Summer vacation あたいのために

 朝5時の携帯メールで、知人某氏が交通事故による怪我で入院したことを知る。福岡市内の病院で、仕事の都合もありお見舞いが出来る最大のチャンスは今日の夕方。一昨日入院で昨日手術というタイミングに悩んで本人にメールしたところOKの返事だったので、仕事上がり(1時間年休を取って16時)に学校を出発することに。
 5時入りの学校で、採点の終わった校内模試の講評・採点基準・平均点・上位者表をプリントにまとめる。授業は3コマ(共通一次石川淳『歴史と文学』)で、冒頭に模試答案を返して少し喋ってから、センター解答&解説。この問題も、文章・設問共に良(&難)だと思っています。現役生の授業では、今と余り傾向の似ていない共通一次や昔のセンターも(ネタが面白いものを中心に)ガンガン使います。国語に時間の割けない浪人生はそうはいかないかも知れませんね(といいながら、こないだK塾に通うKくんに見せてもらった予備校教科書には80年代初期東大の加藤秀俊が改作されて使われてましたけど)。
 授業後は進路指導室で上記共通一次の採点と集計。ふらりお茶しにいらっしゃった非常勤先生(女性)と事務嬢さんと3人でお話。非常勤先生がサザンの大ファンで、『葡萄』が傑作だという意見は一致したんですが、私が「アロエ」「青春番外地」の連打が一番好きなのに対して、先生は「道」が最高傑作だ、と好みは分かれる(「道」は原由子も泣いた、と雑誌で)。他に、落語の話や(同窓同僚先生の影響で)結婚の話など。「先生は結婚したいと思わないのですか?」とストレートに聞かれたので、「物心ついた時から母子家庭で身近に夫婦というものを見たことがないので、したいもしたくないも憧れの輪郭がぼやけているのです」とストレートに答える。そういう私が家庭で身近に見てきたのは母君ですので、大人の定義はそこで学び取りました。働く、自分より歳若い人間に有形無形のものを与える。

 高3の学年会議が終わった後、タクシーで西鉄、電車で天神。知人某氏が入院している病院は地下鉄で4駅の場所、お見舞いの品は天神の地下街で買うことに。交通事故の怪我なので(携帯メールは打てるみたいですが)本を楽に読める状態なのかが分からず書籍はやめておく。とするとカトラリーなしで食べられるお菓子か、ストローがついてるジュースか……を探したら、流石都会すぐに見つかる。見つかるんですけれども、いかにもCMで「あなたにオーガニックなライフスタイルを提供する」とか言ってそうな感じの洒落乙な店でもうすぐ35歳のおじちゃんに対するお呼びでない感が凄い。ですが約束の時間まで間もないので、「自分用じゃないもんねちょいと訳ありで」(by中島みゆき)って勢いで飛び込んでいきなり後悔する。フルーツジュースが「インナーケア」ってカテゴリーだよ。痩せてる柳原可奈子に「ドリンクをお求めでいらっしゃるんですね?」「入院のお見舞い品なんですね?」「女性なんですね?」と聞かれてというか導かれてというかとにかくそれにアーウー答えている内に、今から見舞う相手が完全に私の年下の彼女って扱いになってて驚く。「入院中でもケアを欠かさずに、内側から綺麗になって欲しいですものね」って言われたので、
 病室ベッドの上で退屈某氏にお渡しする時に「これで内側から綺麗になって下さいね」とお伝えして笑われる。巻き込まれ型の交通事故で右腕三角巾が痛々しいけれど、とにかく一言、死ななくて良かった。
 30分ちょっとお話ししてからK市へ戻る、途中の二日市で電車を降り、夕食は18時過ぎに入店の焼き鳥屋「G」にて。牛タタキのカルパッチョ、ゴマアジ、キムチ雑炊。串はつくね、ナス、ズッキーニ。ビールと日本酒、キープの焼酎。お会計は、今回はもう疑いもなく担任団プライスになってて申し訳ない限り。お酒が飲める歳になったら、ご子息(Mくん)かそのお友達かに還元します。19時30分過ぎに退店、ほぼ入れ替わりに25名の団体が入ってきてお店は大繁盛。昨日の営業でも、3時過ぎに11人の団体が入った(このお店、6時の始発まで営業しています)そうでもう地域を代表する焼き鳥屋と言って過言ではなさそう。

 岩本茂樹『自分を知るための社会学入門』読了、★★★★。総花的なのは概論だから当然、おぉ初めて知った! ということは少なかったけれども、これは生徒に配って面白がってもらえる本なので私にとっては良著。筆者の本では、夜間定時制高校で荒れた生徒とつき合った時の体験談『教育をぶっとばせ』が面白いんです。教育者としての胆力が違う。
 加藤元浩Q.E.D.iff(1)』読了、★★★。前巻で50巻、今回から仕切り直し。