つもりで飲んで いつの間にやら

 朝から吉祥寺のおされバーガーショップで読書なんてかましている私。東大駒場時代は当然井の頭線ユーザーだった訳ですが、実は駒場東大前(大学)と久我山・明大前(サークル会場)と以外では殆ど降りたことがなく、TQCの飲み会は全て渋谷だったために下北沢・吉祥寺が完全未開拓ゾーンという大学生活を送っておりました。吉祥寺駅の改札を潜るのは、多分人生で3回目くらいですね。
 本日は至福のTQC18期。会長ことがっ様、副会長こと私、連盟ことオツカル様、と遠ちゃん……あれ、遠ちゃんって役職何だったっけ? 会計はでっくんだったでしょ。遠ちゃんって役職付きでしたよね? ……とサークル時代のあれやこれやも記憶の彼方になりつつあるようですが、とにかく遠ちゃんを合わせた4人で遊ぼう、と。

 昼食、美術館、カラオケ、飲み会、という流れで遊ぼうと考えておりまして、美術館は今回の上京でマストの萩尾望都SF原画展@吉祥寺美術館。ここを軸に吉祥寺でランチを、と食べログ王子(オツカル様)にヘルプを出したら、即座に返ってきたのが「植木等が愛したピザ屋」で、丁度昭和歌謡モードの頭になってた私が異を唱えるはずもなく。
 吉祥寺駅3分の「TONNY's PIZZA」は、休日の人気店で行列必至とオツカル様の言。前述の通り私は下北沢がほぼ初めてで町並みを知らず、且つスマホの地図アプリを使いこなすなどの芸当は出来ない人間なので、先ずは9時着の駅前散策で、住所を頼りに店の場所をチェック(見つけるのに8分かかりました)。その後、駅近くのバーガーショップで吉本ばななを読みながらアイスコーヒーを飲むという流れ。

 開店11時半ということで、10時50分に店の前に移動。店内でピザの生地作りをしているご主人の様子が店の外からのぞけます。私が一番乗りでしたが、10分もしない内にお次の方がいらっしゃいまして、その後10分の間にがっ様・オツカル様・遠ちゃん……だけでなく後続3組も続々と。人気店!
 並びながら4人で立ち話は、何故これから昼食なのにその話題なんだという「奇食」について色々。遠ちゃんが奇食マニアだそうで、ウーパールーパーだのアヒルの脳みそだのヒヨコだのダイオウグソクムシだのの料理写真をいくつも見せて貰う。げふ。
 1番乗りの割に出てくるまでの時間が他の客よりも随分遅かったのは、4人がバラバラの商品を注文したからでしょうか。30cmサイズのの1/4が1人前で、4人合わせて1枚の形で供されたピザはチーズがたっぷりで確かに美味しそう。ビールの誘惑を退けて水だけで味わったんですけれども、私が頼んだスペシャルミックス(肉とチーズが増量、950円)のチーズのトロットロ感は確かにかつて味わったことのないもので、そらそうだ純粋なアメリカンピザって食べるのは初めてかも知れない。

 駅を通り抜けて吉祥寺美術館、こんなビルの上に美術館があるなんて全然知らなかった、とオツカル様。
 がっ様・オツカル様は本格的な漫画読みだから教養として読んでおられるのは間違いないでしょうが、純粋におモー様のファンなのは私だけでしょうからこれは他の3人を完全に付き合わせた恰好。デビューから最新作まで、有名作品からレアものまで、とにかく萩尾望都のSF作品の全てを網羅したと言っても過言ではない原画展。集まったファン(殆ど女性)、というより信者の鑑賞も熱の入りようが凄まじい。入口のソファにトドみたいにふんぞり返って興味なさを全身でアピールしている遠ちゃんとの落差がハンパないっす。がっ様・オツカル様はそれなりに興味を持って見て下さったようで嬉しい。

 芸術とは何ぞや。物販コーナーで売られていた絵はがき(野菜の版画作品)の上にあった「作品タイトルについて」の注意書き。
 【旧:《白菜》→新:《キャベツ》 当館では、浜口陽三作品のタイトルに関して、『浜口陽三全版画作品集』(三木哲夫編、中央公論美術出版、2000円)の掲載データと統一した表記をして参りましたが、「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション」発行の『浜口陽三の世界』(柏倉康夫、2012年)等の書籍に倣い、本作のタイトルを《キャベツ》と改めました】
 「ジワジワ来るよね」とTQC4人で大笑い。でも、何が「芸術とは何ぞや」って、その絵はがきに描かれている野菜、どうみても白菜にしか見えないんです。

 美術館フロアの下にあるキャラクターグッズ売り場でリラックマの写真撮影会をひやかしてからビルを出て、
 私「吉祥寺って、他に見るべきものはあるの?」
 オ「んとね、年季の入りすぎたバッティングセンター」
 私「廃墟マニアってこと?」
 どんだけボロっちぃかは見てのお楽しみ、というバッセンへは歩いて10分。ドアに挟まれないように気をつけて、というエレベーターのシールが確かに昭和40年代の絵柄だわ、という年季の入ったビル、映画館(一応『コナン』は最新作を上映していました)の屋上がバッセンになってるそうで。先ずは6人乗りのエレベーターに我々4人が乗り込む。
 ところへ大学生くらいの女子2人(軽量級)がコナン目当てに走って来て、我々の後に乗り込む……と重量オーバーのブザーが鳴るわけなんですね。4+2が6じゃないのか。私は被服66㎏で多分1㎏くらいしか責任はなく、この責任は遠ちゃん・オツカル様・がっ様が1/3ずつ。ちょっと痩せた方がいいかな。
 屋上バッティングセンターは、オツカル様が「客が3組も居るのは初めて見た」と仰ったほどくたびれ果てていたのですが、よく考えたら私生まれてから一度もバッティングセンターに入ったことが無かったから、これが「相対的には」古いのかどうかを知る術を持たないんでした。その辺に無造作に置かれた『Dr.スランプ』のコミックスがJC初版だったのが年代を表してます。

 ビルから駅に戻る途中の古本屋、入口から講談社教養文庫が50冊くらい並んでいるパートが見えたので、3人に「1分待って」とお願いして飛び込む。著者名だけ流し見して、森銑三長谷川如是閑森有正の3冊を購入。出て行ったら「異様に速い」と驚かれたのですが、あれば買うという本のリストが頭の中にあるんだから当然ですね。

 井の頭線で吉祥寺から渋谷の両端移動、最中には「盂蘭盆会」の話やら大江千里なぎら健壱化の話やらで盛り上がり(まぁ、どっちも「ポンキッキ」シンガーですしね)。オツカル様と二人だったら絶対にカラオケになって、今日の日記がその曲目リストで相当長くなるんですけれども、本日はメンバーがピッタリ4人ということで麻雀をすることに。渋谷井の頭線からちょっと歩いた所に「ZOO」の禁煙店があるのを選択、TQCは喫煙者が少ない(でもって酒飲みの多い)サークルでしたけれども、その中でも我々18期って一人も居ない代だったんです(素晴らしい)。
 飲む前の健康麻雀だから、中学生か団塊の世代かぐらいしか言わないようなクソみたいな駄洒落が出ることも殆ど無く、4人とも粛々ととしか言いようのない打ち回しで、全員が1勝ずつするという良い感じの終わり方でタイムアップ。

 神泉までは徒歩で10分、熊本料理のバル「うせがたん」で、オツカル様の故郷の復興応援を兼ねて宴会を。店の窓ガラスには大きく「がまだせ! 熊本!」のメッセージが貼り出されていました。馬刺しや赤牛など熊本産の肉料理や、辛子蓮根太平燕などの名物を味わいながら、熊本の日本酒・焼酎をひたすら。このメンバーだとこれまでついぞこういう台詞は出て来なかったんですが、教職に就いて高3を3度送り出した中年がちょっとした感慨で「ってか、僕らって初対面までの人生と同じ長さの年月を一緒に」と口走ってしまい、遠ちゃん・がっ様から即座に「そういうことを言いだしたら終わり」と叱られてしまいました。オツカル様・遠ちゃん(←ウィスキー派)はそこまで飲んでなかったけど、私とがっ様は日本酒がすいっすい進む人種で、鯨飲馬食の結果が一人8通し(32000円会計)。流石、おされ神泉。

 その後、再びさっきと同じ「ZOO」に繰り出して終電まで麻雀をやって、ホテルに戻る。2度目の方はガソリンが入ってるから打ち回しはやや崩れるし、中学生か団塊の世代かぐらいしか言わないようなクソみたいな駄洒落(具体例自粛)がちょいちょい顔を出しまして。
 時は少し遡り4月、場所は随分西へ移って福岡県はK市F高校。廊下を歩いておりますと、目の前を歩いている我がA組の生徒某くんが隣の人と話してる中で「そんなバナナ」というフレーズを口に出してお先生の逆鱗に触れる。「あのね、今後一切『そんなバナナ』禁止。そういう糞血痰駄洒落で自らトークスキルやコミュ力やを下げてはいけません。この職場に入ってそれ聞くの3回目なんだけど、1回目は中3生徒で2回目は職場の大先輩で3回目がユー。全員殴ろうかと思った」
 閑話休題で再びの雀荘。酔っ払って打ってるとね、がっ様「うわ~、オレ、池ノ都に倍直やないとトップにならんのかぁ」 私「いしいひさいち『倍直ん』」とかいう糞血痰駄洒落が出て来たりするんですよ(具体例自粛出来ず)。

 山手線の終電では最後に遠ちゃんと2人になったんですけど、「一人8000円ってなった時にあの方(←オツカル様)が激怒するんじゃないかってちょっと心配した」と。大学時代だったらそうかも知れませんね。無職王子には2人っきりだったらなんぼでも奢るんですけど、4人だとそうもいかないですので。
 ホテル帰還、健康睡眠。