Strange fruit hanging from the poplar trees

 あ~、ちょっと昨日は飲み過ぎたかなぁ、酔っぱらってるって程ではないけど旅行もあって身体が疲れてるなぁ、と朝風呂にゆっくりと浸かり身体を拭き、冷蔵庫で昨日の夜にコンビニで買って冷やしておいたミネラルウォーターを飲み、同じく昨日の夜にコンビニで買って冷蔵庫で冷やしておいたTシャツを着た途端に余りの冷たさに酔いも旅行疲れも吹っ飛ぶ。やべぇ、昨日、結構酔っぱらってたわ。

 「男く祭」からモードを受験生に切り替えてF高3年生、黄金週間にも登校自習しているA組のハレルヤな生徒同様、4日ぶりの学校で休日デスクワークに勤しむ。東大文系現代文特講・東大理系現代文特講・東大理系漢文特講・京大現代文特講、の初回講義のプリントを作成印刷する、と気持ちが高まってくる。

 「もりき」とHさんにお土産を渡して旅行終了、後の一人打ち上げは勿論そのまま「もりき」にて純米酒の福音。と、いうわけで旅行中の読了本です。
 先ずは漫画。木下晋也『もここー(1)』読了、★★★★。面白かったけれども、『つくりばなし』の方に一票かな。おんなじ理由で、施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』も★★★★(『オンノジ』という傑作は誰にでも勧めたい!)。
 葉室麟『随筆集 柚子は九年で』読了、★★★。恥ずかしながら私は藤沢周平、そして司馬遼太郎(!)の本を一冊も読んだことがないのですが、葉室氏のこの本を読んで、藤沢周平の本は読んでみようかなぁ、という気になりました。そういう意味で、力のある本(文章)だったんですよね。私が大ファンの内田樹先生は著書の中で度々司馬遼太郎を取り上げて論じてらっしゃいますが、その文章を読んで司馬遼太郎を読みたくなることはないもんなぁ(というか、内田先生の文章だけで十分という気になるのですね)。あ、私が司馬遼太郎を読まないのは大ファンの森銑三翁の呪いのせいです。
 内田樹小田嶋隆想田和弘高橋源一郎中島岳志・中野晃一・平川克美孫崎享鷲田清一『街場の憂国会議』読了、★★★★。高橋源一郎の筆力を初めて知ったのが大収穫。山本夏彦翁は日本を悪くいう自虐派を批判する人でしたが、今を生きててこういう面々の文章を読んだら何と言ったことでしょうか。私は(以前も書きましたが)この面々は桐生悠々なんじゃないかと思っています。桐生は「蟋蟀は嵐の縁に鳴き止まず」と詠んだ。それならこの本は「蟋蟀は嵐の縁に鳴き集く」ですね。行水の捨て所なし、って風潮は望めませんかねぇ。
 古市憲寿『だから日本はズレている』読了、★★。私は古市さんの誘い受けが読みたいわけで、こんな「日本の論点」個人編集バージョンなんか別に読みたくなかった(ゲストが登場しない古市本なんて!)。今回の新書は、誘い相手の顔が見えないからダメ~。あ、古市本と古本市ってアナグラムですね。
 林堂寺耀『十二人の抹殺者』読了、★★★★。500ページ超の珍本って何だよ、と思いつつ読み始めたら降りられなくなった。質を今の目から裁断するなら色々言いたいことはありましょうが、探偵小説は雰囲気の読み物ですから(ドラマ『理想の結婚』の中の石井光三の名言「たこ焼きは雰囲気の食べ物」より)。だから驚いたのは、同時収録の中編「人間掛軸」が問答無用で面白かったこと。読んだら誰でも言うでしょうが、このスピード感は映画ですよ。