夢の通り道を僕は歩いている

 5時入りの職員室で、高3定期テスト(現代文)の採点(残り進捗状況10%)を終了させて、解答例のプリントを作成、データを集計。ついでに本日出題の中3漢文の解答例も作成。
 1限目は高3定期監督、2限目は中3漢文出題、3限目は高3定期監督。

 中3漢文定期。前回は平均96点で「これ、テストの意味ある?」って状態だったので、今回は平均を80強に下げようと意図して作問。但し、問題が増加・難化しても上位陣が安泰なのは常のこと。ですので、犠牲は①「ノー勉組」と②「試験中の時間経営苦手組」との2グループだけが払うことになり、つまり上下差が開くのは必至。試験終了直後に少し採点してみたら、果たして先ず解答用紙の黒白から明暗くっきり。無論、黒が明で白が暗という(「山月記」風の)捻れがあります。第3回定期では、上記2グループが多少意識改善をして、平均点が少し上がることになるのかな、と予想。

 さて、普通なら午後は中3漢文の採点を一気に、というところなのですが今日は先週土曜の分が延期になった京大特講があるのです。明日の土曜は正規の京大特講ですから、京大組は2日連続で特講、でもって私は2日連続で添削、お互い頑張りましょうね。とりあえず、今日は小説(辻邦生)で明日は評論(下村寅太郎)と気分が変わるのが不幸中の幸い、ってとこ。でもって、この辻邦生『嵯峨野明月記』が難しいんだわ。
 講義直前、校内廊下を歩いていたら、どこぞで見たことのあるお顔が私服でお二人。あらら、63回生京大浪人組じゃないですか、何故こんな所に? ほうほう、予備校が夏休みに入るのでその期に職員室に英数の学習相談をしに来た、と。あら真面目お偉い。で、今から京大現代文特講やるんですけど、受けてく? あそう、じゃ、3S教室に来て下さいね。
 本当に浪人生2人を交えて特講。

 その後、他にも学校に来てた浪人生1人(女子)を交えてお話。意外だったのは、浪人生は伸びない、という自覚を余りお持ちで無かったこと。いかな高校時勉強不足とは言え、2月25日の本番までには当人なりの一定レベルに達してた訳で、そこから先の伸び率は緩やかなものに成らざるを得ないのは必至、どうかしたら現状維持が関の山ってことになるのは目に見えてる。それを力業で超克するだけのガリ勉をやんなきゃならないわけね。人格形相変わるくらい勉強して初めて「勉強してる」って言えるのが浪人生ですよ。
 って話をしたら、初めてそんなこと言われた、みたいな反応だったのでこっちがポカンとしたわ。あのね、100㎏の人と60㎏の人と、10㎏ダイエットするのはどっちが簡単だって話だよ。でもって浪人の7月に自分はまだ100㎏で伸び代がとか愚言吐き散らかしてるやつには鏡見て恥じろというしかないっす(そんな羞恥心が残ってたらまだ幸いですけど)。

 現役の大学1年生某(何と学部総代に他薦で選ばれたという才人)ともお話。
 私「ちゃんと勉強してる? 来年はちゃんと通んないと」
 某「先生、俺、大学生だよ」
 私「……あっ、そうだった! 顔見て判断した、すまん! だってお前、今日来た4人の中で誰よりも浪人生っぽい顔してたから(←言えば言うほどどつぼ)」
 某「あのね、俺、学部の総代よ?」
 私「……総代って、1番?」
 某「成績じゃないけど、推薦されて。出身がF高ってだけで勝手に一目置かれた」
 私「すげぇなF高。で、総代って何すんの?」
 某「学部の予算会議に出たり……って、出ても全然分かんないんだけど」
 私「うわ~、高校時代からは想像がつかないね。偉くなったね~」
 某「(ドヤ顔)」
 私「で、今日って金曜だけど……あ、大学ももう夏休み?」
 某「なわけないやんか。ど平日。まあ授業は切りましたけどね」
 私「サボってんじゃねーよ総代がよ」
 大体、授業じゃなくて講義だろうが。

 さて、お次は進路指導室に57回生最強の女子Nさん。同窓会のお仕事で、わざわざ新校舎の写真を撮るためだけにやってきた51回生Oくんのお供。「数学先生結婚したんでしょ~、お嫁さん見せて~」と、無理から呼びつけた初対面のお嫁さんに「プロポーズは?」「どれくらい付き合ったの?」と横にいるこっちが恥ずかしくなるほどストレートな質問をぶつけ倒して、からがら逃げていくお嫁さんの後ろ姿に「朝も夜も頑張ってね~」って。すげぇな。
 相変わらずの手玉話(F高同窓会の小父様たちと遊び倒してる話)に色々笑わせて貰いながら、その世間話に出てくる固有名詞(ブランド名、レストラン名)がいちいち高級(疎い私でも知ってるとこばっか)なのに感心する。小父様諸氏を手玉に取るコツってなんなんでしょうね、とりあえずどんな相手の中からでも「かわいい」を抽出できる眼力には瞠目しますけれども。

 さて、7月10日。高級店に縁の無い中流階級も、それなりの額の(つっても12年働いててF校卒業生の初任給に負ける!)ボーナスを貰ったので、それを貯金に回したり、先何ヶ月か分の家賃をまとめて振り込んだり、という作業を市街地銀行のATMで行う。でもって、高級店ではない「もりき」に出向いて、今日はちょっと贅沢をして冷酒を3杯半(3合弱)いただく。「不老泉」「玉川」「雅山流」。肴はクジラのステーキとにゅうめん。
 無人の部屋の窓を全開にして、風の通り道に敷いた布団に入ったのが20時半。23時過ぎに一度目覚めたら、25日に京都で夕食を食べることになってる63回生Bくんからのメールで一人追加を依頼されてたので、諾の返信をしてから予約してた店に人数変更の電話。