天使の翼が 見えるのよ ラララ…………

 朝から、学級通信・授業準備・添削の3本立てで仕事。の取材に、「TEEN! TEEN!」のプロデューサーの方がお出でになる。正式な撮影(ピースのお二人と、アイドルの橋本環奈さんが来校)は17日なのですが、その前段階として、その時に取材をする教員との打ち合わせをするとのこと(正式な撮影時には、練習や打ち合わせその他は一切ないそうです)。

 資料プリントを(色々な本のコピーから)切った貼った(チョキチョキ、ペタペタ)してるところや、特講答案の添削採点をしているところをビデオカメラに収められる。
 プ「毎日、ず~っとこういうデスクワークをなさっているんですか?」
 私「授業とHR以外は、基本的にそうですね。出勤5時、退勤18時を続けてます」
 プ「5時! ここの先生は全員がそうなのですか!?」
 私「まさか。私は家が近いので、書斎代わりに使っているだけです。テレビ局の方が、時間に関しては普通と違うのでは?」
 プ「ええ、まあ……僕らは××××(自粛)ですから」

 私の授業準備を撮影されながら、特にプロデューサー氏が興味を引かれた様子だったのは、東大・京大・一橋大、と国語の解答欄の形式体裁が全く異なっているところ。何度も解答用紙を眺めたり撮影したりなさっていました。受験校としての側面をどう紹介するのかをこれからお考えになるのでしょう。

 資料プリントには、散文論文詩文漫画辞書歌詞型録英文……と色々なものを用いますよ、とお話をして実際にお見せ致しましたら。
 プ「ピースの又吉さんも本を何冊か出してますが、先生、お読みになったことはありますか?」
 私「せきしろさんとの共著の無季自由律俳句の本2冊は読みました。今、国語科に置いています。俳句の授業の資料で使ったことがありますよ」
 プ「本当ですか!? それ、お二人が喜ぶと思います。是非使いましょう」
 やらせではない(実際授業で使ったし)けれどもこの程度の仕込みはあるのですね。
 正式な撮影時には、まず私の職員室の机の上を撮られるとのこと。私はそれを本を重ねて置くためだけに使っているので、机の上は一面が高さ50~60cm程度の(数百冊の)本の山になっています。その一角、映せば最初に目に入るあたりに、又吉直樹せきしろ『まさかジープで来るとは』『カキフライが無いなら来なかった』の2冊を配置。

 プ「先生はピースのお二人をご存知だったのですね。芸能に興味がおありだとは思いませんでした(←ひどい偏見だと思います)。じゃあ、橋本環奈もご存知で?」
 私「それは、申し訳ありません。私、地デジ以降のテレビを知らないものでして、最近の方を存じ上げず」
 プ「そうなんですか、『天使過ぎる』って最近話題なんですよ。ここの生徒さん方は進学校だから違うかも知れませんが、普通の高校生なら熱狂するんです」
 私もプロデューサー氏も間違えました。私は、いくら私が最近の芸能に疎いっつっても顔も知らないくらいのレベルだから大した人気ではあるまいて、と舐めてかかった。プロデューサー氏は、進学校の生徒が人気アイドルに熱狂しない、しても大したことはない、と先入観があった。両者誤りを、二人とも正式撮影の時に痛感することになります。

 さて、前述の又吉さんの共著本を国語科に取りに行ったら、科室の一角に千冊の本を積んでいる様子をご覧になったプロデューサー氏がここも後日撮影したいと仰り。「この、ずら~っと積んである本を上からなめるように全体を映して行く感じで」とのことでしたので、プロデューサー氏がお帰りになった後で、一番上に積んである本を入れ替えて(もしもテレビに映った場合に)視聴者の人に本の識別ができるかどうかのクイズを仕掛ける。『鬼灯の冷徹』(江口夏実)や『ライチ☆光クラブ』(古屋兎丸)は初級、『百万のマルコ』(柳広司)や『女ぎらい』(上野千鶴子)は中級、『遺言のつもりで』(岡部伊都子)や『愚教師日記』(中村浩)は上級、なんて遊びながら。

 結局割と楽しんで取材を受けてる私。でも、あれでしょうね、さっき「もしもテレビに映った場合に」と書きましたが、何十分も撮影しても結局バッサリってことが多いんですよね、きっと。だから、私も結局10秒とか20秒とかしか映らない、とかになるんでしょうね。さて、これで母君への親孝行はできるのでしょうか。

 あ、母君は明日から仕事に行かれるとのこと。お強い。