高校生の自分に 勉強を教えたい

 朝、中学の生徒会報(?)の教員アンケートの依頼が来ており(新入生に見せるのでしょう)、その中で「F校はどんな学校ですか?」という質問があったので反射的に「かつては『大雑把』な学校でしたが、今は『小粒』な学校に変わりつつあります。山椒のようにピリリと辛い、で行きたいですね」と書く。色々な読まれ方がありましょうしそも中1には意味が分からないでしょうけれど、まあ書きたい通りに書いた方がいいよね、と思い。

 というわけで、本日(保護者・生徒に)配布の64回生高3学年通信に、学年主任先生より命ぜられて書いた新担任団としての自己紹介の文章を転載。63回生の担任としての生々しい記憶を蘇らせたら、10分ほどでさらさらと書けてしまいました。

 【高校から進学の方々は二度目まして、中学から進学の方々は三度目まして、国語科の池ノ都です。今年度は、進路指導主任として64回生高3の担任団に加入し、授業・特講では現代文を担当することとなりました。宜しくお願い致します。
 思えばF校に赴任して今年で12年、膨大な業務に全身全霊を傾けて右往左往しつつ、数々の失敗失態はあらん限りの力で糊塗する毎日でした。特に高校63回生の担任を受け持ったここ4年、人生においても色々貴重だと思われる30代前半を「あの200人」のために蒸発させたという事実には震えが止まりません(最近、喜んでも悲しんでも怖がっても怒っても震えてばっかりなので、友人から「西ノ都カナ也」と呼ばれてます)。忘れもしない4年前、校長室で校長先生に突然「先生には来年度は中3(41回生、高校63回生)の担任をやっていただきたい」と言われ、関わったこともない学年の担任などというあまりの命令に「はい?」と聞き返したらそれが承諾の返事だと受け取られ「先生は前向きでいらっしゃる」と言われたあの日、あの日からの4年間はそれはもう大変な毎日でした。詳述すると通信の厚さが倍になるのでそれは別の機会に譲りますが、それを乗り越えた私に与えられたご褒美が、今年度の64回生副担任だという風に認識しております。
 かつて中1・高1と(通りすがりの立場で)授業を担当させていただいて、これ程授業のし易い学年はありませんでした。「ああ、この学年の生徒は私ごとき弱き生き物を温かく迎えてくださる度量の広さを持っているのだなぁ」と感服、その学年の生徒と(昨年度63回生に引き続き)高3現代文という概念的に最も面白い教材を共有できるということへの喜びに震えが止まりません(念のために申し添えておけば、授業プリントが使い回せて楽だということが喜ばしい訳ではありません)。
 自己紹介の為の文章だったはずですが既に紙幅が尽きてしまいましたのでこの辺りで筆を擱きます。が、最後にお願いが一つ。皆さんも受験学年として気分一新のはずですので、どうか私のことも先入観無く全く新しい教員として見て下さるようお願い申し上げます。先入観なんて百害あって一利なしです。1月のテレビ番組でも多分キョドっていたはずですがあれはメディアの演出です。63回生の先輩からはろくな噂を聞いていないでしょうがどうせ彼等の目は節穴で耳は竹輪です。皆さん自身が中1・高1で授業を受けたと仰有るでしょうが皆さんの記憶力だってあてになるものではありません。先入観なく見ていただければ、私がまともな教員だと皆さんに思っていただけるワンチャンがあります!
 ともあれ、不向きこの下無い担任業務4年間を何とかやり過ごした私にはもう怖いものはありません(30代前半を捨てたと思ったら失うものもありません)。意外に楽しい受験現代文、200人分の知と対峙しながら一年間は真剣に遊ぶ所存ですので、どうかお付き合いの程。】

 1・2時間目はセンター小説授業。3・4時間目は、63回生の浪人生とお話。それぞれ東大・京大に向けて努力しているであろう2氏へのアドバイスは、とにかく孤独に苦しむこと。「友達と仲良く」浪人している人は根こそぎ第一志望に届きません。一人で食事したら30分、友達となら1時間半です。
 来校の浪人生お二人から、早くもだれてる浪人生の話を聞きましたが、まぁどうすることも出来ませんね。アドバイスは「捨てろ」の一言です。変に救おうとかして巻き込まれないこと(離れること)。とにかく孤独に勉強をしなさい。

 放課後14時からは、64回生高3の保護者会、だったのですがその新担任団挨拶で壇上に立ち、「国語科の池ノ都です」と名乗った瞬間に皆様がドッと笑ったのはどういうことなんですかね。「何で笑うんですか」で再び湧いた後は、もう5分間何を話しても笑われる入れ食い状態でしたけれども。はは~ん、この学年、真面目やな(今更)。
 でもって、保護者会に来ることが出来なかったご家庭には今日の資料・配布物を袋詰めして郵送するのですが、会の後にその作業を私がしているのを見て学年主任先生が「えええええっっっっっ」と後ずさる。「そんなこと我々がしますから」と仰有るんですけれども担任の先生は保護者会の後にクラスのお父様お母様に捕まって色々お話をされていたから副担任の私が作業をするってのは自然な流れじゃないのかしらん。

 夜、英語科先輩先生とさし飲み。
 国語「袋詰めの作業くらいであんなに驚かれんでも、と。副担として普通じゃないです? 若しかして、僕、担任団の一員として認められてないんじゃないかな」
 英語「そんなことはないやろ、端から見てたら溶け込んでると思うけど」
 国語「でも、主任先生、作業してる僕に『そんなことをされたら……何か裏があるんじゃないかと……』って」
 英語「あ~、認められてないのかも」

 勉強だけではなく気働きも出来る東大理系TくんがLINEに依頼を流して下さって、63回生理系の合格者得点開示が続々と集まってきます。
 ん~、今年は英語の採点が厳しいですね。でもって、理系は国語がちゃんと出てて安心(昨年の採点は厳しすぎましたね)。現在点数を届けてくれた合格者、6割(48点)に届いてる方がちょいちょいいらっしゃいます。