I'm Moving On

  矢野顕子さんがとあるライブの最後のMCで仰有ったと仄聞したお言葉。「忌野清志郎の葬式に4万人とか40万人とか集まったんだって? そんなのに集まれるくらいだったら、生きてるうちに来い! 生きてるうちに清志郎のライブ見ろ。生きてる矢野顕子も見に来い!」
 センター試験前の高3担当だという条件があったので迷いましたが、生きてる矢野顕子だけじゃない、生きてる細野晴臣に生きてる鈴木茂に生きてる林立夫が生で見られる機会が今後果たして巡ってくるのかどうか、を考えて申込み。矢野顕子さんさとがえるコンサート、今年は大阪で鑑賞です。

 昨日の特講『白』は出来不出来はありますが真摯に解答が成されていて安心、5時~8時の3時間で添削を終わらせて、朝のSHRで返却した後、新幹線で新大阪。
 先日、「12日の金曜日に昼飲みできる~?」ってメールを送った56回生S氏(京都在住、京大院生)が、「大阪でなら大丈夫」というお返事で、(私が京都に行くのではなく)飛んで火にいる大阪待ち合わせの僥倖

 本日と明日は高3生徒はマーク模試。を受けているっていうのに、本当に昼の大阪激安居酒屋でしっぽり酒を飲んでいる私(とS氏)。
 S氏は、極々最近、共同研究の成果が「Nature Physics」に掲載されたとのこと。でもって、何を研究しているのかと聞いて「ウラン化合物超伝導物質の熱磁気効果が理論値の100万倍に達すること」(←これ、ネット記事タイトル抜粋ね)なんて言われてもさっぱり分からない訳でして当然話は、そのニュースが2ちゃんねる掲示板でどんな反応を生んだかという話とか、それら書き込みを観ながらS氏が「お前らは昔の俺か!」とツッコんでるという話とか、原稿料どころか雑誌に論文を掲載されるのに執筆者側が金払わんなかんってどういうことよという話とか、横滑りに滑り倒して行くわけでゴメンねアホ教員で。
 後日、F高で理系の先生にお伝えしたら「すげぇ!」って驚かれていたんですけれども、その「すげぇ!」ってのは雑誌の名前に関してなのか「ウラン化合物(以下略)」に対してなのか。だって、何かもう、神がかり的にイッちゃってる人たちの研究成果しか載らないような恐ろしい雑誌なんでしょ?(偏見)

 ライブ会場になっているNHKホール大阪、から徒歩3分程度のホテルに15時チェックイン、仮眠。適度っていうよりはもうちょっと沢山お酒を飲んだので、一度も目をさますことなく昏昏。開場10分前に目覚ましを鳴らして、シャワーを浴びた後で徒歩徒歩と会場へ。開始直前に前から6番目くらいの超良席に座る。
 ①大いなる椎の木 ②Wichita Lineman ③想い出の散歩道 ④The End of the World ⑤I'm Moving On ⑥ソバカスのある少女 ⑦冬越え ⑧A Song for Us ⑨家路 ⑩水彩画の町~乱れ髪 ⑪終りの季節 ⑫氷雨色のスケッチ ⑬こんなところにいてはいけない ⑭ポケットいっぱいの秘密 ⑮変わるし ⑯絹街道 ⑰ひとつだけ
 矢野さんオリジナル①⑧⑨⑬⑮⑰、矢野さんアルバム収録済みのカバー③⑪⑯、TIN-PAN人脈形カバー⑥⑦⑩⑫⑭、初披露洋楽カバー②④⑤、という区分にはまああんまり意味はありませんが、今回は(久々にライブの1曲目が予想通りだった)「大いなる椎の木」から最後の「ひとつだけ」まで、どちらかと言えば矢野顕子さんの「さとがえる」というよりも、新メンバーに矢野顕子が加入したTIN-PAN(細野・鈴木・林)のライブ、という感覚(それでも、矢野さん作の新曲⑧を持ってくるサービス精神)。
 夏のキレッキレに激しくて格好いいブルーノートの時とは違い、ゆったりと大人の演奏、⑥⑦⑫あたりの男声ボーカル(ボーカルに関しては、申し訳無くも矢野さん以外にはあまり興味のない俄)は、お酒が入ってたからかしら、気持ちよくて多少眠気を催したり。
 格好良かったのは①・⑤・⑯(珍しく矢野さんが入りを間違えました。細野さんボーカルの所を自分がボーカルを取るキーで演奏を始めたため)。大瀧詠一さんのファンなら、⑩に泣くのでしょう。

 ライブ後、ホテル近くの居酒屋で本を読みながら独酌、帰りのコンビニでおつまみと缶ビールを1本とを買って帰って、ベッドで飲みながらいつの間にか。

 山本夏彦『完本 文語文』読了、★★★★★。藤原正彦『祖国とは国語』は読んでないんですけれど、山本夏彦翁の影響があるのでしょうか。山本さんは藤原氏を買っておられたようですが、『国家の品格』をお読みになったらどうおっしゃったでしょう、なんてことを想像しながら。