影もうすいみたい ひとりで踊ってもはかない

 5時入りの職員室でデスクワーク、授業は7分の5で、A組には石川直樹「歩き続けるための読書」、B~E組には小池昌代「背・背中・背後」。母君のMRIの心配をしながら、一日に4回も「彼岸・此岸」について説明するというのはかなりストレスフルな作業でして。
 一昨年の10~12月、K市と小倉とを往復して母君に付き添いつつ、63回生高3の担任と国語(現代文・漢文)を担当していた時期、最初に知らされてから3日で4kg痩せてそれが戻らなくなったんですが、今回は2日でさらにそこから2kg落ちました。

 お昼に職場に届いた水森亜土さんからのお届けものには、メッセージカードとサイン入りカレンダー、それに加えてなんと舞台衣装が入っていました。お礼が凄すぎ。舞台衣装は「男ちゃんの役をやった時のシャツです。着てね。踊ってね」とのことですが、多分サイズが合わないしというか畏れ多いし、飾るだけかなぁ、と。
 ゆうパックの差出人・届け先が書かれた文字、それがもう亜土ちゃんの「作品」なんです。

 さて、朝の担任団の雑談で、何気なく「そういや昨日携帯でパズドラやってた阿呆が居まして叱ったんですけど」と話して私が叱られる。「そこは携帯没収やろ学年方針で決まっとるやろ担任5人で足並み揃えて指導をせんと学年が乱れるやろ自覚を持てや自覚を」
 はっきり言って、没収という手段は私イヤなんです。理由はひとつ、行為として頭が悪いから。いくら仕事だからってそんな頭の悪いことはしたくないのよ。でも、学年団の中では新参者、5人が足並み揃えてという必要性は当然ですから、従いますよ。クラスの生徒が頭の悪い行動をとったから、担任も罰として頭の悪い行為をする。これはB~Eの4クラスの授業で縷々説明しました。「こんな頭の悪いことを指導と称してやるのはイヤなんです、けれどもやります、全クラスで宣言しないと決心が鈍るから言うんです!」
 で、仕方なく当該のお子ちゃまをお呼び出しして携帯を(黄金週間まで)ボッシュート。わざわざ校内で使うくらいなんだからその依存度は相当なもので「今夜から僕は何をやって生きていけばいいんですか!」とは当然の弁ですよ、だから返して一言「勉強しろよ」「あ、そっか。それはそうですけれども!」
 あのね、泣きたいのはこっちなのよ。国語だけ教えて楽しく仕事をしていたいのに何でこんな頭の悪いことを(←しつこい)。

 さて、コーラスの練習に最後まで付き添うことも出来ないまま、17時30分に学校を出てタクシーで母君がお泊りのホテルへ。母君と合流して移動したのは夕食会場の「チャイナ梅の花」。野菜と鶏肉(たんぱく質)とを取れるお店、というリクエストだったので、それと禁煙の個室という条件とを兼ね備えた店舗の筆頭がここだったのですね。お酒も飲まず、2品のメイン(魚・鶏)と数品の点心とをシェア。明日が告知という宙ぶらりんの状態ですから心身阻喪は当然のことで、良い悪いの別はあれ口に出すのが全て可能性の話であるというのがもどかしいばかりで。
 ですが途中、母君が担当しておられる利用者のご家族から携帯に着信。15分ほどお話されている間の母君の目の光は鋭く、「レモン哀歌」ではありませんがこれが本来の姿でいらっしゃるのでしょう、と。

 明日の告知がどんなものであれ、とにかくお仕事を続けることを軸に考えましょう、と母子の意見は一致。ステージⅣの肺癌だったのに手術・ガンマナイフの後は無治療で仕事を続けられているという状態の母君は、「大勢の要介護者を助けてきたことへの神様のご褒美」をもらっているのだと私が言ったことをよく覚えてお出でなのですが、それを「もっと働く必要があるという神様の叱咤」だと受け止めていらっしゃるご様子。
 そして、生きている人間相手の仕事をしている点では私も同じで、明日は11時の告知が終わればその日にそれ以上の検査・治療等はないわけですから12時半の備品移動(明日は午後から文化祭の前日準備!)に間に合わせて学校に戻る必要があります。昼食か珈琲かをご一緒に、というわけには行きそうにありません。
 まぁ、血ですね。