とかく ほろりと ほだされたりするわ

 ピース又吉さんの芥川賞受賞。サイン本を買ったまま積ん読状態の『火花』ですけれども、今更読んでも感想が書きづらい感じになっちゃって。『まさかジープで~』『カキフライが~』の2冊は12月の「TEEN! TEEN!」取材の時にサインをいただいたので、私、最も旬な芥川賞作家のサイン本を3冊も持ってることになるんですね。あと、私、芥川賞作家から覆面作家(九星鳴=夢枕獏)の正体をネタバラシされた唯一の国語教師なんじゃないか、とも思います。
 そして、世間的にはあれでしょうけれども、羽田圭介さんも芥川賞ですよ。本郷に通っていた文学部時代、年下の作家の本に(ファミレスで)熱中させられて一気読み、1・2限を仏恥義理してしまうとは、というデビュー作『黒冷水』からもう12年もたつんですか。2作目の『不思議の国のペニス』がどうも……という感じだったんでそれ以降の作品は読んでないんですけれど(あれを『不思議の国の男子』と改題したのは何か勿体ないような気も)、きっと「コツコツ」の人だったんでしょうね(羽田圭介さんとか、佐藤友哉さんとか)。

 仲良しの事務嬢さんに「面白い小説を貸して下さい!」と言われ。「山田詠美の『色彩の息子』は?」「だいぶ前に先生から借りました」「じゃあ、森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』は」「それもずっと前に」「乙一の『ZOO』も」「借りました。次に借りるのは明るくて面白いのが良いです」
 で、恩田陸の『ドミノ』をお貸ししようと思ったら結構前に卒業生にあげてて手持ちが無かったので、夕方に天神ジュンク堂に行くついでに買ってくることに。あ、後、単純に面白いやつってことで北大路公子さんの日記もお貸ししよう(これは絶対はまるはず)。

 原克玄『るみちゃんの事象(7)』読了、★★★。完結巻らしくて、そろそろ飽きてきたからいい潮時なんだろうなぁ、と思ったらタイトル(●●編)を変えてまだ連載を続けるのか。買いますけどね。あと、観ないから別にいいんですけど、この作品と『となりの関くん』とのドラマ化っていうのはどうなんでしょうか。
 森村泰昌『美術、応答せよ!』読了、★★★。はい、正直に告白します。模試か入試かに使えないかという下心先行で読みました。使わないだろうな、と思ったのでタイトルを明かしました。

 5時入りで卒業生の答案を添削。
 授業は4限の文系東大コース。二次の解説時には必ず本文を読む(いわゆる教師範読をする)んですけれど、06年第四問の宮澤康人の教育史は「とりわけ学問好きの教師は、自分と似た学問好きの生徒を依怙ひいきして、しかもそれを正当なことだと考える」なんてのを声に出して読まないといけない羞恥(周知)プレイ。聴いてるお生徒さんたちも賢いからそのあたりの機微は具に理解してクスクスと声が聞こえます。だったらこっちも開き直る。最後の一文は「近代の学校教師は、子どもを社会人に育てあげる能力をほとんど失ったにもかかわらず、いや失ったがゆえに、子どもへの理解を無限に強いられる」というもの。「分かります? 個性の強い学級であればあるほど教員は本当に大変なんですから(生徒笑い)。ほんと面倒くさいんですよ、でも情が移っちゃうからしょうがない!」

 昼休みと5限6限で前述授業の答案25枚を根性で添削、これは帰りのSHRで返却してもらいます。で、16時から年休を取り(ビバ副担任!)、天神に出てジュンク堂。福岡の公立校の休校を決めさせた台風はどうやらそれてくれる様子で、往復の電車は何事もなく(但し、帰りの西鉄K駅構内には「ダイヤ乱れの恐れあり」のお詫び看板が出てました)。
 夜は、「もりき」でサーモンを具材に炒飯を作ってもらう。相変わらず体重は増えず。むぅ。