飾り脱ぎ捨て すべて失くす時 何かが見える

 テレビでも新聞でもネットでもニュースは追わない、twitterのTLだけ、という人間でも流石に目に入ってくる「ドローン」の文字のインパクト。これ、こないだ『こち亀』で扱われてましたよね。いつかコミックスで削除修正されたり注意書きが付されたりするようになるんですかね。

 西尾維新『大斬』読了、★★★★。西尾維新が原作を担当した短篇漫画9作。参加した9人の漫画家の内、私が作品を読んだことがあるのは中村光小畑健だけ。それも中村さんは『聖☆おにいさん』は読んでるけど『荒川アンダーザブリッジ』は読んでない、小畑さんは『CYBORGじいちゃんG』(←傑作)と『人形草紙あやつり左近』だけは読んでるけど『ヒカルの碁』も『DEATH NOTE』も『バクマン。』も読んでない、というわけで要するに9人の漫画家については殆ど何も知らない。
 作品自体は、何というか割とあっさりした(幾つかに関していえばひねりがなさ過ぎる)印象。池田・山河・中村さんが作画を担当した3作品については、ほぼ冒頭でオチが分かったし……つっても、オチが分かったら作品の価値が下がるという訳でもないでしょうし、よく考えたら西尾作品=ミステリー、って偏見で読む必要もないのかも知れません(実際、一番面白かったのは山川あいじ「恋ある道具屋」だったし)。
 何を言いたいのかというと、要するに、文体を洗ったらとても素直な人だったのね、というのに驚いたということでして。西尾氏の本を読むのが2年ぶりだったので記憶から消えてるだけなのかも知れませんけれども、今回の本で一番驚いたのは「大斬小噺」と題された後書きの「普通さ」でした。

 吉行淳之介吉行淳之介対談集 やわらかい話2』読了、★★★。小出しに印象(←私の日記には、本の感想・批評は一切書いていません。全て「読書印象文」だと思っています)を書いてきたので付け加えることはないんですけれども、アダチ龍光「右か左か パンから時計」ってのは掘り出し物ですね。昭和天皇の御前で奇術を披露、の顛末はそのままコントだよ。

 もう一冊、とある思想書を読了。校内模試用の問題出典になる、と当たりをつけて読み始め、昨日ページ数にして5分の3を読み終わった時点で使える箇所が無かったのですが、今日残りを読了したら、その中に1箇所だけ使える部分がありました。10月・12月に行われる第3回・4回校内模試の評論は東大若しくは京大を意識した文章を選ぶのですが、第1回・2回についてはセンターを意識した文章を選ぶ。両者は勿論基準が全く異なっていて、個人的な好みとしては前者が好き。
 実際、本の感想は★★★。帯、褒めすぎ。

 5時学校入り、授業準備・職員室のゴミ箱整美・昨日の分の日記更新・上記思想書の読了。1・2限はセンター小説授業、野呂邦暢「白桃」。3・4限目は授業無しで、前期思想書から模試に出題する文章をタイピングして作問の準備、進路主任として卒業生からのメール(体験記原稿・点数開示)への返信。

 2時間目の授業は、昨日の日記に書いた通り、国語科後輩先生(お洒落イケメン教養人、芸術スポーツもこなすと来た!)による授業見学。冒頭口上、以下。
 「本日は、国語科主任でいらっしゃる××先生が、池ノ都の勤務態度を査定するために授業監査にいらっしゃいました。タダでさえ質の低い授業の色々がばれてしまうので、昨日のうちに先生を亡き者にしようと思ったのですが如何せん隙が無く。その上風邪まで引いてしまいいつもの変な声が更に新宿二丁目臭をまとってしまうという不運。ですが仕方ないので、授業はします。ついでに言うと、監査をされているのは生徒である皆さんも同じで、皆さんへの評価がそのまま担任である○○先生への査定に直結することもお忘れ無きよう」
 後輩先生は現在の高2学年を中1から担当。何事もなければ来年度はそのまま高3の国語を担当なさるのでしょう。今年は、ご自分の学年と合わせて高3文系の漢文もご担当。生徒からの評判が高く、妬ま……じゃない羨ましい限りです。

 こないだ、140字×7段落のメールをお送りした卒業生某氏から返信。私の「将来のタフでグローバルな知のスペシャリスト」の言に返してご自分を「恥のスペシャリスト」と称する。真にグローバルな人間は先ず自文化を他者に語れる教養を持つべきであるとの覚悟で日本という「恥の文化」を身分けた人間になる、という決意ですね。(「日本=恥/西洋=罪」の両断は作田啓一氏が仰有るように即断が過ぎるかも知れませんが)その意気や良しです。某氏は理系ですが社会科選択は倫政でした。

 16時まで仕事をして、血痰ネーミングショッピングモール「You Meタウン」へ。タワレコ坂本真綾さんのトリビュートアルバム、紀伊國屋で本を数冊。書店については漫画の新刊コーナを見て山下和美森繁拓真の新刊を買ったのみ。本格的な書店逍遥は黄金週間の聖地ジュンク堂本店まで我慢(飲み会の乾杯ビールの何時間か前から水分を断つのと同じです……これ、みんなしますよね? しません?)。

 で、坂本真綾のトリビュートアルバム『REQUEST』は、鉄板で素晴らしいものだと買う前から分かってた鈴木祥子新居昭乃さんの2曲だけを聴く。はい、正解でした。新居さん、コーラス編曲を原曲と変えてきたと思ったら大サビ前は原曲完コピ、ってもうファン悶絶の展開で(新居さん自身のアルバムでは暫く聴けなかったトラディショナルな祝祭感が嬉しい!)。
 で、他の人の曲を聴く前に、収録曲のオリジナルを集めたDisc2を聴く。「うちゅうひこうしのうた」「さいごの果実」「奇跡の海」「ポケットを空にして」……ってやっぱりこの方ってシングルに名曲が多いですよね。私は熱心なファンではないんですけれども、久々に聴いた「奇跡の海」の歌声には改めて感動、これはユニコーンも懐く(新居さんのカバーも良かったけれど、この一点で原曲に軍配)。
 原曲に軍配、とか書いといてなんですけど、トリビュートアルバムに関しては原曲との優劣比較はナンセンスなんでしょうね(聴く人それぞれの好き嫌いはありましょうが)。西尾維新による『大斬』後書き、「原作者として一番幸せな瞬間は」「漫画家の先生に作画していただいた完成原稿を読み、自分の作った原作ネームが頭の中からふっと消える」「自分が原作者であることを忘れて漫画を読んでいるとき」という言葉。トリビュートされるアーティストが幸せなのかどうか、ということ。

 夜は餃子屋「T」で蒸しタン、水餃子、セロリの酢漬け。帰宅して野菜サラダ。飲んだのはビールとワイン。家では『悪魔くん』の第6話「なぜ、古代魔法界の英雄が!?」、第7話「百目一族と悲劇の月人」。次回観るのは、私が特に好きで印象に残っている第8話、第2使徒ユルグ初登場の「君の心に、とどけソロモンの笛!」です。

 お誘いtweetになっかなか返事をしてくれなかった56回生住商KくんからOKのリプ。これで5日の徹マン要因が揃った……って、何か私、遊び過ぎてますね。働こ。