その木戸を通って

 昨夜の激励会にて、A組卒業生K氏と。
 K「池ノ都ちゃ~ん、俺らが消えて寂しいんじゃないの~?」
 私「いや、マジでそうよ。朝8時40分になったら『ホームルームに行かなきゃ! ……あっ、もう、行かなくていいのか……』って」
 K「さ~み~し~い~!」
 私「もう、本当に、何ロスかって63回生ロスだから」

 とか何とか言いながら何が嬉しいって、昨日みたいに遅い時間の出張があって帰宅が遅れて(いつもの就寝時刻を軽く2時間はオーバーしてました)寝るのも日付が変わる頃とかになったら当然3時4時になんか起きられないわけで目が覚めたら6時、で学校入りが8時前とかになっても担任業務さえなけりゃ余裕で仕事が回る、っていうのが嬉しい。ビバ副担任。
 授業準備・卒業生の添削や資料郵送、授業は4限に高3の文系二次型の授業が1コマ。

 その授業の終了2分前に、サイレンと電子音声の「火事です」が響く。事前にキッチリと告知されていた避難訓練ですので、生徒は慌てなさ過ぎ・騒がなさ過ぎ、でネットリと移動を開始。大した混乱もなく全校生徒が第一グラウンドに集合する……のに何分かかっとるんじゃい高校生っ! と酷暑にジャケットの34歳は溶け死ぬんじゃないか明日は絶対半袖通勤だわ、と朦朧。

 その避難訓練から3時間と少しを過ぎた時刻、7限目。中学生は学級活動や集会、高校生は授業中もしくは特講中。私が進路指導室のPCに向かって作業をしておりましたら、数秒、普段あまり感じない程度に床が揺れる。風を通そうと開けっ放しにしてた入り口から飛び込んできた進路事務嬢が「今揺れましたよねっ!?」と問い、隣でコピーをとってた教務部長は「結構大きく揺れましたね」と返される。震源筑後で深さ10キロだっつーんだからそらK市は揺れますよ。っつっても震度は2、職員室で他の先生に聞いたら、「立ってる人は気づかないレベルだったよ」という返事。私も進路指導室で「どうしたんでしょう、(下の階の)職員室で(先生の)誰かが生徒怒鳴ったりしたんでしょうか」なんて下らない軽口を。
 7限が終わったあと、高1で授業をなさっていた進路指導部長が部屋にお戻りになり「揺れたんですね、私は気づきませんでした」と。成程、「立ってる人は気づかないレベル」ですか。「でも、座ってた生徒は気づきます」と部長。「その後、生徒が何をしたか分かりますか?」
 携帯でも開こうとしたのかと思ったら、そうではなくて正解は「生徒たち、教室前後の入り口ドアをスッと開けたんです」「あぁ、逃げ道確保ですか」「立派ですね」
 何だ、たらったらの避難訓練かと思ったら、結構防災意識高いんじゃないですか。

 夕食は、缶ビールだけ買い込んでHさん家にお呼ばれ。一食1000円の料金を貯金箱に納めたら(つっても、これは二人で旅行に行くための貯金なので私は一方的にお世話になってるだけ。3万くらい貯まったら博多「太郎源」で飲みたいなぁ)、ビールはトマトジュースで割ってレッドアイに、日本酒は私が頂いた「北雪」からHさんの「能古見」へ。料理は鯛干物、マーボー茄子、竹の子煮、豚汁。「炭水化物を食べてお太りなさ~い」というHさんの呪いにかかって白飯を茶碗に2杯。
 話題は、最近のテレビの話やら「もりき」のマスターや常連さんの話やら秋になったら引っ越すマンションの話やらHさんのお友達が飼っている猫の話やらHさんの息子さんの思い出話やら私の学校の話やら、縦横無尽の井戸端会議でたっぷり3時間超。
 年齢に20歳の開きがある私とHさんと(叙述トリックは無しで、Hさんの方が年上ですよ)の話で唯一かみ合わなかった(と思ったので私から黙った)のは、私が最近のテレビ番組の質の劣化を言った言葉に大いに賛同するHさんが「最近の劣化の始まり」をダウンタウン登場からと認識していた所かな。私の「最近」は10年以上前には及びません。