世の中思いどおりに 生きられないけれど 下手くそでも一所懸命

 松本博文『東大駒場寮物語』の後書きに登場する、「駒込という町では、近隣で正体不明の怪人物として知られていた」F校の大先輩(35回生)E氏。その担任団の中で唯一現役でいらっしゃる数学先生にお話を伺うと、曰く「全然勉強しなかったけれども抜群の頭脳だった」と。そらそうですよね、駒場寮ということは東大生ですもん。で、その東大駒場寮で麻雀三昧だったとか駒込では知られた怪人物だったとかいう記述についても、曰く「F校の中ですら目立って面白い人間だった、然もありなん」と。11月に47歳の若さでご逝去、という事実には驚きのご様子でした。

 我らがA組出身・東大生Eくんから、自分が生まれる前のTV番組と放送当時の社会情勢との関連、というレポートの「ネタをくれ」と言われて『ゲゲゲの鬼太郎』第2期のDVD-BOXを送りつけたのですが、「妖怪復活」「原始さん」「あかなめ」「怪自動車」……等々の公害系で攻めるもんだとばかり予想していたら、まさかの「牛鬼」で書きましたよ報告。迦楼羅様? なぜ?
 でもって、我らがA組から東大を目指して現在浪人中の某氏には、氏が合格した後で『ゲゲゲの鬼太郎』第3期のDVD-BOXをお貸しする約束をしています(高3時の学級日誌の日直感想・担任感想のやりとりを介して)。BOXは職員室の私の机の下で、その日を待って一年間息を潜めている最中。水木の子として、『ゲゲゲ』布教に努める人生。

 出がけにちょっと手間取って5時15分に職員室に入ったら、既に中1の学年主任先生が仕事を始めておられ。歳で言えば私の少し先輩(37歳/35歳)、教員歴で言えば私の少し後輩(10年/12年)、F校歴で言えば私のだいぶ後輩(4年/6年+12年)、というその数学先生とは、昨年度63回生の担任を共に務めた関係。その先生との立ち話で、気づけば自分が中堅の入口に立っているという事実に改めて驚く。どが付くペーペー感覚は身に染みついて全然抜ける気配がないんですが、それでも12年間働いてますからね。国語科の常勤9人を、在職年数が長い順番に3・3・3人に分けたら、私真ん中のゾーンに入ってしまいます。
 12年間(人生の1/3超)も続けられた理由は何か、と問われたら答えは1つで「向いてない・自信が無い」からです。「私ごとき非力でも、F校教師しかしたくない」という意の「でもしか教師」ですから、失敗してもそら当然だと耐え得るし、人より長い時間働かないといけないと分を弁えられる。得意を任じるだとか向いてると思うだとかいうスタンスで仕事をしていたら、どこかで崩れたか飽きたかしたでしょう。「そんなことないよ、向いてるよ」と声をかけて下さる人はいるでしょう(実際に職場にもいます)が、それを辞めなかった・倒れなかったという結果に対する労い以上の褒め言葉だという風に受け取ることはありません。

 5時職員室入り。先ずは昨日のセンター特講(14年度本試験)の採点データのまとめ。その後は高3生の添削をガシガシ。センター小説誤答傾向分析1人、産業医大自己推薦文添削2人、自治医大自己推薦文添削1人。これは、放課後にそれぞれ面談を行います(4人で100分程度ですね)。京大の添削2枚、東大の添削1枚。PC室で日記を更新して、職員室のゴミ箱・シュレッダーを整美。以上で8時30分。
 本日は終業式&高3激励会があるのですが、昨年度と違って副担任なので生徒監督をする必要がなく、冬休みを前に高3生に返さなくてはならない添削の残りをガシガシ。調査書を取りに来た我らがA組浪人生某氏と面談をしたり(高3時と同じく、倦まず弛まず勉強を続け、地獄の11・12月も日常性を維持できた様子、素晴らしい)。激励会の(高3各クラスによる)出し物をじっくりと観ることは出来ませんでしたが、ランドセル・女装・柔道着・戦隊もののお面・モヒカン・長ラン竹刀……等々、高3諸氏の「狂気乱舞」のお姿は体育館入口で色々と拝見させていただきました。

 放課後は、高3生4人と面談。冬休み明けの教材(センター14年・15年度の追試験)プリントを作成。
 で、不勉強を恥じないといけないんですが、私15年度の追試験が既に問題集に入っていることに全然気づいておりませんで。本日初めて問題を見たんですね。で、評論のタイトル、北垣徹「運動する認識」というのを見て「あれ?」と。で、本文1行目を読み始めて「あれれれ?」と。これ、その前年度、14年度の一橋200字要約の本文と全く同じ箇所です(実際には、1段落分だけセンターが長い)。何でこんなことしたんだろ。要約と読解は次元が違うから? 或いは追試験だから?

 17時までデスクワーク。職員室の日直だったので、下校放送と校舎巡回。その後、タクシーで行きつけの美容室に。昨日の日記に書いた「KMタクシー」に電話をしたら15分と言われたのでお断りして、「Tタクシー」を呼びました。
 美容室でのカット、馴染みで同じ歳の美容師さんは数年前からマンションに入られてて、その自治会の話を色々と伺いました。9年ほど前に初めてお会いした時には、まさかこんな話をするようになる日が来るなんて夢にも思いませんでしたが……。
 美容室から徒歩圏内に「KMタクシー」の車庫(旧「Mタクシー」の方)があるので呼んで貰おうとしたら、20分と言われたのでお断り。もう、ここを使うのはやめようかな、という思いが強くなる。

 夜は「もりき」で本日唯一の食事。突き出しはキビナゴとナマコ、私はナマコが嫌いなので閉口(食べましたけど)。注文はもやし鉄板とイノシシ汁。クラシックラガー瓶(トマトジュース割)、日本酒は「蓬莱泉 和」「九州菊 残心」。滞在は1時間ちょっとで早めの帰宅(宅急便が来るので)。
 20時半に宅急便を受け取って、21時に就寝。ベッドで秋本治こちら葛飾区亀有公園前派出所(197)』読了、★★★。