わたしはただ いたい場所に いるだけなのに

 本日の東大特講は11年の桑子敏雄『風景の中の環境哲学』。この講義をする時にはディズニーランドをdisりまくるというのが私のルールで、日本のラブホテルの話とか、田主丸の河童駅舎の話とかをすると、少しウケます。資料は長谷川一の名著『アトラクションの日常』などですね。
 ここしばらく、引っ越し(と盗難被害と)に伴うあれこれで殆ど仕事に注力できず、5時出勤の「日常性の維持」も(二次型授業・特講の翌日という問答無用の場合以外は)難しくなっていましたが、引っ越し後に徐々に元の軌道に戻ってきた感覚(まだ完全には本調子ではありませんが)。ベッドが上質になったので、眠りの質が変わったのはあるかな。昼に鏡に映った顔の髭が濃くなっていたら早起きの証拠、「あ、僕、仕事してるな」と少し安心します。
 気持ち早めのアフタヌーン・シャドウで京大特講は02年の高井有一「半日の放浪」。定年退職後の夫とその妻の気持ち、というと加賀乙彦「雨の庭」(センター)が想起されるでしょうが、京大式の記述の難度はそんなもんじゃない、崩壊は必至ですね。
 で、18時に特講終了! ……後の教室に、高3某氏が中身の詰まった財布をお忘れになっており。本人が下校後で捕まらず、K市内の自宅にお電話をさしあげたら、10分程でお母様が職員室まで取りに来られるとのこと。「申し訳ありませ~ん、息子がぼんやりしているせいで先生にご迷惑を~」と謝られ、山手線でアホ寝して全財産丸っと持ってかれた阿呆はひいいいぃっ、許して~! ってなったのでした。

 さて、マンションに帰宅する。20時に「ニトリ」から来客用に購入した布団一式が届いたのを受け取りまして、それを和室の押し入れにしまいながらふと気づく。私、この和室に入るの2回目くらいなんじゃないの?
 ……ゆっくり考えてみたら、3LDK分の2LDKに相当するスペースに、私、48時間くらい立ち入ってませんでした。朝4時45分に家を出て、20時30分に(仕事上がりに飲んで)帰ってきて、着替えて寝て、3時半に起床して洗面入浴、出勤。寝室とトイレと風呂場とで日常が完結する生活は、ベッドと座椅子のスペース以外は床中に本が重ねてあったかつての旧居住まいと変わらんやないか。
 母君が「必要がなくても買いなさい」と言い続けておられるテレビを買ってもいいかなぁ、と思い始める。DVD・Blu-rayを観られるし、そう言えばまだ開けてもないけどWii Uも買ってるし。