという東大文系2人に、本郷でのオープンキャンパス終了直後の高2生徒(ウチの文系Aクラスの)3人を会わせる。キャンパスライフや受験勉強について聞いてみましょうの会。赤門前で待ち合わせしたら、同じ目的で上京している高2理系を4人ほど見かけました。やっぱり、F校って進学校なんですねぇ。
 さて、今日お集まりの文系3人は、3人とも志望が文Ⅰ。文科一類の場合、この人は100%合格! っていうのは決して言えない(100%不合格ならドンドン言えるんですけれども)もんですから、3人を評するのが難しいんですけれども、真面目さにかけては3人とも上級クラスだし(根性に関してはこれからの生活で判定します)、定期テスト若しくは外部模試のどちらか若しくは両方で文科一類受験ライン以上に入ってるし、ってことで割と気楽に現役生に会わせられました。
 後で58回生2人に「あんなんで良かったんですか?」って心配されるくらい会話は(主に高2が)緊張しっぱなしだったんですけれども
、良いに決まってます。会うだけで良い。定期の順位の話や受験期の話、語学の話や、東大に入ったら彼女が出来るのかどうかという話まで、2時間。58回生2氏には御礼(アルバイト代)をお渡ししてお別れ。

 地下にある喫茶店でその茶話会をやってたんですけれども、途中、店中の客の携帯アラームが一斉に鳴り出した時にはものすごい緊張感が走りました。奈良で震度7という恐ろしい数値に店内がざわつきましたが、後に誤報と判明。そりゃまあ、自分たちに体感の揺れが無かったんですからアラームはおかしい、ってすぐ気づくべきなんですけれども、やっぱり……ねぇ。
 3.11の直後に上京生活を始めた58回生2人の体験談は、聞くと面白い(というのは不謹慎ですが)んですね。

 本郷三丁目から赤坂見附から渋谷(今日は何度同じ路線を行ったり来たりしていることか)、人数時間不確定の中幹事に難渋なさっていたN氏から強引に幹事の座を奪って「十徳」を予約(上京1年目の人に幹事を振ったのは大変申し訳なかった)、60回生飲み会。昨日「中本」でひぃひぃ言ってたMくんを始め、5人でビールと日本酒の宴。私自身は60回生の担任団ではなく、時間割の身分で高3漢文の授業を担当していただけなので、そう距離の近しい人達ではないのですが、現在一緒に高2(63回生)をやっている先生たちに60回生担任団が多いので、それ繋がりで話題もあったり。二次会の餃子屋(初めて入ったけれどもまぁまぁのお店だった)まで、たっぷり4時間ほど歓談。

 因みに、今日、33歳の誕生日なんですけどね。