歌い続けたキリギリスには どんな定めか

 少しだけ不健康起床、おじさんになると若い子と都合3軒で酒飲みながら喋る、というのが体力的に若干。鞄の中身を確認して、昨日Iくんに差し上げるつもりだった本(緑雨)を渡し忘れていたことに気づく。8時まで布団で本を読んでゴロゴロして、入浴後にホテルを出発、池袋ネカフェで昨日の日記を更新して、毎回の上京旅行におけるメインイベントとなるオツカル様とのカラオケデートに向けて山手線ぐるり、渋谷駅はハチ公前の約束なので人間がおこわみたいにぎゅう詰めになってる中で本を読みながら待つ。オツカル様は5分遅れで着、今は無職とは言え一度は就職をしたことがあるためか、大学時代は人を待たせること1時間がデフォルトだったのが嘘のようにパンクチュアルな人間になりました。

 最初の目的地は東横線学芸大学駅、カレー「VOVO」でランチです。というわけで久々に乗る東横線、と思ったら歩き出したオツカル様ったら田園都市線改札に向けて地下へ降りようとする。
 私「ねぇ、東横線ってそっちだっけ? ……はっ!!!」
 リアルに「はっ」って口に出してしまったよ。オツカル様もの凄くニヤニヤしながら時流についていけてないことを皮肉る。自分で気づいただけまだましだと言ったげて。
 新しい改札はやたら深いところにあって便が悪いような気がしましたが、渋谷から学芸大学までは電車8分ですぐ。大学の無い(無くなった)大学駅前の飲み屋街はなかなか業が深そうな店がたくさん立ち並んでいます。「お好焼」と3字で書かれると途端に「お好み焼き」感がなくなりますね、という看板とかね。店に向けて歩き出したオツカル様が振って来た話はいちいち面白かったんだけれども、「オリジナルラブ田島貴男ツイッターで結構キャラが立ってて、興奮すると『テンションマックス貴男』になる」「ヴィレッジヴァンガードダイナーというヴィレヴァンがやってるハンバーガーのお店に上京した母親がどうしても行きたいというから連れて行ったらドラマの撮影中で入れなかった」「最近電車の中吊り広告とかでよく見る『お嬢様酵素』という商品を発売している会社が次に売り出したエナジードリンクが『お嬢様聖水』という名前」という3つが群を抜いてました。「お嬢様聖水」てど下ネタやないか誰か止めんかったんかいな。

 「VOVO」のカレーは、ラグビーボールの(面積最大となる)切断面、の形を横に向けた皿をトリコロールの要領で3つの部分に分け、真ん中にぎゅう詰めのバターライス、一番右にサラサラの野菜カレー、一番左に3種(ビーフ・チキン・ドライ)から1つを選んだカレーを入れる、という方式。一回で2種類のルーが楽しめるという珍しい形で、私が選んだチキンカレーはまろやかスパイシーで美味でした。
 カレーの前に野菜サラダが登場した時点でオツカル様のテンションはだだ下がりしてたんですけれども(それでも、大学時代と違ってちゃんと食べてました。今は無職とは言え一度は以下略)、カレーの美味しさでご機嫌が回復。野菜カレーの野菜も「美味しい」と仰ってました。オツカル様は、うちの職員室にも私が知ってる限り2人いるんですけれども、生のトマトが駄目で火の通ったやつとかケチャップとかは大好き、というタイプなんだそうです。
 本棚に『バカドリル』とか井上三太とかがあって、不良じみた洋楽のBGMも合わせてオツカル様は「そういうお店ね」と頷いておられました。私には、店員さん二人がゲイのDJみたいにも見えましたけど。

 さて、東横線で渋谷に戻ったら(渋谷駅ホームから改札に上がるエスカレーターの混雑具合は酷かった)、メインイベントのカラオケですよ。「パセラ」に行ったら17時まで部屋は空いてない、と断られたのでセンター街の「カラ鉄」です。鼻喉ともに本調子ではないけれども、言い訳せずに突入、一月ぶりのデートカラオケは、腰を据えて3時間、がっ様見て見て43曲、今回はこんな選曲でした!

 オ1.私以外私じゃないの(ゲスの極み乙女
 池1.アロエサザンオールスターズ
 オツカル様曰く「もう、1曲目は絶対にこれ、じゃないと他のを歌ったらこれを忘れる」と。直前に新曲を頭に詰め込んだんですね、どんだけ勉強熱心なんだ。でもって「ボーカルは男なの?」という基本から確認しないといけない私がゲスの極み乙女の曲を耳にするのは人生初。私の方の選曲も2015年トレトレの新曲、傑作『葡萄』からは1曲目・2曲目を絶対連打する、と決めてました。

 オ2.国境はなかった(テスラは泣かない)
 池2.青春番外地(サザンオールスターズ
 後でYou Tubeで「国境はなかった」という曲を視聴したら、次の動画が「私以外私じゃないの」でした。テスラ~というのは勿論私は全く知らないバンドで、歌い始める前のオツカル様が「途中で『バナナボート』に似た部分があるのに注目して」と指示出しをして来たんですけれどもそのせいでサビ冒頭から大笑い。凄く良い曲だと思ったんですけれど、「バナナボート」の一語で殺されてしまったね。後、曲の最後に語りがあったのに驚き。オツカル様をして「最初聴いたとき唖然とした」と言わしめ。

 オ3.田園(玉置浩二
 池3.君の仲間だスピルバン水木一郎
 オ「主題歌って、『チーム』やったっけ?」 池「『コーチ』やろ。あの鯖カレーのやつ」 オ「そうそう鯖カレー」という一連のやり取りに「老い」を感じる。3曲目にアニソン(特撮ですが)を入れたら、「『葡萄』全曲演奏するんかと思った」と言われ。それでもいい程の名盤ですけれども。

 オ4.バチェラー・ガール(稲垣潤一
 池4.翳りゆく部屋(荒井由実
 今回は、3時間の長丁場というのもあるし、冒頭から私がサザンを連打したように「同一アーティスト1曲」「過去に歌った曲は禁止」の縛りは始めから無視。というわけで後からユーミンはもう1曲入れる。

 オ5.夏の前日(たま)
 池5.羊の言葉(中島みゆき
 たまはベースの人が作った曲は気持ちの悪い(すわりの悪いメロディーとシュールで不穏な詩と)ものになるそう。で、今日はその気持ち悪い系。私はオツカル様がたまを入れたら条件反射で中島みゆき、の中のマイナー不穏曲を。

 オ6.テルマエ・ロマンチャットモンチー
 池6.奇跡の海坂本真綾
 池「映画の主題歌?」 オ「いや、アニメの方」 図らずもアニソン2曲が連続。「テルマエ~」は、たまの余韻のせいかも知れませんがこれまた気持ち悪い曲ですよね(特に終わり方が)。坂本真綾は、キーを2つか3つ上げてオクターブ下げれば男声音域にピッタリになります。

 オ7.ラブ・ボクシング(清竜人
 池7.NAGISAにて(フジファブリック
 オツカル様のアイドル、清竜人さんの曲を振り(笑)つきで。私はオツカル様曰く「日本三大声変わりグループ」(フィンガー5、Folder、に続いてオチに使われる。不謹慎)のシングルB面曲を、と書いて気づくB面て。

 オ8.結局 Bye Bye Bye(平家みちよ
 池8.Come On-A My House(Rosemary Clooney)
 オ「この人、こないだ『しくじり先生』に出てた」 池「えっと、あの……(略)……オリエンタルラジオが出てたのをネットニュースで見た!」 オリエンタルラジオを思い出すのに20秒かかっとるがな。おっちゃんは、数少ない洋楽レパートリーから。

 オ9.Aquarius(The Fifth Dimension)
 池9.東京(マイペース)
 オ「じゃあウチ(←一人称)も洋楽で」となぜこんな曲を入れるんだ裏声でハモっちゃったよ。この後、テレビビジョンにカラオケ人気懐かしの洋楽特集とかいって「Owner of a Lonely Heart」(Yes)やら「Bohemian Rhapsody」(QUEEN)やらが紹介されてて、「ボヘミアンラプソディとか誰がカラオケで歌うんだよ!」とツッコんだらすかさずオツカル様が「がっ様が歌ってたのをウチは確かに聴いた!」と仰って大爆笑。

 オ10.Tokyo(平川地一丁目
 池10.名前のない鳥(山崎まさよし
 フォーク系をと思ってマイペースを選んだら、オツカル様が同名の曲を(日本三大声変わりグループって平川地一丁目でいいじゃんねぇ)。ヒット曲ですが、ボーカルが声変わり後にセルフカバーをしたバージョンを選んだ、と。したらサウンドがガリガリのロックで原曲のフォークなイメージは微塵もなく、流石に重低音攻めすぎやろ、とオツカル様も怪訝な顔をされ。後で気づいたんですけれど、流石安かろうの「カラ鉄」、スピーカーが壊れてて音割れしてるだけでした。私は再びフォーク、山崎まさよしの中で一番好きな曲。

 オ11.鍵のない箱(KinKi Kids
 池11.夕立(井上陽水
 オツカル様がこの歌を選ぶのは2度目。曰く「AのないBシリーズ」だそう。私の「夕立」選曲が画面に出た途端、歌いながらヲタ芸を始めて喜びを表現してくださいました。

 オ12.日暮山(稲垣潤一
 池12.風をくらって(研ナオコ
 私のテーマ曲が「夕立」なら(オツカル様が勝手に決めたんですけど)、オツカル様のテーマ曲は「日暮山」(私が勝手に決めたんですけど)。ホットリバーれいこは稲垣潤一になぜこの世界観を求めようとしたんでしょうか。昨日中島みゆき提供曲集を買っておきながら、私の選んだナオコソングはつのだ☆ひろ作詞作曲。

 オ13.離れずに暖めて(Sing Like Talking
 池13.モノクロトーキョー(サカナクション
 オツカル様は懐かしい歌、私は以前一度歌ったことのあるアルバム曲。

 オ14.SUPERMCZTOKYO(ライムベリー)
 池14.プルシアンブルーの肖像(安全地帯)
 池「このグループは?」 オ「女子学生のラップ。去年、1人を残して全員が脱退するという深刻ないじめが発生した」 池「最近のグループなんだ。とてもそうとは思えずに」

 オ15.青春のSUNRISE(EE JUMP
 池15.青春アミーゴ修二と彰
 池「『青春アミーゴ』ってずっと歌いたかったんだけど、前にきみがさだまさしの『修二会』って歌ったやん?」 オ「うん」 池「あれ以来、これを歌うと『修二会』の影響で歌ったみたいな掌感があるような気がして手が出なかったんだよね」と言いながら、「青春」繋がりで選曲してるんですけども。

 オ16.アイドルはウーニャニャの件(ニャーKB with ツチノコパンダ)
 池16.心凍らせて(高山厳
 このアニソンは偶然実家のテレビで観て知ってました。オツカル様曰く、ファン(AKBのなのか「妖怪ウォッチ」のなのかは聞きそびれましたが)には相当不評だそう。とりあえず、この歌詞を秋元康が考えている所は想像したくありません。私は、多分オツカル様が好きな歌だろうなぁ、と当たりをつけて選び、ドンピシャだったようで予約タイトルが表示された瞬間オツカル様が「盗られた!」と。放送開始直後の「CDTV」で上位に君臨してましたよね。

 オ17.影法師(堀内孝雄
 池17.NIGHT WING(工藤静香
 前者は本人映像、この首の振り方は絶対幽霊が見えているはず。オツカル様はお得意の(YouTubeで勉強した)ライブ歌唱バージョン、ですので「溜め」が長いし多い。私は、以前歌った歌を2度目の練習。キーを2つ下げたらいいのね。

 オ18.都会のメロディー(シャ乱Q
 池18.My Babe君が眠るまで(シャ乱Q
 つんく♂さん快癒祈念の選曲……と思ったら、オツカル様が「シャ乱Qの曲を入れて口パクをするっていうネタがあるんだけど」と言い放って悶絶する。そら不謹慎ですわ。でも、笑うやろ。

 オ19.男と女(CHAGE&ASKA
 池19.MONKEY MAGIC(ゴダイゴ
 オ「次はASKAさん快癒祈念」ってだから笑うやろ。

 オ20.大阪LOVER(Dreams Come True
 池20.Pi Po Pa井上陽水
 オ「大阪(←まだ無職ではなく、キョードー大阪系のブラック企業で働いてた頃)時代以来歌う!」と仰有いますがそれは記憶違いで私は様がこれを歌うのを確かに東京で聴いたことがある(オツカル様が所謂「ベイビーズ」なのかは知りませんが)。私は、ここぞとばかりに井上陽水でいつか歌いたかったマイナー曲を。

 オ21.DT捨テル(ゴールデン・イクシオン・ボンバー)
 池21.HOZHO GOH(松任谷由実
 オツカル様の曲はこれも2回目。まだ「女々しくて」を知る前に、カラオケで「こんな曲を歌ってるバンドがあるよ~」と教えてくれたのでした。でもってタイトルから明らかに分かる下ネタソング。だから様が「『HOZHO GO(ホジョンゴ)』って、日本のどっかの地方なら女性器を表す言葉なんでしょ?」っていう「チャコの海岸物語」的連想をしたもその影響なのでしょう。

 オ&池22.ESCAPE(Moon Child
 オ「主題歌って、『SEVEN』やったっけ?」 池「『FIVE』やろ。あの遠藤久美子が投身自殺するやつ」という一連のやりとりに「老い」を感じる。曲自体は、古くなっても格好いいと思います(PV観ながら2人で熱唱)。

 カラオケの後もデートは続く。「カラ鉄」を出たら16時前で、卒業生との約束まで2時間をどう潰すか、という算段を立てる。オ「どっか行きたいところある?」 池「……原宿、に行ったことがないから行ってみたい!」
 お上りさんか、っつー話ですけれども、私東京在住5年の間は家・大学・タワレコジュンク堂・行きつけ飲み屋、の5カ所の点を線で結んだ場所以外にはほとんど立ち寄らない五芒星生活だったので、東京タワーにも浅草にも原宿にもディズニーシーにも行ったことがなかった(東京タワーと浅草とは社会人になった後に経験した)のです。
 渋谷駅からタワレコまで歩いたらその先は海の水が滝になってると思ってましたからね、まさか陸地が続いていてそれが竹下通りと呼ばれる聖地に続いているなんて考えたことがなかった。歩きながら。
 池「竹下通りとやらには、そこにしか咲かない花があるの?」
 オ「花は咲いてるけど、その美しさを僕らは理解できない」
 池「加齢のせいで!」
 オ「いや、そもそもがそういう人生じゃなかったでしょ? あ、きみの言ってた虹コンの応援してるタピオカドリンク屋も竹下通りの中にあるよ」
 池「うわぁ、そこにF校卒のヲタがいたらやだねぇ。そちらグループは五月祭にもお出でになるそうなんだけど、元同級生とか上級生が最前列占めてる、みたいな」

 先ず、原宿駅付近に来たら1時間じゃとてもきかない長さの行列が出来てて(どこまで続いてるのか店の入口が分からない)、それが有名なキャラメルポップコーン専門店だ、という段階で訳が分からなくなる。キャラメルポップコーンで60分並ぶか? ファンシーに貪欲、或いはファンシーで耐久、ってのは形容矛盾じゃないのか。
 人の多さで徒歩が時速1㎞以下になる竹下通り、右でクレープ左で装身具(オツカル様に「装身具て」とバカにされました)、右でTシャツ左でアイドルグッズ、右にダイソー左でプリクラ、右でタピオカドリンク……おぉ、ここじゃここじゃ、コンキスタドールが応援しておるタピオカ屋さん。僕は買わないけどね、という私を店先に残し、買い食い食べ歩き大好きなオツカル様は生クリームたっぷりのソフトが乗ってるドリンクを買って戻ってみえました。これ、単品で買ったらコーンの代わりにラングドシャが使ってある高級ソフトクリームになるやつですね。以前、様と二人で食べた記憶あり。オツカル様が店に入っている間に、全員同じ体型・ファッションの4人連れのヲタ様方(←どんなか想像して下さい。大体当たってます)がお出でになり、「おおっ、これは我々ヲタクとしては」「買わないわけにはいきませんな」「うむ」「突撃でござる」と、一言一句変えてません! 本当にそう言って店に入っていきました。
 オ「ウチの知り合いに食べ歩き大好きな人がいるんだけど、あのソフトクリームのラングドシャは『発明』だって絶賛してた」
 池「きみより食べ歩きが好きな人がいるわけね。しっかしそれ、カロリー高そうだよねぇ。さっきのヲタも『突撃でござる』とか言って大盛り貪り食うんだろうなぁ」
 オ「突撃しま~す(←中原名人のマネ)」

 予想通りではあったけれども、500メートルくらいある商店街を歩いて、本当に美しいと思える花はありませんでした。ここをもう一度逆行する無意味は嫌だったので、次はオツカル様の先導で表参道に向かうことに。
 池「表参道って何があるの?」
 オ「とりあえず、表参道ヒルズの方に歩こう」
 池「……あのね、オツカル様。確かに僕は東横線のホーム移転を忘れてたくらい都会に縁が無い人間だけどね、ヒルズが六本木にあることくらいは知ってる。ってかこの間二人で行ったでしょ? どうしてそういう嘘をつくの?」
 オ「あのね、表参道ヒルズ、あるんだよ?」
 池「だからヒルズは六本木だって知ってるんだって何度言ったら……ってほんまや!」
 というやりとりを経て表参道ヒルズ。ここにしか咲かない花にも私の人生は用事がない、と決めかかってたらビルの入口に看板宣伝が置かれた荒木経惟の写真展「男~アラーキーの裸ノ顔~」で一気にテンションが上がる。雑誌「ダ・ヴィンチ」連載の「裸ノ顔」、私結構なファンで、もう10年以上写真集が出るのを心待ちにしていたのです。今回は、その写真集の刊行記念としてポートレート200点以上の展覧会が入場無料で開催されているということ。公開は6日までということで今日が最終日2日前、これは絶対観に行くに決まってるだろ、と。

 芸能人・文化人のモノクロポートレートずらり、20年近く前の若々しい写真から現在のものまで(一番古いのはビートたけし、一番新しいのは北野武、20年の時間が見えます)。勿論、「そうそう、この人はこの顔!」という「らしさに改めて」という写真ばかりなんですけれど、私が特に好きなのは何十枚かに一枚ある「なんでこの人のこの表情を切り取ることが出来たの?」と意外性に震えるような作品。例えば今回展示されている中で私が感動した(のを覚えている)のは五代目中村勘九郎田中圭との写真。
 で、私がこの企画史上最も感動した写真が、この展覧会には出品されていませんでした。かつて「裸ノ顔」の被写体になった全ての人物が写真集への掲載にOKを出した訳ではない、ということなのでしょう。2002年3月号に掲載された氷川きよしの写真は、雑誌で見て即まっぴぃに電話、二人で驚愕したのを今でも覚えています。実際、物販コーナーの「ダ・ヴィンチ」バックナンバー展示の中から写真を見つけてオツカル様にお見せしたら「これは凄い!」とほとんど驚倒なさっておられました。事務所からNGが出たんでしょうね。

 ヒルズの横にある新潟県の物産館を少し覗いて、徒歩で渋谷に戻る。次のカラオケデートは8月上旬ですね、とお別れ。の後、約束18時の10分前にハチ公口に行ったら既にお相手2人は揃っておられて感心。

 Kくん・Tくんという63回生東大理系お2人と、どこに行くのか少しだけ迷ったけれども無難に「タパス&タパス」を選択。昨日お会いしたIくんやEくん(同じく東大生)が、新歓期でもそんなに頻繁に渋谷を訪れた訳では無いと仰有っていたので、恐らくベタな店でもご存じないだろう、ということで。
 戯れに「(お酒)飲む?」と聞いたら勿論「ソフトドリンクで」のお返事、18歳ですもんね。イタリアンなら、ジンジャーエールやフルーツジュースで食べてもそんなに違和感はないかな、と思いながら私はビールとワイン。
 話題としては近況報告を伺う、んですけれどもこちらお二人は「日常性の維持」貫徹組なので、田舎者が都会で大学生一人暮らしを始めて「ひゃっほう!」ってなったら生活が山津波を起こして崩れていく、みたいなタイプではなく朝から夜まできちんと日課をこなして真面目。というか、聞く度に驚く東大の(学習という意味での)学生管理の強化。「初年度ゼミ」といい「英語のG1~G3」といい「キャップ制」といい、一体何をお考えなんでしょうね、というね。特に「キャップ制」というやつは、現在の東大の内実を知らないので断言は出来ませんけれども多分制度としては失敗なんじゃないかな、と。少なくとも、どうしてそんなことをしたのかが分からないものではあります。っていうか実際、心ある(やる気のある)学生なら潜ってでも行きたい授業に行きますよねぇ(でもっていずれ、それを取り締まる方向に行くのでしょうか。う~ん)。

 驚いたのは、学生二人の食いっぷり。自分たちでも「僕ら結構食いますよ」とは仰有いましたけれども本当に本当で、前菜・サラダ・肉料理・魚料理・ピザをそれぞれ数種類ずつ注文した後でスパゲッティを注文し始めたんですけど、何種類頼んでも数分でペロリのパスタ椀子蕎麦状態。途中で注文するのが面白くなってきましたもん(店員さん最早半笑いだし)。Kくんがお嫌いだという生クリームが入っていないパスタ、となったらメニューが割と限定されるんですけれど、その制限内のものは大抵食ったんじゃないのか、って言って少ししか大袈裟じゃ無いくらい。
 飲めない大学生と一緒なのでそんなに飲んだわけじゃないんですけど、とにかくパスタ椀子蕎麦でこっちまでテンションが上がってしまって、もう一軒どっか行こうか? ってなったら大抵喫茶店くらいになるはずなんですけれども何故かカラオケってことになりまして。Kくんは卒業式後の昼食会で同級生・保護者の前で歌ったくらいで相当上手いんですけれども、Tくんも私じゃ絶対出ない低音ボイスが格好良かった。超でっかい試験管みたいなのに入って出てくる「ヤードビール」ってのを2本飲んだんですけど、あれ、メニュー表示のカロリーから計算したら1本に700mlくらい入ってたんじゃないですかね。あ、大学生、選曲が若い! とこれは新鮮な感動。の中で、Tくんが偶然にも私が昼のオツカル様とのカラオケで選曲した「翳りゆく部屋」を歌われたのに驚き。Kくんもご家族の影響でしょうか、中期ユーミンの曲を色々ご存じだそうで。
 ……ってか、俺よ、お前昼に3時間もカラオケに行ってて何で飲み終わりに2時間のカラオケなんだよ、と。最後3曲くらいは完全に喉がイッちゃってたもんね。これは明日が怖いわぁ。

 と、昨日も今日もちょっとやらかした感のある就寝。63回生とお会いできたのが嬉しかったんだ、っつーことで自分を許しておこう。げほげほ。