灯りが 消えてゆくゆく 青山

 63回生我らがA組出身Mくんの妹君が今年の高1A組に。で、その彼女から「先生が制服姿でコーラスに出ている映像、うちにありました」と言われ。ですね。63回生の時は、高1~高3と、毎年生徒に学ランを借りてコーラスのステージに上がりました。
 んですけれども今年、私は生徒と一緒にコーラスの舞台に上がることをしません。理由は一つで、練習に参加する時間が無いから。こんなに忙しいとは思いませんでした。申し訳ないので、いつも以上に後方支援に徹している(つもりな)んですけれども、具体的には、以下。

 本日、午前中は学校で高1A有志と食品バザー試作会。金曜日の「男く祭」初日、F校会場において高1Aは例年全員参加のクラスバザーを開くことが決まっています。で、今年は曲折経てハヤシライスと大学芋、店名は「囃し芋」です(祭だから「囃し」ですね)。
 店長1人、調理責任者3人、なので4人くらいでこぢんまりやるのかなぁ、と想像していたら帰省しない寮生を中心に11人も集まってあら意外と頼もしいクラス。

 先ずは8時30分に集合組で近所のスーパー(24時間営業)に買い出し。ハヤシライスのルー、玉葱、豚肉、マッシュルームの缶詰……などなどを買うのですが、例えばマッシュルームの缶詰を野菜売り場で探そうとしたりするなどなかなか不安な出だし。その缶詰にしても「150gだから1缶でいいんだね」「いや、待て、これは汁を入れて150gでマッシュルーム自体は75gらしい。だから、2缶?」「え~っ、何だそれ、詐欺じゃないか! ずるい!」ってやり取りしてる感じ。先生は見てるだけ。

 9時の教室にずらり揃ったメンバーと、先ずは5合炊きの炊飯器2台(保健室ベテラン先生からお借りしました)で3合ずつ、計6合の飯炊き。つっても米を洗ってボタン1つなのでこれは簡単。本番では、レンタルの2升炊きを使う予定ですが、これはどうなることやらとドキドキ。
 社会科のレンジでチンさせて頂いたサツマイモを一口大に切る、ハヤシライス用の玉葱も豚肉も切る、という作業を小さなまな板と包丁2本とで(包丁は、危険なので終了後に私が預かりました)。手先が器用な人が多くて安心。途中、サラダ油を買い忘れていることに気づいたら直ぐに誰かがコンビニに走る、等出来ました。本番の臨機応変は大切。
 でもって、米はAくんのご実家、芋はBくんのご実家が作っておられる材料をご提供頂いて、「ライスも芋もA組手作り!」という良く出来た流れになってたんですけれども、本日また別のCくんのご実家が「玉葱は提供できますが」ってことになって全員大笑い。農家多いな。探しゃ養豚も居るんじゃないか、って勢い。

 IH調理器はレンタル、ホットプレートは有志Dさんのご提供。前者IHでハヤシライスを、後者ホットプレートで大学芋を作るグループに分かれて作業。
 ハヤシライス。玉葱を炒め、豚とマッシュルームを入れ、水を入れてルーをぶち込む。こんな言い方しちゃなんだけど「意外とあっさり出来ちゃうもんなんだね」と。それだけお子様方の手際が良いということでしょうか。
 大学芋は市販の大学芋の素を使うのですが、タレ状のものと粉末状のものとを2種類準備して、どちらが美味しく出来るかを比較しながら試作するという念の入りよう。結果、後者粉末状のものの方が上手に出来るということが判明しました。
 6合のお米はふっくら、それを紙皿によそう、ルーをかける、で販売20食分が完成……実際には、米が少し足りずに19.5食分になってしまいましたが、まぁ誤差の範囲ではないでしょうか。食べたら、「あ、旨い」

 時間にして2時間弱の作業でしたが、総じて上手くいった印象。但し、本番は今回の20食分なんて量の比じゃない分量を作らないといけません。一度に使える調理器具の量を考えたら、一秒の休みもないフル回転で作り続けて間に合うか間に合わないかというレベルだということが分かりました。というわけで、有志11人の中の更に有志が集まって、職員室の片隅で作戦会議が続きます。私はその横で学級通信を作成するお仕事(日常の業務も大切なの)で、基本的に全て生徒任せ。唯一提案したことと言えば、「大学芋は当日の出来が悪かったら『高校芋』って言って売れば?」ってのだけ。
 作戦会議を近くで聞いておられた高3の先生が通り過ぎざまに「高1A、テンション高すぎじゃない?」と仰いました。何から何まで例年の高1Aとイメージが違うと言われているようでかなわんわんまに。良い子たちなのよ?

 さて、IH調理器はレンタル、2升炊き炊飯器もレンタル。作戦会議で「炊飯器はフル回転、ご飯の保温はどうしよう?」というのが問題になっていたのでその場で即決、4升の保温専用炊飯器もレンタル。で、レンタル代は誰が出す? って担任以外居ませんね。高1A担任経験の豊富な諸先生方から今年度が始まる前のアドバイス、「学園祭はとにかく担任が金を使うぞ。頑張れ」
 本当でした。上記レンタル代然り、コーラス練習のジュースだのど飴だの差し入れ然り、今年の諭吉は逃げ足が速いこと甚だしい。ところへ副担任の英語先生、「今年の学園祭はバザーか合唱かで賞をとったらA組全員で祝賀会を池ノ都先生の金でやる、って授業で生徒に言っといたもんね~」ってマジかよ。
 生徒「先生、お金あるんですか?」
 先生「こういう時の為に扶養家族が居ない生活を貫いてるんですっ!」
 ってまぁ、食品バザーで米・芋・玉葱を生徒が提供してくれて、担任がそれ以上を出さないっていうのは嘘ですよね。

 午後は、学校から徒歩15分のホールでコンサート。高1学年主任先生、及び仲良し事務嬢さんが所属しているアカペラサークルの定期発表会を鑑賞してきました。毎年恒例を1回も欠かさず聴きに行き、汚れた心をVoice Bathingで洗う貴重な体験。例年は高3の添削を抱えているので心の片隅にどこか仕事のことが残っているのですが、今年はそれもないので美しいハーモニーに浸りきることが出来ました。
 中田喜直の作品を取り上げたコーナーがありまして、好きな作曲家なので嬉しかったですね。「夏の思い出」が歌われましたが、明日Hさんちで豚しゃぶパーティーをする時のお酒は「水芭蕉」(我らが文系A組Nくんからの贈り物)なのです。

 コンサートの後は、西鉄に出てカフェ読書。EGO-WRAPPIN'のベストアルバムを購入して少し(カバー集)だけ聴いてみました。大昔にフリーペーパーでユーミンがEGO-WRAPPIN'を絶賛していた記憶がありますが、カバー集では「曇り空」が取り上げられており。いちばん気になっていた「謎の女B」は、キノコホテル・渚ようこ同様、謎のスキャット入りまくりの歌唱です。オリジナルのシングル盤ではスキャットは一切入っていないのですが、映画で使われたときのバージョンに引っ張られてるんでしょうか。
 西鉄辺りで飲んで帰ろうかと思ったけれども、構内にやたら大勢の坊主頭が居るのを見て、幹部候補生の入隊時期だったということを思い出す。この土日が初めて外出・K市飲み、って若者が多いんですね。1年前、それで「もりき」にやって来たAくんとコミケの話で盛り上がったことを思い出します。
 というわけで結局「もりき」。「鳳凰美田」を飲みながら、「あれから1年だね、また池袋で飲もうね」「是非是非!」とAくんとメールやりとり。5月の上京は予定が埋まっているので、次の機会は8月かな。マスターが言うには、昨日の夜に早速ベテランが若手を連れて来店し、若者が日本酒が美味しい! と喜んでいたそう。毎年同じですね。