私は或は人から沢山の書物を読むとでも思われているかも知れない。

 5時入りで添削……ですが現役生の提出ボックスには殆ど入っておらず(2枚提出されていたものを10分ちょっとで終了させ)、次に取り掛かったのは大人の方の手になる文章。進路指導部が(選ばれし?)卒業生に毎年3月に送る「合格体験記」の執筆依頼文の校正です。
 今年度から進路指導主任になった(「から」と書いていますが、二年目があるかどうかは分かりません)私が最初に驚いたのは、就任の4月の直前に63回生執筆者に送られた依頼はがきの文面を見た時。既に卒業した一人前の人物に送る文章とはとても思えない酷さに驚愕しました。
 例えば、「諸先生が貴方を推薦されました」という一文。依頼相手の卒業生を「貴方」と目下扱いで依頼主の教員には敬語ってどういう神経なんだろう? と。内容的にも、「四千字程度」と縛りを入れたり、「勉強をしなかった」という文言を書くなと末筆に添えたり、要するに「書きたいだろうから書かせてやる」という臭いしかしないんですね。数人の(誠実な)卒業生から「その条件では書けません」と断られ然もありなんと思いました。
 但し、「貴方」と呼ばないとして二人称に何を使うかというのは難しく。男子校の時代だったら「学兄」でオッケーなのですが、今はそうは行きません。男女で文面を使い分けられるのなら「学兄」「学姉」でも良いような気もしますが、どうなんでしょうか。こういう所は、「社会人」経験のない「舎界人」の弱さが出ますね。今度、会社勤めの経験があられる先生に伺ってみましょう。
 いずれにせよ、今までご執筆の方々には深くお詫びをば。私も書いてますけど。

 以下、140字。
【あわわわわわ。金曜のFKC(F校カラオケクラブ)例会、「息子がインフルで病院に」と仰ってた体育先生が昨日発症して本日から出勤停止との報。私、あの先生とカラオケボックス個室で3時間一緒だったぞ。その翌日には8人出校停止の中3教室で授業したぞ。俄に緊張、見えない恐怖と闘っているなう。】
 「なう」というのが如何にも流行に乗り遅れてる感。インフルエンザ的にも乗り遅れたいところ(全然巧くない)。

 以下、140字。
【朝は会議の後で添削。午後イチで浪人組の答案封筒をホテルに速達手続き。その後は単発でポツポツと出される現役生の過去問添削(本日最終日)なんですが、これで終わりかと思ったら次が来るの永劫反復状態で、気分は早乙女乱馬「かわいくねぇ、色気がねぇ」のアウトロ聴いてる時のそれ(通じます?)。】

 18時に学校を出て、昨日に続いて海鮮居酒屋「U」で独酌。から真向かいの小料理屋「A」に一月ぶりくらいにお邪魔。はしご酒珍しく。明日・明後日・明々後日の夜も(池袋か渋谷かで)はしご酒なのでその練習。今日は飲みませんでしたが、明日からは「ハイチオールC」必須だな。

 内田義彦『読書と社会科学』読了、★★★★★。古典の読書における「信」と「疑」の両義性について述べられた一節を(15年度の一橋200字要約で)読んでその文章の巧みさ(声の聞こえる書き言葉)に驚愕して買ったまま暫く放置していた本を、腰を据えて読書をする時間なんて全く取れないはずの2月にゆっくりと。
 古典の読書はそれによって筆者の世界の捉え方、思考の「概念装置」を掴み取ることにある、というのが最も大きな趣旨。京都大学の過去問(「読書」)において、西田幾多郎はそれを思想家の「骨というようなもの」と呼んでいますね。同じことを言う読書論は何度も読んでいますが、前述の通り「声の聞こえる書き言葉」の巧みに誘われて陶然と。とまぁ、講演書き起こしなのだから当然といえば当然ではあるのですが、全面加筆修正を施してなお、というのはやっぱり凄い、と圧倒され。これも、卒業生に勧める本に入れておくべきですね。