きみなしの きみなしの 広すぎる世界で

 K市から新大阪駅までが3時間で乗り換え無しというのが素晴らしい、新幹線での移動は一泊二日の会議出張のため。某社主催の高一・高二の模試の、事後検討会が行われるのですね。西日本中の私学の先生が集まって、①模試の結果の速報を受け取る、②各教科に分かれて模試の問題・解説の出来如何を某社の人とディスカッションする。
 高一・高二の試験ですから私一切関係ないんですが、二学年の国語担当の先生が校務ご多忙につき、生徒を全員送り出した高三のお前は暇なはずだ扶養家族も居ないだろ行け、と言われた次第。

 普段は絶対買いませんが、表紙に「東大・京大」の文字が踊る「サンデー毎日」「週刊朝日」を購入、新幹線車内でパラパラと読む。各校合格者の数字を気にするなんて、まるで進学校の進路担当教員みたいですね。F高の東大現役29人という数字に(まるで我がことのように)ホクホクとする。
 
 東大に関しては、「悪い・やや悪い・例年並み・やや良い・良い」の5段階評価で、文系「例年並み」、理系「良い」って所ですよね。文系はあと少し受かって「やや良い」になれる力はあったんですけれども、如何せん「遅刻八部衆」のA組ですから、マイペースくんや時間守れんくんがポロポロっと落ちて(そう、あなたのことです!笑)しまった。理系にやや負けしたのは、はっきり言って性格・生活のせいです。
 44人のクラスで「遅刻八部衆」って改めて凄いですよね。それが一人を除いて全員前期不合格ってのも凄い。学校に訪れるA組生徒には合格・不合格問わず「結局、今の入試制度で知力だけじゃなくて人格もはかられるってこと、大体分かったでしょ?」と聞き、全ての人に同意をもらってます(同級生の動向を見よ!)。勿論、志望の高さの如何や、本番数学の出来という運要素もありますが、全体的な傾向としては現行の入試制度で過たず合否は分かれる。
 でもって、いちばん凄いのは何かって、上記を踏まえたら「遅刻八部衆」の改善が2年かけても出来なかった担任の責任論が出てくる筈なのに出てこないのが凄い(これから出てくるのかも知れませんけど)。偉い人々はきちんと見ている筈、というのが最近の私が積極的に「最初で最後の担任」と言い続けている所以。少なくとも、偉い人がこいつを担任にしようかと考えた時に「でも待てよ44人のクラスで遅刻八人て」ってなる筈です。
 あ、でも、(東大に限らず)大学に合格した生徒の割合はあんだけ弱々しいクラスでも「例年並み」です。生徒は頭良かったし、きちんと頑張った。

 会議は、東京からのゲスト先生がひたすら問題にダメ出しをするのにベネッセが畏れ入りまくるのを大阪・京都の先生たちが宥めとりなす、という構図でした。私は、とある理由で模試を作る(有名高校の)先生方・それをとりまとめる会社の人々、の苦労を知っているので、命じられない限り口を噤んでおりました。
 その後の懇親会では色々な人と名刺交換も(私、名刺なんて大それた物を持たされたのです)。鹿児島の某高校の国語の先生には「ブログを読んでます」と言われ、大変申し訳なく思いました。

 あ、因みに、今回検討した模試の問題の中で私が笑ったのは、漢文の注と選択肢の文言に「ポスト」という外来語が使ってあったこと。「役職」でいいじゃんか。
 以前、定期テスト古文の解答で「洋服」という語を使った生徒解答を減点するか迷ったことがあります(定期だったので、ツッコミ入れるだけで減点はしませんでした)。入試ではどうなんだろ。

 懇親会の二次会にもお誘いいただいたのですが、色々な学校の偉い先生方のオーラにあてられて疲れ切っていたので、同じくF校から来ていた数学科お二人と離脱して、軽く飲んでからホテルに。ホテルに戻ってからも、そのうち1人の部屋でたる~く喋っているうちに気づけば日付を超えていました。
 滅多にお話しする機会のないお二人との会話だったので、これが実はいちばん楽しい時間だったかも。旅は日常を相対化しますね。