今日の日は ああどこから来るの

 どうやってホテルに戻ったのかどうしても思い出せない。飲み過ぎ。でも宿酔いという程ではない。けれども眠い。飲み過ぎ。
 だから間違えるんですよ、と。ホテルをチェックアウトする時に、買い込んだ本・服などをバッグにまとめてK市に元払いの宅急便。そのバッグの中に、元旦に実家で文面を書いて発送する120枚の年賀状を入れたままにして取り出し忘れました。バッグが学校事務室に届くのは初出勤の4日午後。これで、年賀状発送は最低でも4日の夜ということが確定しました。何とか松の内に届くから良しとするしかない。取り出し忘れに気づいたのは帰りの新幹線の中で、これは神様が正月は母君とゆっくり語れと命じているのだと思うしかないですね。

 品川から小倉に向かう新幹線の中に電話着信2件。1件目で、来年の仕事始めが4日正午の高3某氏アポイントメント(医学部志望理由書添削面談)になることが決定。2件目で、小倉下車そのまま実家帰省を取りやめて一旦K市(学校)に立ち寄ることが決定。仕方がないので、新幹線から母君に電話をかけ、13時帰宅予定が16時になると連絡。仕事だから仕方ありません。
 8時過ぎ発の「のぞみ」はさすがに帰省客で混雑、1ヶ月前のネット予約でチケットを予約しましたが、朝のグリーン車がギリギリで取れたレベルです。でもって、「のぞみ」のグリーン車九州新幹線の普通車の乗り心地と変わらずというところ。
 発車直後に朝昼兼用の食事(駅弁)。この5泊6日でどのくらい体重が増えたことでしょうか。食後は、読書・仮眠・CD等々。

 博多から乗り継ぎでK市、タクシーで自宅に戻り、ビデオ録画の予約(用件はこれではありません)。「笑ってはいけない」を一応押さえておきます(実家では「紅白」を流します)が、もしかしたら観ないことになるかも知れません(年々面白くなくなってきているので)。
 場所を学校に移して、用件は10分ほどで片付いたので、そのままタクシーでJR。K市滞在は1時間弱です。新幹線でK市から博多、から小倉。乗り継ぎ時間を含めても1時間未満でつくのですから新幹線様々です(これは、昨年の母君の病気の時に特に強く感じました)。

 旅行中に読了の本。
 井上章一『京都嫌い』読了、★★★。面白くはありましたが、やや及び腰の姿勢ではないか? という印象は拭えず。全盛期の中島義道を期待したら、それは贅沢なのでしょうか。杉本秀太郎梅原猛に喧嘩売ったってもう死んどるからねぇ……と書いて気づいた、梅原さんまだ生きとるわ。
 内田樹福島みずほ『「意地悪」化する日本』読了、★★★★。最終部の対韓国政策の行方についての内田氏の予想(予言?)がほぼドンズバで(しかもこんなに早く)的中したのは面白いですね。話はそれますが、最近人気らしい『しくじり先生』って、日本人の「意地悪」化を逆手に取った相当巧い番組づくりだと思います。じっくり観たことはないんですけれども、コンセプトだけ聞いても唸らされましたもん。
 森晶麿『そして、何も残らない』読了、★★。タイトル通りの読後感。さてこの作者は、先行作品の「あれ」をご存じなのでしょうか(水野真紀中村雅俊加賀まりこ……等々のキャストでドラマ化されたあの作品です)。
 KANA『女の友情と筋肉(3)』読了、★★★★★。完全出オチと思いきや、2巻・3巻と段々面白くなっているのに驚き。再読に足る4コマって珍しいですよ。今年の五指に入ります。
 よしたに『理系の人々(5)』『ぼくの体はツーアウト(8)』読了、★★★。いつも通り。ブログのタイトルをパクった以上、この人の本からは絶対に降りません。
 森繁拓真となりの関くん(8)』読了、★★★。
 猫目トーチカ『四季』、霜月かいり『すべてがFになる -THE PERFECT INSIDER-(1)』読了、★★★。

 K市から小倉への新幹線で本年最後のtweetをして、実家帰宅後即入浴。おせちは高島屋から届いたものを冷蔵庫に。夕食はしゃぶしゃぶ、の後で年越しそば。上げ膳据え膳の実家帰省は4泊。この間は、仕事のことを一切忘れてひたすらテレビ三昧です。本を読んだら必ず仕事に結びつけるので、読書もしません。Twitterの140字は、F校のこと・仕事のことにどこかで必ず言及する(時には強引に関連づけてでも)という縛りを自分に課しているので、4日間はtweetもストップです。実家の母君に合わせてお酒も飲みません(盆と正月とが休肝日です)。実家、何という非日常!
 とは言うものの、テレビは案の定面白くない。『紅白』も予定調和ですし、時々チャンネルを合わせて観ている『笑ってはいけない』もマンネリが全然偉大じゃない。日テレなら中居正広柳楽優弥NHKなら羽生結弦小林幸子T.M.Revolution、とただTwitterのチャッカマンになればいい、という姿勢はいっそ清々しいのかも知れません。
 大病以来19時20時には入眠なさる母君に合わせて家の電気は20時にはオフ。小さめの音で、日付が変わった直後までテレビを観てから就寝。テレビ東京の『孤独のグルメ』『共感百景』を連続で録画予約していますが、この2つは(特に後者が)楽しみ。どちらも初見です。

 本ブログ恒例にしている年間ベスト5の発表。先ずは、今年発売の新刊5冊。
 A.荒木経惟『男 アラーキーの裸ノ顔』
 B.小島豊美『昭和のテレビ童謡クロニクル 「ひらけ! ポンキッキ」から「ピッカピカ音楽館」まで』
 C.馬場康夫『「エンタメ」の夜明け ディズニーランドが日本に来た日』
 D.二村ヒトシ金田淳子・岡田育『オトコのカラダはキモチいい』
 E.松本博文『東大駒場寮物語』
 国語教師の威厳が崩壊しそうなラインナップですけれども、正直に選んだらこうなるんだから仕方がない。アラーキーのAは(恐らく事務所NGで)カットされた氷川きよしの顔(正体)を想像しながら読む本。B・Eは自分の生い立ち(思い出)を重ねて。ディズニーランドというディストピアが生理的に駄目で、かつ電通が諸悪の根源という山本夏彦の熱心な読者である私ですが、電通畑の人々によるランド誘致合戦はそのまま映画の迫力、Cは久しぶりにワクワクする読書体験でした。でもって、本年度のベストはD。人格を疑われても文句は言いません、だってあんだけ笑わされたんだからしょうがないもんと開き直ります。

 続いて、昨年以前に発売された本から5冊。
 A.内田百閒『百鬼園百物語 百閒怪異小品集』
 B.瀬戸内寂聴『奇縁まんだら』
 C.谷沢永一『紙つぶて(全) 谷沢永一書評コラム』
 D.戸塚洋二・立花隆『がんと闘った科学者の記録』
 E.山本夏彦『世間知らずの高枕』
 こっちの方が国語教師然としてますかしら。C・Dの筆者とは政治・思想的スタンスが合わないけれども、書かれたものには圧倒されます。特にDは、大病を患った母君のことを思うと他人事とは思えません。A・Eは私にとっては同時代人で小文の神様。ゴシップを本質的人物像に「浄化」して描くBは、そのスタイルが筆者の人生そのものを象徴(凝縮)してます。

 最後は漫画、これも今年発売されたものに限定しています。
 A.池辺葵『プリンセスメゾン』
 B.KANA『女の友情と筋肉』
 C.雁須磨子『こくごの時間』
 D.西炯子『お父さん、チビがいなくなりました』
 E.水木しげる『わたしの日々』
 A・Cは自分の人生に重ねて。Bは前述の通り。Dの巧さには唸らされました。Eは遺作、水木しげる師が私の倫理です。

 今年購入したCDの中から5枚。
 A.おおたか静流『Serenade』
 B.小島麻由美『Cover Songs』
 C.サザンオールスターズ『葡萄』
 D.Velsipo『Shardora』
 E.RHYMESTER『Manifest』
 遂に「今年発売」の5枚を選ぶことが出来ませんでした。AとEとは今年買ったものですが、発売はそれぞれ2008年、2010年です。Aはいちばん好きなおおたか静流で、Dはいちばん好きな新居昭乃。Eは63回生我らがA組のMくんから教えて頂いた、今年最大の収穫。小島麻由美が現役のシンガーの中で最も歌の巧い人だということが分かるのがB。年明けの阿呆な批判を作品で蹴散らしたCの偉大、個人的には冒頭2曲「アロエ」~「青春番外地」が最高。