All right 勇気をだして 目をつぶってるまに 決めて

 3時半起床、5時学校入り。始業前のデスクワークは授業準備と担任業務。

 朝のSHRで話さなければならない情報が多すぎて大変。例えば1時間目は体育館で高校対面式(新しく入学した高1と、迎える側の高2・高3とが「よろしくお願いします」)なんですけれども、新入生は自分のクラスから体育館までの(最短の)道、体育館の下足箱の使い方、体育館の中での出席番号順の2列縦隊、の全てを知らず全てが初体験。
 な上に、F校という学校が相当時間の流れが速い学校だという事実も知らないので割とのんびり動くから(中1でもないからこっちもペーターがヤギ追いかけるようなこともしないから)、対面式でもウチのクラス(高1A)の集合と並ぶのとが最も遅れるわけでして(体育館から一番遠い場所にあるクラスだし)。

 ったく並ばせるだけでも疲れるぜよ、と一息つこうと思ったら、すれ違いざまに同じ高1の(中学から持ち上がりの)担任でいらっしゃる英語科女性パイセンが耳打ち。
 英語「ちょっといい?」
 国語「は、全く以て申し開きのしようも御座い/」
 英語「まだ怒ってないから謝らなくていい。それよりあんたに最初の担任業務させてやる」
 国語「御意。していかような?」
 英語「前からn番目の女子、スカート短い。あれ折ってるから、注意しといて」
 いきなり最高難度やないか。

 の後、2・3・4限目は英語・国語・数学乙、の課題テスト。2限は自分が担任をするAクラスの監督。してたら、英語的な内容は全然分からないんですけれども、あ、これは多分、内進生とどっこいどっこいの成績だぞ、という感じ。「課題テスト」と言いながら実質的には殆ど実力テストなんですけれども、答案の密度や書いてる内容やスピードを見る限り、そんなに特別に色んなことを知ってる(内進組に圧勝してる)わけじゃないんだな、と。唯一課題つきだった(宿題としてCD音源が配布された)リスニング問題も解答がもたついてるし、あ、これ、課題やってないな、って人が散見。
 外進生は例年なら英語で内進生に最初から勝ってるはずなので、今年は例外的に英語で内進生を追いかける学年になるわけね。これは生徒を頑張らせないといけません。

 2限目は国語。
 外進生(高1A)は私が100点満点で出題。40点が古文で、これは63回生の高1春課題テストと全く同じ自作の問題。得点率を比較します。60点が現代文で、その内50点はセンター試験小説(江國香織「デューク」)をそのまま出題し、残り10点は東大の過去問を改題して漢字を10題。
 内進生(高1B~E)は、現代文50点、古文30点、漢文20点、でそれぞれ中3の授業を担当した教員が春休みの課題から出題。例えば私は中3で漢文を担当したので漢文の問題を作成しています。
 試験中、質問を受けつけるために各クラスを回った時の印象は、前記英語と全く逆。内進生はこれは課題、若しくは課題を踏まえたテスト勉強をやってねぇなぁ、という印象(英数に注力したんですかね)。外進生は割と難しい(そらそうだ、センターと東大です)試験だけどスムーズに解けている様子。

 外進生の担任としては一安心。国語の様子を見る限り地頭・センス・試験中の集中力、等々は悪くない(良い感じ)。と言うわけで、3限目の数学乙の間に、A組51人分の採点をさっさと終わらせてしまいました。見回った時の感触はやっぱり正しくて、古文の得点率は70%を大きく超えてこれは前に担当した63回生の高1A組よりやや高い。センター小説は80%超、漢字も80%で、全体平均は80.0点。

 普通なら土曜日は半ドン、だから4限の数学乙テストが終われば下校、なんですけれども今日は違う。昼休みの後、高1A組だけは残ってLHR(学級活動)です。先ずは、先程の試験を返却。良く出来てました、と一言。返却が早かったからちょっと驚いた生徒が何人かいた様子、ですけれども私、こう見えて国語に関しては人並みに仕事はするのよ、と。続いて、月曜日から本格的に始まる授業の初回の案内(教室移動や携行品)。その後、本題は「男く祭」の話。
 4月末に行われる「男く祭」において、高1Aは入学後1ヶ月にも満たないのに、いきなり合唱コンクールで2曲歌う、クラスバザーで食品を売る、という役割を担わされます。ご無体な話なのですがそれをやらなかった学年は無いので学校行事として強制的に参加、そしてそれに参加することでクラスのまとまりも生まれます。勉強(大量の予習復習と毎日7限授業)と並行して練習準備に明け暮れるわけですから、それは大変な毎日になるのですが「楽ではないが、楽しい」を身分ける絶好の機会なのですね。
 で、その合唱コンクールの「コーラス委員・指揮者・伴奏者」、食品バザーの「店長・会計長・調理責任者・備品委員・美化委員」を決める。「男く祭」にはその他様々な係(役職)が必要になるのですが、今日はその他に「チャリティーバザー委員・環境P(プロジェクト)」のメンバーも募りました。

 お互いがお互いの名前もほぼ知らない2日目にしていきなりこんなことが決まるんかいな、と担任ですら半信半疑だったのですが、勢いよくとまではいかないながらポツ……ポツと手を挙げてくれる人が居り、後から別の先生に「強制を全くせずに全部の枠が埋まったのは凄い」と言われる決まり方をしました。協力諸氏に多謝です。
 ですけれども、やっぱりことは一筋縄ではいかない。スケジュールの都合上、どうしても今日中に食品バザーの売り物を決めなければならずその話し合いをしたんですけれども。
 高1Aですよ、学校には不慣れですよ、だから食品バザーで例年だいたい米を使ったメインを売るとなったら、普通「カレー」とか「炊き込みご飯」とか、ちょっと奇を衒っても「お好み焼き」とか、そういう無難なところに落ち着くんですよ。それなのに、何がどうなってそのノリになったのか、結局圧倒的賛成多数で決まったメニューが「おにぎり」なんですよ。色々な具材を握ってお客さんに選んで貰おう! って。「だってJKが握ったおにぎりですよ!」ってこれは誰の台詞だったか。とにかくここは一体どんなクラスやねん、と(戸惑い半分、面白がり半分)。

 学究活動自体は15時に終了して生徒解散。その後、コーラス関係の仕事を引き受けてくれた6人に、コーラス2曲の選定をしてもらう為に候補曲(数百曲あるみたいでした)一覧のプリントをお渡しして、引き続き教室で協議してもらう。
 その間に、食品バザー店長がバザーP長の高3先輩に、今日決定したメニューの報告に行ったのですが……。ちょっとその様子を、と生徒会室を覗きに行ったら、バザー長高3氏がめちゃくちゃ困った顔をされており、聞くと「おにぎりは、保健所NGです」と。成る程、食材を手で触れるのは(食中毒的な意味で)アウトなのですね。

 「私が『おにぎり』って言ったときに部屋が凍り付いたみたいになったの、すごく辛かったです」とは女子店長の言、それは本当に大変でした。というか、おにぎりを事前に差し止めなかった担任の責任ですね、申し訳ありません。ただ、バザー長高3氏の戸惑いは何となく想像がつきます。高1A組なのに、なんでそんな変わったメニューを持ってくるの? 普通カレーじゃね? って、思いますよね。うん。

 コーラスの方は6人で文殊2人分の智恵。易しい曲を1曲、難しい曲を1曲歌うことにして、それぞれの候補を4曲ずつ選び、月曜の学究活動でアンケートを採るそうです。以上、候補曲決定後に解散。丁度、生徒下校完了時刻の17時。

 職員室に戻って、高3課題テスト漢文の採点をガシガシ。私は文系A組40枚を採点する必要があり、これは1時間ちょっとで集計まで終了。今年度は、高1の現代文と合わせて高3文系の漢文の授業も担当することになっているので、これが最初の高3関係の業務ということになります。

 5時から19時まで、食事する暇も無い一日でした。元々食べないから別に困りはしないんですが、仲良しの先生や事務嬢さんとお話しする暇が全く無かったのはちょっと辛いかも。4月が終わるまではこれが続くんでしょうね。あぁ、5月の黄金週間上京、遊び体力が残ってなかったらやだなぁ。