そう秋田にゃ秋田の風が吹く 泣ぐ子はいねが!?

 本日からF校は1週間の黄金週間。私は明日から4泊5日で東京旅行ですので、今日はがっつり働くつもりで朝から学校へ。業務の中心は、授業準備と作文の添削。

 200字作文「私の好きな歌」は、内進(B~E組)と外進(A組)とで別々の日に書いてもらったのですが、(これは敢えて括弧つきの)「真面目さ」で書いてきた内進組よりも、外進組の方が曲のバラエティや文体や視点やが面白くて、あぁここでも内進・外進の逆転が起こっているんだ、とこれは珍しくA組に軍配。

 先ずは内進組で力があったのは、スピッツの最新曲「みなと」。東北大震災から熊本大震災を題材に、歌詞と草野氏の歌声とから伝わってくる死のにおいについて詳述。ミスチル「口がすべって」で他者理解の難しさを、椎名林檎ありあまる富」や平原綾香「My Road」で日常の今を生きる尊さを語った作文も印象に残ります。で、F校一流のユニーク・ひねくれ視点は内進組には本当に少なかった(或いは、書こうとして本質的真面目さ故に不自然な作文になったものが多かった)んですけれども、取り上げたのはゲスの極み乙女「私以外私じゃないの」、及びAimer「Brave Shine」の2曲。前者は「悲しい時、怖い時というのは、アイデンティティを自分の中で肯定してよいか迷っている時である」の一文、後者は「この音楽を聴いていれば、自分が『覚めない幻を見ている』のだと思い込むことができる。どうせ、いつのまにか眠りにつき、夜明け頃には目覚めるのだからと楽観的に日々を過ごす」の末尾が良でした。

 続いて外進の我らがA組。
 先ずは「Day Dream Believer」における清志郎と実母・継母との関係から日常の愛おしさを感じた、と書いてきた作文にほう、と。渋い選曲ですが、最近CMに使われたんでしょうか。ポルノグラフィティ「Human Being」で人間批判を展開した作文は、歌詞の意味分析の作文では随一。米津玄師「WOODEN DOLL」を「痛いことを考えてしまうくらいには聞き心地の良い曲」と断じたもの、シナリオアート「ナナヒツジ」で和而不同を論じたもの、DOES「KNOW KNOW KNOW」で今を生きる意味を知ったもの、等々が直球作文で印象に残ったあと、強烈だったのが次の2つ。
 先ずは、山形まり花・芽兎めう「ちくわパフェだよ☆CKP」。「何十回も、繰り返し」ちくパを聴く少年は、「五周目くらいで無心にな」り、「脳内がちくパで満たされ」「無力な僕を自覚できな」い「バカになる」。そして『絶対、大丈夫だよ!』の歌詞を聴き「そうか。バカになってもいいんだ。歌が終わってもこの先もずっと」の末尾。これはヲタの恍惚を客観描写して巧かった。続いて、学年主任や演劇部顧問を大笑いさせた女子生徒。「最初にこれは私の好きな歌ではなく印象に残っている歌であるということだけ伝えておく」との一文で始まる作文における選曲は山﨑ハコ「呪い」。「恨んでいるのに呪うことしかできないその人の懦弱さとそれを救うことのできない我々の無力さは現実社会を思わせる」ってのは、例えばSNS批判だったりするんでしょうか。これも巧かった。

 上記秀作はプリントにして生徒に配布するのですが、その時に選ばれた歌の歌詞も配布します。で、もはやオジサンになった私なので知らない曲の方が多くなって来ましてねぇ(10年前はそこまでではなかったんですけれども)。今年の生徒はONE OK ROCKGReeeeNとの曲を取り上げた作文が多かった印象。その点で言えば、未だ最新作が取り上げ続けられているミスチルスピッツの底力は凄いですよね。
 で、一応ネットからコピペした歌詞に誤植がないかをさらっとチェックはするんですけれども、「ちくわパフェ」みたいな初めから日本語が酩酊している歌詞の誤植なんか分かるかい、読んでるだけで脳が溶けそうじゃ、ってなもんで。大体、芽兎めうさんという人は語尾に「めう」って自分の名前をつけてるんですけど、それって私が「今日は寒いたつや~、もう一枚羽織って出かけるたつや~」とか言ってる感覚なんでしょうかシュール過ぎませんかね。

 と、ミドル30代の愚痴愚痴ですけれどもね、やっぱりもう私は若くない。となると、その生みの親であるところの母君だって、もうお若くはないわけでして。22の時の子どもなので、母君はまだ50代とはいえ所謂「アラ還」という世代でいらっしゃるんですね。
 で、その母君が15時にK市にお越し。今日は「S病院」(院長先生はF校の大先輩ですね)で診察を受ける日。診察というか、先日のK大学親玉病院のMRIの結果を受けて、ガンマナイフ治療をどうするかという方針を決めて頂くのですね。
 待合室でお会いした母君は、2度目のS病院(最初は一昨年の12月にガンマナイフ施術)ということもあり落ち着いた様子。最初にお世話になったI先生とのお話では、小脳に再発が1箇所、若しくは2箇所あり、どちらもガンマナイフで治療可能だということでした。

 2泊3日の入院で片がつき、切った貼ったの手術や薬剤治療やなどが不要な上に、退院翌日には職場復帰という流れに、母君は大喜び。母子揃って一頻り「「良かった、良かった」」と喜び合った後、「再発してるのに」「良かったがあるかい」と仲良くノリツッコミ。きっちりと病状が分かって、直して頂けるものだと納得できたのが何より。2度目故の安心感というか、慣れもありますね。
 入院は11日、授業の都合がつくかGW明けに時間割先生と相談しましょう。

 診察の前は、終わったら一緒に夕食か珈琲でも、としんみりお話していたのですが、診察後は一転、直ぐに帰って明日からの仕事を調整しなければ、と大はりきりの小倉帰還です。バスセンターでお見送りしながら、あぁ「日常性の維持」というのは尊いなぁ、としみじみ。
 でもってそっちがその気なら、私だってその気ですよ。明日からは、3月・5月・8月・12月、年に4度の恒例上京旅行、年単位の「日常性の維持」をかまして来ます。初日の夜は56回生ですね。

 さて、夕食をご一緒にと思っていた母君が帰られたので、一人の私は小料理屋「A」へ。本日から一週間、開店一周年記念のパーティー(おつまみと飲み放題2000円の立食)を開催というインビテーションカードを頂いていたので、ふらっと。
 ふらっと立ち寄ったら初日の一番客だったんですけれども、次々に訪れるお客様と場所を譲り合いながら歓談。偶然にも、母君がガンマナイフでお世話になる前述I先生と現場をご一緒した経験があられるという看護師さんペアがお出でになり、母君の治療に折り紙をつけて頂いたのも嬉しいプレゼントでした。