偽善の報酬

 5時入りの職員室で京大01年の高階秀爾を添削してたら、問五「日本美術史における明治二十年代について、筆者はどのように捉えているか」という問題にある生徒が完璧な内容の答案を書いてきて感心したんですけれども、最後に「芽生え」を「萌生え」と書き間違えたせいで一気にクールジャパンな「平成二十年代」になってしまってました。ちょっと面白かった。
 朝のPC室で、虹のコンキスタドールの1stアルバムがオリコンデイリー1位ということを知る。すげぇな。私は、週末土曜日に東京は表参道で行われる虹コンアルバム即売会……じゃない、F校大同窓会にて購入するつもり。

 授業は2限に文系東大。07年の清岡卓行『手の変幻』。レンブラントの傑作「ユダヤの花嫁」に描かれた男女の手が象徴する理想美(「純粋な相互所有による腐敗の消去法」!)を引いて結婚賛歌。「ど」がつく独身がどの面下げて、という羞恥の本文範読も仕事なので貫徹。「私、文章の意味は分かるし添削もできます。でも、本文の内容の実感については数学先生に聞いて下さい。私、『言分け』てますが『身分け』てないので」
 添削ガシガシ、答案は帰りのホームルームで返却。小論文も2つ添削をして、中学「保健だより」に短い原稿。頼まれて固辞したのですが押し切られたのは各先生が健康の秘訣を紹介するというコーナー。【21時就寝、3時起床、5時学校入り、18時退勤、19時夕食の「日常性の維持」。朝食・昼食はとりません。さて、どこに健康的な要素があるでしょうか?】「夕食」を「独酌」にするのはさすがに自重。
 放課後に、我らがA組出身の浪人生某氏がご来校、進路指導部長を交えて90分ほど進路相談。っつっても、折れるな遊ぶな勉強しろ、以外言うことは一つもないんですけどね。

 旅行前最後の夜は、旦那出張中の仲良し事務嬢さんとさし飲み。最近知った(卒業生のお母様のご友人が開かれた)絶品小料理屋「A」を予約。
 ですが私は早朝JR、嬢は週末激務、と明朝が早くお酒は程々に……なんて気持ちは0次会のファミレスビールの一口目でララバイ。
 嬢「私が飲み過ぎそうになったら注意して下さいね」
 私「ええ、つられないように」
 嬢「そーじゃねーよ」
 ってやり取りをツイートしたら、フォロワーの58回生Fくんが「俺も混ぜて~」って乱入してきて結局カラオケ居酒屋に移動するというね。ツイッター、そろそろ潮時かなぁ、と思ってたけれどもたまにこういう面白いことがあるならもう少し続けてもいいかな、ってなる。

 そして、加藤治子の訃報。140字。
 【加藤治子の訃報は寂しい。お母さん女優の称号でしたがやはり業と狂気の人。久世光彦聞き書きでほぼ完璧に聞き手を翻弄していた様は圧巻でした(TVや映画より福武文庫の中の姿が印象に残っているのは職業病でしょうか)。事務嬢さんは名前・顔を知らず、サリマンの画像を見て「あぁ、あの声!」と。】