気を失いそのまま腕の中 夢じゃない嘘じゃない

 9月23日の北白川くんの結婚式(@東京)に引き続き、27日には小倉で北九州地区の保護者会講演があることを思い出す。別の先生と2人で(30分ずつの)講演の後、懇親会。北九州地区は昼でもお酒が出ますので、要するに公式に昼飲みをするイベントが一週間と置かずに2つ続くということ。大人になるって、「昼酒のハードルが下がる」ってことなんですね。

 5時に職員室入りして授業・特講の板書準備。1・2限は野矢茂樹(センター)でこれは昨日別クラスで授業済みなので板書準備の必要なし。4限は文系Ⅱコース(非東京大)の二次対策で、今日は「東西比較」をテーマに福田恆存(一橋大)・内田樹(大阪大)・大橋良介(九州大)・永井荷風(京都大)の4つから選択解答。Ⅱコースの解説は、冒頭15分で漱石「現代日本の開化」の概念を用いて行うよう板書計画。続いて、7・8限で理系、8・9限で文系授業を行う井伏鱒二(京大)の板書準備。7限に理系が解答、8限で理系の解説をしている間に別教室で文系が解答し、9限で文系の解説をするという綱渡り講義。そして残る一つが鬼門、5・6限の理系現代文特講(東京大)が、02年文系の永井均『転校生とブラック・ジャック』! 解釈学・系譜学・考古学、という過去探求3アプローチの違いを考える難問で、解説する私も本当に分かっているのか全く自信が無いっ! という訳で最後に熟慮熟慮の板書計画……は、辛いですけれども、国語科恩師先生風に言えば「楽ではないが楽しい」。

 8時半の始業からは、失神業務が続きます。40分に年休先生の代打でSHRやって、1限センター、2限センター、3限でセンター授業の採点集計と高3生自習の京大過去問添削、4限文系Ⅱコース授業。土曜半ドンの業務を取りあえず終えた後、職員室の体重計に乗ってみた、ら。
 卒業生には奢り倒し、先輩からは奢られ倒し、同輩とは割り勘し倒し、2日数学先生の披露宴以来、8月の4週間弱で延べ40軒程の飲み屋を訪れて蓄積した、健康な胎児と同じ重さの脂肪贅肉……が、通常業務を再開した後わずか2日半で雲散霧消したらしいんですけど、若しかして私の仕事って、激務なの?【この段落Twitterより、140字】
 うわ~、こないだ被服70㎏超だったのが、あっと言う間に67㎏ちょっとになっちゃって。働くって、やっぱり凄いことですね。

 5・6限は東大理系現代文特講。02年永井均。某アニメ映画のストーリーを例示として引用しつつの説明は、果たして上手くいったのかどうか。受講の生徒が解答をしている間は、7~9限に京大現代文特講が行われる教室に移動して、プリント準備や板書準備など。

 6限終了後、東大特講の答案を回収して、京大理系特講の教室へ。10分前に入室し、受講者18人のプリントを配布準備していたところ……井伏鱒二「おふくろ」という問題出典(81年度)の板書をご覧の某氏が「レスラー?」と……何だと? まさかと思って手を挙げさせたら……どっしぇええええええっ、18人居て井伏鱒二知ってるのが2人だけだったっ! まじかっ、まじなのかっ!? 「山椒魚」知らない? 太宰治のおっしょさんだって知らない? 『黒い雨』が原爆文学だって知らない? 「サヨナラダケガ人生ダ」は……一人しか知らない! そら去年の63回生も解けんかった筈だわ。この問題、(本文執筆の昭和32年時点で)筆者が文豪であるという認識が正しい解答には必須なんです。原作読んで映画でも『黒い雨』を観て、井伏氏死去を中学時代に新聞一面で知った私、やっぱり最早お生徒さんたちとは程遠い中年なのね。
 理系生徒が解答をし始めてからしばらくして、別室で数学講義を終えた文系の教室に行き、京大特講参加者に問題を配付する。「井伏鱒二は日本を代表する文豪ですからねっ!」と叫んだら、流石の(?)文系諸氏は「当たり前じゃないですか」という反応でした。
 解き終わった理系生徒に解説、別教室にて時間差で解き終わった文系生徒を理系生徒と入れ替わりに教室に呼び込んでほぼ同じ解説、の終了時点で17時40分。半日と40分、胡麻麦茶1本だけで走り抜けたったぜ。

 だから「もりき」で飲んだ秋味一口目のエリクサー感が半端ないんす。今日は、マスターが本マグロの切り落としを大量仕入れしておられたので、スジ入りの赤身の一部を叩いてもらって山かけで食べた後、つみれを作ってもらってすまし汁に。めたくそ美味しくて日本酒が進みました。「雪の茅舎」「農口」「残心」……「農口」は本当に今年で飲めなくなってしまうんでしょうかねぇ。
 「もりき」への行きがけに、Hさんちに頂き物のお酒(63回生Oくんからの「喜多屋」)を置いていきました。明日の夜は、これでHさんちにてほーむぱーちーです。