感染者は その大気中に さらなる嫌悪感を増す 行動をとる

 上野顕太郎『いちマルはち』読了、★★★★。ウエケンにおける新聞四コマ的試みか、と侮って読み始めたら(作者自身も意図せずに、と自ら告白していますが)途中から純ギャグにシリアスが混入して来て相当アモルフな状態になる。これって、人生そのものですよね(本作最終回並に強引なまとめ)。
 伊藤潤二『溶解教室』読了、★★★★。アモルフな状態と言うなら本作が正にそうで、人間が溶けちゃうというテーマ設定にしても、ホラーとギャグとの境目が完全に融解し合ってる世界観にしても、不定形ここに極まれりですよ。謝罪をする側がエクスタシーを感じ、そのエクスタシーに魅せられて謝罪される側は脳が溶ける。2013年の作品が、2014年の謝罪三兄妹(佐村河内・小保方・野々村)を巡る日本の知の沈没を予言してたんなら凄いですね。
 筒井康隆『偽文士日碌』読了、★★★★。ブログ本。旅行・交遊・食事・嗜好、を書き連ねるだけで芸になる。発想筆力の衰えもありましょうし、筆者自身が焦りを表明しているように権威を衝く文学者が権威化してしまった現実もありましょうが、先ずは日常がそれだけで文芸になる「文士」が日本にいることの価値に一票(筆者自身は含羞を込めて「偽」と題していますが)。だから、本作中で筆者が言ったように、筆者は死んではいけない、長生きしなければならないのです。

 昨夜は調子こいて飲み過ぎたので、午前中は家でおねおねぐねぐねと過ごし、昼前に職員室にイン。中3漢文(次の水曜日が第一回の授業)の授業準備をしたり、明日が初授業の高3現代文の板書案や喋る内容を考えたり。
 高3現代文の初回は、去年の63回生と同じく共通一次村上陽一郎を扱います。喜ばしき学問とは何か、そして現代文とは何か、を最初の授業で巧く話せたらいいのですが……。2回目の松村栄子(センター小説)までは去年と同じ順番にして、以降は昨年とは教材を違えるようにします(例えば、昨年は年度末に扱った西谷修『理性の探究』は、今年は第1回定期テストの範囲に入れます)。そうしないと、昨年度と定期テストの問題が同じになってしまうのですね。

 職員室の机の上には、今年は買ったまままだ読んでいない本を並べています。中にヤマザキマリプリニウス』と竜田一人『いちえふ』の1巻をそれぞれ入れていたら、隣の席の関西数学先生が「2巻は買わへんの?」と。「1巻を読んだら」とお答えしたら、「ワシは君のを読んだから2巻が読みたいなぁ」と。こういうのは本を置いている冥利に尽きて嬉しいですね、どちらも即日2巻を買ってきました。これで、たとえ私が読まなかったとしてもこの2作品は読むべき人の手に届いたことになります。

 夜は「もりき」に。18時過ぎに来た時には、かつてK市に滞在した同僚の紹介で初めて訪れたという自衛隊氏(楽隊の方々)が小上がりに6名。マスターに「昨日の毬栗頭さんたちはリピーターになりそう?」と聞いたら「多分」とのお返事で、正にズバリその直後に当の3人がいらしてカウンターに。総勢9名の客にマスター天手古舞い、結局私の料理を作る暇無く、私は刺し盛り(3種×3切)だけでビール・日本酒2合半を飲んで帰宅。

 明日は本年度初授業、楽しみ半分、緊張半分。