無口だった筈の女が急にしゃべりだしたから

 とある用件で63回生の保護者理事長だったお母様に長い長いメールをお送りしたのは西鉄バスの中。数えたら800字超の長文でした、我ながらよく携帯で打てたな、と感心です。文章は2度校正しました。
 そして、橋本治の本を読んで(旅行中の読了本はいつも通りに最後の日の記述になります)やっぱり面白いなぁ、でもなんでこんなに誤植や非文が多いのかなぁ、といつもと同じような感想を漏らしたのは新幹線の中。自分が国語教師とは思えぬ崩れた日本語を(このブログやツイッターで)書き散らかしてる身ですので、人の文章を読む時にも非文や選語ミスなどは気にしないようにしてますが(答案添削は別)、橋本治の本だけは誤植やミスが露骨に多くて気になるんですね(中身が面白いだけに)。この方、もしかして原稿校正を一切禁じているのではないかしら、と。
 読書に飽きてCDに移ったのは名古屋に到着するあたりでしょうか、最初はyanokami『遠くは近い』。レイ・ハラカミ氏急逝の直後に発売されたこのアルバム、矢野顕子さんが荒井ユーミンをカバー(「曇り空」「瞳を閉じて」)した御馳走アルバムなんですが、当時そう何度もは聴いていない。発売当時(63回生中3担任時)の精神状態が影響しているのでしょうか。で、2枚目は渚ようこの大傑作『エロスの朝』。2013年に発売のこちらは発売当時にCDでも擦り切れるんじゃないかという勢いで(←渚ようこなので昭和の比喩)聴き倒しました。発売当時は63回生我らが文系高2Aクラスの担任、精神状態がお宜しかったんでしょうね(毎日上機嫌で右往左往してました)。

 ……というわけで、西鉄バス九州新幹線東海道新幹線、山手線、を乗り継いだら定宿のある池袋駅。本日から3泊4日の上京旅行です、ビバ・プラチナウィーク!
 1日目……56回生の「いつものメンバー」と渋谷で飲み会&徹マン
 2日目……63回生我らがA組東大生Bくん・Mくんとイタリアンでお食事会(&カラオケ?)。
 3日目……朝からTQCの同期・北白川くんの披露宴&二次会(これが本旅行のメイン)。
 4日目……春画展を観てからK市に帰宅。
 という流れ。

 品川駅のecute「品川珈琲」へ。K市の母・Hさんへの毎度恒例のお土産は、内覧会その他新居のことでお世話になりっぱなしの御礼をかねていつもの倍の量を買うことにしているので、箱で買って郵送手続きをした方が楽だということで、初日に済ませておくのですね(これが、後々相当役に立ったのですが、それはまた別の話)。
 品川駅からぐるり山手線で池袋、ホテルチェックインの後は部屋に荷物を置き、披露宴用のスーツをハンガーに掛けて、直ぐに部屋を飛び出す。

 渋谷の火鍋屋「小肥羊」の予約は18時、なので待ち合わせはハチ公17時50分。17時30分頃にYくんから「仕事が長引いて今職場を出たので18時着です」という連絡が来たのに「ハチ待ちしま~す」と返しながら池袋駅に急ぎ、35分に北口に着いたら、何と山手線がストップしてる! 教え子に5分前行動を指示しておきながら先生の方が遅れてしまう! 待つのは積極的に好きだけれども待たせるのはもう本当に心の底から嫌いだから既にして胃がキリキリ、咄嗟に(殆ど利用したことのない)副都心線に飛び乗った私が、18時前にハチ公に着くか着かないかは、勘のみで走る渋谷駅構内未体験ゾーンで道を間違えないかにかかっていて……勘が冴えた! 一番深いところにあるのが副都心線なので遅刻を覚悟していたら、改札がハチ公口(地下鉄だから8番出口ですかね)から近かったのが勝因。
 遅れずに来たことを自分で「まさかの」と言ってるKくん、いつも通りパンクチュアルなNくんと3人でYくんを待ち、合流後はセンター街の奥にある店まで一直線(Oくんは都合で二次会から合流)。

 このメンツで渋谷で(というか池袋以外で)飲むのは本当に久しぶり、センター街なんて私普通なら絶対に行かないのですが、いつも社会人を池袋(私の定宿)に呼びつけるのもあれだしたまには渋谷で、とNくんに食べたいものを聞いたら「しゃぶしゃぶ」と返ってきて。黄金週間の「渋谷/もつ鍋」というリクエスト(これは63回生)にも悩まされたけれども、「渋谷/しゃぶしゃぶ」もレベルが高い……と10分程悩んで「火鍋もしゃぶしゃぶじゃね?」と牽強付会。したら、この「小肥羊」って、西原理恵子さんとの共著もある青山浩さんのお店だったんですね。
 私・Yくん・Kくんが文系、Nくんがど理系(システムエンジニア)。幹事力が何とかとかいっつも言ってる池ノ都先生なんですけれども、所詮は筑後の田舎から来た人間なもんでですね。
 私「このタッチパネルで注文ってのは僕にはレベルが高すぎるっつーの!」
 N「え~、何で? これが一番楽じゃない?」
 私「え~い、黙れ理系っ!」
 大体からしてさ、2時間制だってのは予約時に聞いてたから全然気にならないんですけど、そのタッチパネルとやらの右上に「ラストオーダーまでN分」ってカウントダウンがついてて、「すいませ~ん!」「お願いしま~す!」って呼んでも呼んでも返事ばかりで来やしねぇ店員を待ってる間に「N分」の数字がどんどん減ってくわけよそんなに早く帰って欲しいのか、と。
 でもって、「コースはどんな内容ですか?」「単品で飲み放題をつけることは出来ますか?」「コース料理で飲みものは単品でもいいんですか?」という基本中の基本みたいな質問に(態度的にも、知識的にも)まともに答えられない店員って何の為にその制服着てんだよあ~ん? みたいな感じになってあら池ノ都先生久しぶりにお店選び間違えたかしら、という微妙な空気が漂う開始10分(未だおしぼりしか来ないのに、周囲のテーブルには続々と鍋の具材やら酒やらが運ばれていく)。

 事態が打開されたのは15分後、お先生がタッチパネルの右下に「店員を呼ぶ」というボタンがあることに気づいた瞬間。「あ、店員を呼ぶのもタッチパネルなんだ」
 タッチパネル押したらですね、店員、神速で来ましたよ。しかも、肉声で呼びつけた時とは比べものにならないくらいにこやかなんです。えっと、この店ではホールの人(全員女性)に声をかけるのはセクハラ・アルハラになるのね、と納得。
 30分もしたらタッチパネルの扱い方にも慣れてきて(遅い)、陰陽のマークみたいな仕切りに赤・白のスープ(超薬膳!)が湛えられたお鍋で羊だ豚だ牛だ鶏だをしゃぶしゃぶとしながら食って、信じられないくらい安い1杯150円の生中をグイグイ呷ってる内に、4人ともメチャメチャ機嫌が良くなってくる。「「「「これ、マジで旨くない?」」」」

 トークは、文系3人vs理系1人の、仕事の姿勢バトル。「連絡はメールオンリー」「仕事は基本的に人と会わずに」「契約は自分に出来る範囲を予め限定して」という理系vs「連絡は肉声確認」「顧客との対人関係構築・同僚との小忠実な連絡は必須」「仕事は基本的にオーバーアチーブメント」という文系の争いは、数の力で文系有利か、と思われましたが何のことはない、仕事の種類が違うだけで本当はバトルなんかになってないんですね。お互いに、「ほ~、そちら様のお仕事はそのようなルールのもとで行われてお出でで」という感想。
 ただ、理系Nくんがこれはしみじみとイノフニストーン! と納得してくれたようで大変面白かったのが、私と塾講Yくんとの共通見解であるところの「教育現場の顧客は、基本クレーマー」というお話(あ、良い子のみんなと、良いお父様お母様、怒らないでくださいね)。
 N「え~、何で? 生徒が言うこときかんとか?」
 私「違う違う。あのね、生徒がね『僕は東大に行きたいです!』とか『京大』とか『九医』とかね、第一志望を言った時点で既にクレーマー、と言って分からないならこの話はお仕舞い」
 N「分かる! それ、保証出来ないじゃん」
 私「そう。保証出来ないかつ断れない注文をしてくる顧客は態度如何を問わず理系的には?」
 N「クレーマー!」
 私「good!」
 K「ってか、それ、世間的に普通にクレーマー
 Y「俺らみんなクレーマーやった訳ね」
 私「そうそう。僕も学生時代はクレーマーだった」
 そら、教員はオーバーアチーブメントにもなるわ。

 二次会は道玄坂キリンビールバー。私でも足が床につかないくらいの高い椅子、一つだけ空いてた2×2が向かい合う4人席に通されて「後で5人目が来ます」と店員さんに告げたら、「この席で大丈夫ですか?」とそりゃ聞かれるに決まってる。そんでもって返事は、「「「「大丈夫です、5人目ちっちゃいから!」」」」
 155cmの私の母君よりもちっちゃいOくんが到着したのは入店30分後、他4人は満腹だったけれども夕食まだという5人目のためにピザやらステーキやらを注文して、改めてビールで乾杯。運んできた店員さんに「ね、ちっちゃいでしょ?」とこっそり聞いて「いえ、そんなことは……ないです」って返ってくるやりとりを都合2回。面倒くさい客です。
 ここでは、56回生で東大理系に進学した某氏が、結婚して子どもも居るっつーのに今から九医に入り直す(模試でB判とか普通に取ってるらしい)って話に心底驚く。やっぱF校生すげーな。っつか、これで64回生(現高3)とか63回生(浪人生)とかの取り分が確実に一つ減ったな。某氏(私が4年間国語・副担任担当)、賢かったもんなぁ。

 バーの真向かいにあるZOO禁煙店で徹マン……は、いつもの通りに明日の日記です。