この唄に この唄に願いを込めて

 3時30分起床、5時に学校入り。学級日誌の日直感想を読んで、感動する。
 【●●氏、▲▲氏と3人で自作の小テストを出題し合うという「世界史バトル」を行いました。勉強したと思っていても思わぬ見落としがあるもので、3人とも満点ならず……よい確認テストとなりました。なによりも互いに高め合う、という内からわき上がってくる熱い空気にシビレます。高2に上がって文系、理系クラスが分けられました。これは外からの分割であり、初期のAクラスはある意味で「受動的に発生した」空気でありました。しかし、クラスマッチ・体育祭を経てクラスの一体感は強まり、「一緒にやろう!」という「能動的」空気もみられるようになりました。Aクラスのその空気感が文化祭において良く働くのは明白です。勉強においてもこの空気が生まれたら63回生文系はとても強くなると思います。】
 学級に「知の共同体」が現出したら担任の仕事は終わりです。それは極々小さな動きから始まりますが、高校2年生の前期が終わろうとしている今、確かにそういう芽が生まれつつあることがとても嬉しい。

 因みに、上の学級日誌を読んで、現代文の授業の年間計画の中に漱石「現代日本の開化」を入れるのを忘れていた迂闊を思い出し、急遽計画を練り直し。そういう意味でも有難い文章です。

 さて、知の芽に喜び本当は一日の終わりまでクラスに付き合いたい日なのですが、大切なお友達としばしのお別れをしなくてはならないので、今回は職場を離れることを許してね、と、朝のホームルーム終了後に早退させていただき、新幹線を乗り継いで……やって来ました東京、行って来ましたカラオケ。渋谷は「カラオケの鉄人」にて、オツカル様との150分18番勝負、がっ様ご覧下さい、今回はこんなん出ましたけど~。

 オ①「イエローマン~星の王子様~」(サザンオールスターズ)→池①「楽園」(THE YELLOW MONKEY
 アラサーマストのベタ選曲、私はともかくオツカル様がとんがらないのはどうしたことかと思ったら、いつも最初に飛ばしすぎるのを反省なさって軽い曲から入るの言。「ボインにボインにボインは」って部分がちゃんと歌えたから満足なんだって(確かに、あそこは歌ってて気持ちいい)。
 オ②「デスコ」(女王蜂)→池②「風唄」(森山直太朗
 オツカル様曰く2曲目から「試し切り」の選曲は、私が名前しか知らなかったバンドの七色ボーカル楽曲。原曲聴いてないから知らないけど、男性版(男性ですよね?)戸川純って感じなのかな。私は、人生初直太朗。我ながら何故自分の声でこれまでこの人をレパートリーに入れてないのかってくらい歌い易かった。「ぬつのおはひ」と迷って「風唄」。
 オ③「哀歌」(平井堅)→池③「望郷じょんがら」(細川たかし
 どっちも本人登場の歌詞画面。オツカル様はこれも歌ってみたかったそう。オ「初めて女性目線で歌詞を書いた曲らしいよ。まぁ本当に女性なのかは知らんけれども」 池「ウケ目線ってことね」 私は平井堅のあまりの「紅白」っぽさに細川たかし。池「だいたい、この音だろうなってところよりもちょっと高い音出してビブラートかければ演歌歌手になれるんでしょ?」 オ「暴力団がらみで叱られた60代タレントって、絶対これだよね」
 オ④「タイマーズのテーマ」(THE TIMERS)→池④「汚れた下着」(中村中
 前回8月のカラオケではASKA薬物報道を受けてお薬方面のアーティストの曲が好んで選ばれてたんですけれども、その中でタイマーズを歌わなかったのはオツカル様曰く「痛恨」。私はATARUお姉様が女声男性キーでお歌いになったデビュー曲。
 オ⑤「美沙子に捧げるラブソング」(モーモールルギャバン)→池⑤「ミステリー あなたに夢中」(井上陽水
 いや~、笑った笑った。ストーキング的に気に入ってた女の子が別の男との間に子供を生んだら今度はその赤ん坊に欲情したという正続2曲で8月に笑わしてもらったバンドの、今度は実在のアイドルに捧げた曲……って、この曲にいつか続編が生まれたら凄いですよね。安田美沙子はもう女の子を産めない。でもって、オツカル様には、この1時間後に再び爆笑させられることになるんですけれども。私は陽水の21世紀アルバム曲。持田香織への提供曲のセルフカバー。
 オ⑥「シルエット・ロマンス」(来生たかお)→池⑥「二中のファンタジー~体育を休む女の子編」(ダンス☆マン
 陽水氏のお友達(「少年時代」のピアノを担当)来生氏の、提供曲セルフカバー。溜めがあるのが気持ちいいらしいけれども、大橋純子バージョンに慣れてるとこのスロースピードは歌い難いことこの上ないんじゃないかと思う。私は、2曲目の人生初挑戦アーティスト。グッチ裕三の気持ちになっての歌唱は「クレしん」映画の傑作「戦国大合戦」主題歌。「おい、青空侍」に涙涙しながら映画館で聞いた曲の、映画とは何の関係もない歌詞がいいですね。
 オ⑦「インベーダーインベーダー」(きゃりーぱみゅぱみゅ)→池⑦「じんじろげ」(森山加代子)
 歌い終わったオツカル様、「国語教師としてこの歌詞はどう思う?」ってそれが言いたかっただけじゃないか。お返事は、頭のおかしそうな歌詞なら50年前のヒット曲にもありますよ、と。オツカル様からは「鍵ばあさんの歌だ!」とこれまたアラサーマストの感想が食い気味に寄せられました。
 オ⑧「もしかしてだけど」(どぶろっく)→池⑧「ため息のマイナー・コード」(THE東西南北)
 お笑い大好きオツカル様の最新コミックソング。地デジ難民の私は知らない人たちだったんですけれども、エンタ系なのでしょうか。とりあえず、冒頭30秒聴いたら飛び入りで相方の歌唱ができそうな単純な曲でした(要するに、コミックソングとして正しいということ)。私は80年代の歌謡曲。ヒット曲なのになぜか登録されている機種が少ないので余り歌えないこの曲、歌うときに必ず舌っ足らずな発音になってしまうのはご愛嬌。
 オ⑨「ナオミの夢」(ヘドバとダビデ)→池⑨「Northern Lights」(松任谷由実
 「小休憩」と言って選曲のオツカル様は、たぶん「Come back to me」の後に「ドゥーン」っていう効果音を歌いたかっただけ。ベタですけど笑わされます。私は、今回の上京目的であるところの北欧転勤でっくん壮行会にかこつけて、ユーミンの北欧ソング。何しろ出だしが「糸杉」ですから。
 オ⑩「恋の罠しかけましょ」(FUNK THE PEANUTS)→池⑩「ないものねだり」(KANA-BOON
 高音低音行き来しながら頑張って歌い上げるオツカル様に続いて、私は唯一歌えると言っていい2013年ソングを。勿論人生初歌唱のバンドですけれども、これはさっきの直太朗氏と同じくらいはまった。気持ちいい! メジャーデビュー曲「盛者必衰の理、お断り」も入ってましたけど、そっちはまだ歌えません。
 オ⑪「(Where's)THE SILENT MAJORITY?」(高橋優)→池⑪「オジサンは泣いている」(永井一郎
 オツカル様の2013年ソングは恐ろしいくらい政治的な歌詞で、こんな歌が流行るんだ~、としみじみ(オリコンベスト10でした。カップリング曲のタイトルも凄かったけど)。正直全然興味は沸きませんけども。私はアニソン、としては結構マイナーかも知れない。第3期「ゲゲゲの鬼太郎」の子泣き爺のテーマソング。というわけで2曲目の80年代ソングですね。因みに第3期の猫娘テーマソングは、声を担当した三田ゆう子さんではなくて、ポータブルロック野宮真貴さんが歌っておいででした(「皿小僧」のエピソードで使われてましたね)。
 オ⑫「ダイナマイトが150トン」(小林旭)→池⑫「最后のダンスステップ」(あがた森魚
 歌謡曲2曲。オツカル様は「赤いトラクター」なんかも得意で小林旭はお手の物。私は「百合コレクション」と迷ったけれども、「風立ちぬ」号泣のオツカル様に捧げるべく、歌詞に「シベリアケーキ」「風立ちぬ」など出てくるこちらの方を。東口トルエンズのカバーバージョンの方が馴染みあるせいで、ついつい怒鳴り上げながら歌いそうになってしまいますが。この曲、「つむじ旋風(かぜ)」のルビが「せんぷう」になってる等、歌詞のルビが滅茶苦茶に間違っていました。
 オ⑬「安めぐみのテーマ」(水中、それは苦しい)→池⑬「雨にうたえば」(MONOBRIGHT
 再爆笑。偶像賛歌2曲目は、まさかの安めぐみ。前のモーモールルギャバンもそうだけれども、選ぶタレントが微妙なところがグッと来ます。オ「この2曲、対バンステージで一度に歌われたことがあるらしいよ」 池「水中、それは苦しい。っていう文、独立語を中1に教える時に使ったことがあるけど、誰も気づかんやった」 私はオツカル様とじゃなかったら長くて単調だという理由で遠慮するだろう選曲。
 オ⑭「キャノンボール」(中村一義)→池⑭「夕立」(井上陽水
 天才といえば中村一義中村一義といえば天才。この歌も大事なところで歌詞のルビが間違っててオツカル様ちょっと悔しそう。気分直しに、オツカル様とのカラオケでは必ず歌う(オツカル様のリクエストで)「夕立」を。前奏からヲタ芸かますほど大喜びのオツカル様でしたけど、やっぱり釈然としない。
 オ⑮「マツケン・マハラジャ」(松平健)→池⑮「土用波」(中島みゆき
 オツカル様との2人カラオケでは、一日に同じアーティストの曲を2曲歌わない、一回歌った曲はもう歌わない、という不文律があります。例外は、オツカル様が好きで好きでたまらないたまの曲と、必ず毎回私が歌う陽水「夕立」だけ。今回オツカル様は、⑮⑯でその不文律を破ったのですが、たぶんそれは私にこの2曲を覚えさせようとしているんですね。実際、松平健はともかく次の稲垣潤一は覚えつつあるもんなぁ。
 オ⑯「日暮山」(稲垣潤一)→池⑯「セシルカットブルース」(小島麻由美
 オ「悲恋の恋人が沼に身を沈めて蛇になる歌。キーワードは『えぞ松』」 歌詞を見るたびに笑ってしまうのは、もう中毒になりつつあるんでしょうね。私は小島麻由美の初期三部作アルバムの中で最も有名な曲。初めて聴いたのは、そういえばユーミンのANNでしたね(懐かしいなぁ)。小島麻由美は「光と影」を一回歌ってみたいんですけれども、「カラ鉄」で入ってないってことは入れてる機種がないってことなんでしょうねぇ(どマイナー曲ですし)。
 オ⑰「お願い! セニョリータ」(ORANGE RANGE)→池⑰「若者のすべて」(フジファブリック
 どこへ消えたORANGE RANGEの夏歌詞いヒット曲、私も同じくどこへ消えたフジファブリックの夏歌詞い代表曲……なんですけれども最近山Pがリバイバルヒットさせたというこの曲を私は全然好きじゃなくて一回歌ったら気に入るかなぁと思ったんだけれども駄目だった歌ってて全然面白くないもん折角のオツカル様とのお遊びで無駄撃ち選曲したのが勿体無い。
 オ⑱「ハチのムサシは死んだのさ」(平田隆夫とセルスターズ)→池⑱「花火」(所ジョージ
 ラスト6分でお互い短めの曲を。所さんの「花火」は、短いしラストは打ち上げ花火の効果音で終わるし、夏~秋のカラオケで最後が回ってきた時に使い勝手がいいのです。

 という訳で、18番勝負全36曲でした。後1時間あったら、高橋真梨子「So in love」とかUA「水色」とかサカナクション「なんてったって春」とかブルーハーツ「train-train」とか水木一郎「サバンナを越えて」とか小沢健二「ドアをノックするのは誰だ?」とかを歌ってたところ。
 解散の一時間後、オツカル様から水中、それは苦しい「まじんのおのようこ」が送られてきました。ありゃす。

 所は赤坂見附、待ち合わせのでっくんと二人で入った北欧料理店(だから、北欧に旅立つ人に北欧料理食わせてどないすんねん、と)にて、スモーガスボードの晩餐。二人っきりだったから珍しくたくさんお酒を飲ませてしまって、二軒目は本郷三丁目まで移動して、でっくん家の近くのコーヒーショップと相成りましたけれども。
 最初に会ったのが小学校の塾の合宿で、中高大と一緒に過ごして、就職以来は年に1回会うか会わないかになって、これから数年間は会えなくなる、という友達と、ちょっと高級な料理店で3万円も払わせて(でっくんが断固として自分が出すと言って聞かなかった)、やっぱり与太話聞かせるだけしかしないんです。だって、共有している思い出は確認する必要もないし、でっくんの仕事(研究職)は専門的過ぎて聞いても分かんないだろうし、だから与太話。でっくんもF校出身、F校教師である私の右往左往失敗談を、呆れながらも優しく聞いてくれる……というそんな関係は、結局出会ってから20数年間全く変わらなかった。中学時代の寮、二人部屋の二段ベッド、消灯後の話がヒートアップしたことがあって、その話題も他愛ない、ドラえもんの「悪魔のパスポート」を持っていたら使うか使わないか。「僕は絶対使うだろうなぁ」と言ったときのでっくんの怒りっぷりったらなかった。「君は絶対使わないんだっ!」