まさか過ぎる人生が 行ったり来たりする

 5時学校入り、①添削、②職員室ゴミ箱掃除、③学級日誌コメント、の仕事。その③について、スポーツに興味ない人間同士の学級日誌を介した心ないやりとり。生徒「羽生ファンの妹がアゴの怪我を心配してたので『羽生くんにアゴはないんだよ』と優しく慰めたら半殺しにされました」 担任「よく知らないけど、出るべきでない試合に出て勝てなかったんでしょう? 美談にでもするしかないですね」
 朝と帰りのSHRは副担任先生に託して学校離脱、朝からK市と小倉の往復、母君の通院に立ち会って今後の治療方針を考えます。17時の東大理系漢文特講までに学校に戻れるかドキドキ。でもって今年に入って消化しまくりの年休が保つのかもドキドキ(1時間単位で年休が取れる職場で本当に良かった!)。

 母君がかかっておられる病院、待ち時間が少ない(患者は多い)。短い待ち時間の間に母君に生活の様子を聞くと、仕事は徐々に軌道、退院後の薬の量も徐々に減少、咳だけはずっと続いていますが(毎日電話するのが申し訳なくなる程に)これは手術後は仕方ない、と。
 主治医の先生のお話。母君も私もそれなりの覚悟は決めていますが、それでも。リンパ節には転移あり。小脳の転移は1箇所で、これはガンマナイフで切除する。その後の抗がん剤治療に分子標的薬が使えるかどうかの検査結果が来週には出るのを待ち、継続治療を始める。

 徒歩2分で家に戻って、母君と昼食を摂りながら、K市での受診(必要ならば入院)をお願いする。母君には母君の仕事等の都合がありましょうが、例えば何クールもの抗がん剤治療を行うと仮定して、それを私がK市小倉と往復しながら支えるのはたぶん無理で、無理ではなかったとしても抱えている生徒に有形無形の迷惑がかかることを、委曲を尽くして……嘘、委曲を尽くすまでもなくそんなこと母君はご承知なわけで、仕事(母君もケアワーカーですので、抱えている利用者がいるのです)の調整をはかってくださる、と。

 2時ごろに家を出て、徒歩15分で小倉駅……に向かう途中、あなあはれ来春には廃校になってしまうY塾の小倉校舎前を通ったら、警察封鎖、TVクルー集合。職業柄気になって立ち止まると、マイクの人が近づいて来られ。「FBSですが、何が起きたかご存知でしょうか?」「いえ」
 Twitterで検索したらゼミ生間の刃傷沙汰と記事。今のクルー、知ら(調べ)ずに現場に来た(野次馬に尋ねた)の? とちょっと驚く。でもって、「クルー」という言葉からUVERworldしか浮かばなくなったのはうちのクラスの生徒某の学級日誌のせい。

 途中で、中島みゆきのニューアルバム『問題集』を買って、新幹線の中で聴く(えぇ、CDウォークマン派です)。
 【「きっと元どおりにしてね」「きっと昔に戻してね」 言うほうも言われるほうも なかなかせつない 病院は戦場だ 病院は外国だ まさか過ぎる人生が 行ったり来たりする】 K市に近づく新幹線で、とれとれの新曲のタイトルは「病院童」ですって、みゆき姐さん参るなぁ。

 15時30分に学校に戻り、17時から東大漢文理系特別講義。採点は明日の朝に回して、「もりき」の湯豆腐。