倅一番 船をこげ

 6時入りの職員室で、添削をガッシガシ。04年の伊藤徹『柳宗悦』は、64回生の理系東大現代文特講史上最も受講者を苦しめたと言っていいみたいです。解答時間は過去最長の70分、解説の時間を合わせて120分超の長丁場特講の後で行われた数学テスト会は、担当の同窓同僚先生曰く「全員死んでた」。答案も、難渋の後が滲み出ていますね。

 さて、ノンストップで5時間添削をしたら、東大60%、京大50%が終了。この%は、人数を表していません。例えば、東大60%は「受講40人の答案のうち24枚が終わった」という意味ではないのです。では、どういう意味かというと、「5つの設問のうち、3つの設問を40人分採点し終わった」。
 答案は、問一なら問一だけを、40枚の答案をめくりながら全員分採点します。それが終わったら問二、その次は問三、という流れ。そうしないと、一つの設問について人によって採点基準がぶれてしまう恐れがあるんですね。それを避けるための設問別採点(他の国語の先生がどうなさっているかは知りません)。
 で、今回の東大は問一~問五のうち、問二・三・四を終わらせたので進捗60%で、この時点で11時過ぎ。で、次にいよいよ120字記述の問五の採点に移ったのですが、これがものの見事に崩壊している。校内模試トップ(レベル)の「上代様」たちも見事に玉砕。私が「エゴ的エコ」と勝手に名づけている論理を言分けしてくれた答案は一枚も無……あった! 一枚だけ、私がこうじゃないかなぁ、と考えていることをドンピシャで射貫いた解答が一枚だけあった! こういうのが冥利ですよ、今日はもうこれで満足。

 満足の内に問五の採点を終えたのが12時(進捗状態はですから東大80%、京大50%)。もう今日はこれで仕事上がりにします、と職員室の同僚同窓先生に言い残して(ドンピシャくんは同窓同僚先生のクラスの生徒でした)帰宅。先の答案と採点道具を持ち帰り、家の書斎に置きました(明日未明、終に書斎机での仕事を解禁します)。
 で、タクシーで市内のH公園に向かいます。「もりき」マスターから誘われていた、筑後の日本酒フェスタに昼過ぎから参戦。

 昼前から大量のお弁当を作って来て既にほろ酔いのHさん・もりきマスターのテーブルに私も席を作ります。大テントの下には1000人ではとてもきかない人がびっしりで全テーブル満席。入場時にチケットと一緒に受け取った1尺弱の小さなお猪口を持って、筑後中の蔵元がずらり揃った試飲ブースに出かけて、あの酒この酒を試飲しまくります(そういうフェスティバルです)。私のお目当ては、「繁枡」も「山の壽」も勿論ですが、ここはF校に操を立てて卒業生のご実家であるところの「菊美人」を中心に。「お猪口持ってうろうろするのは面倒くさい!」とコンセプト全否定のHさん・もりきマスターには、「菊美人」秋のひやおろしの4合瓶を買ってテーブルに持って行きました。Hさんの大量のお弁当(食べなさい太りなさい攻撃)を食しつつ、昼酒で気持ちよ~くなる。テーブルには、お懐かしやのH会長だとか、私もよく知らないHさんのお友達(文化街のお店のママさんかな)だとか。酒宴に初対面など関係なし、とばかりに色んな人とお話しながら。

 宴は16時にお開きで、でもって3時間以上飲んでても昼酒ってやっぱりそんなには酔っ払わないもんで、もりき一行(80代、70代、60代、50代、30代私)5人は10分ほど歩いて西鉄、からバスに乗ってそれぞれの自宅へ。「もりき」はこの後店を開けるんですけど大丈夫なんでしょかね。
 リビングに入ってソファーに座り、何気なくテレビをつけたら北島さぶちゃんが「まつり」を替え歌で歌ってました。競馬場みたいだったので、持ち馬が優勝したか何かなのでしょう。テレビは全然観ないと言い続けてますけれども、気まぐれに5分とかはたまにあります。昨日は、お風呂にお湯をためている間の未明チャンネルで「情熱大陸」の再放送をやっていて、プラントハンターの西畠清順さんが特集されてるのを10分ほど観ました。天真爛漫な好青年、って印象(夏に植物展を観た人の番組をひょいっと引き当てるとかね、こういう引きの良さは昔からなんです)。
 大丈夫なんでしょかね、とか思ってる「もりき」に行こうかなぁ、とぼんやり考えてたんですけれども段々私の意識の方が大丈夫じゃなくなってきて、結局そのままベッドルームへ、18時過ぎには意識が……。