冷たい月はキライです 冷たい人もキライです

 南木佳士「ウサギ」の授業を4コマ。
 A組文系(自分のクラス)の授業。学校のアイドルのランドセルにウサギを隠す悪戯をした主人公、罪悪感で登校の翌朝に見た彼女のいつも通りの笑顔にノックアウト、恋心を明かせずに時は経ち、秋の生栗を頬張りつつ高台で彼女の家を見詰める……という展開の最後に「マロンティック」など言ってしまいぶち壊し、どん! 別の組では、絶対に言うまいと思い詰め過ぎて逆に口から出てしまうパターンで「ウサギのマークのランドセル」と口走りぶち壊し、どん!

 新久千映ワカコ酒(1)』読了、★★★★。一品一杯運動、これが女子流の本筋とは(少なくとも知り合いの女性を思い浮かべる限り)思えないですが、ざっくばらん居酒屋のカウンターに真空地帯を作って一人呑み、っていうのが楽しいっていうのは(飲み食いの量こそ違え)大共感。台詞・絵の描きこみの少なさも、精米歩合ってことでひとつ。
 内田樹内田樹による内田樹』読了、★★★★★。至って真面目なレヴィナス論を核に据えた著者の思想史大成、初めて見る内容には膝を打ち、二度目に見る内容には頷きながら膝を打つ。饒舌なおじさんの床屋談義、この方が文章をお書きになる時の射程は(共時的にも通時的にも)広いと思うのだけれども、さて、何年読み継がれるのでしょうか(少なくとも私は、『ためらいの倫理学』の中の「越境・他者・言語」だけは数十年読み返すと思う)。