つっぱりミネラルウォーター 俺のことか

 朝のホテル大浴場で体重計に乗ったら、旅行出発前よりもちょうど1㎏増えていました。3日連続で昼食&二次会なんて生活を送ってるんですからまぁそうなります。本日が最後の東京泊ですが、予定はお昼に63回生我らが文系A組とカレー、夜に64回生Tくんの成人祝いは大塚(後から56回生Mくんが合流)。ゆったりとお風呂につかってからホテルを出発。

 先ずはカレーの激戦区である神保町に移動。ドトールカプチーノを飲みながら、「男く祭」の食品バザー用に5合釜を3台貸して下さった保健室ベテラン先生にお礼状、7月のK市地区保護者会に無理矢理臨席させていただきご講演(法話)を伺う国語科恩師先生にご挨拶状、の書き物2件。それを投函したら、63回生と落ち合って今日の昼食は「ボンディ」です。

 63回生の我らが文系A組出身東大生、B&Mくんと合流して「ボンディ」の行列に並び、入店の時刻に遅れてEくんが到着。Eくんが来るころに入店できるように計算していたんですけれども、大体そうなりましたね。
 Twitterで上京時に遊んでくれる人を募集したら、Eくんから「美味しいカレーが食べたい」とリクエスト、どんなカレーかを訊ねたら牛肉がトロットロの欧風カレーということで、ここ。4人のうち、大盛りにしたのはEくんだけで(こいつがよく食うんだこれが)、残りの3人は普通サイズ。私も、5年前なら絶対に大盛りにしたところですが。
 因みに、言いだしっぺのEくんが一番遅かったのは大学の2限に出席するから。今日は黄金週間と土日との狭間にある金曜日、順調に東大2年生的怠学道を進んでおられるB&Mくんは「こんな日に」「講義に出るなんて」と驚いておられる様子です。んとに、高校生の時はこんなじゃなかったのに、と元担任苦笑。そうそう、元担任はMくんの妹君の担任を今年度勤めることになりまして、「ご兄妹揃ってこんなが担任なんて本当に申し訳ございません。お母様には学年理事まで引き受けていただきまして」と謝罪&御礼。

 1ヶ月に1回レベルで会っている遠距離恋愛状態のEくん、前回風邪引きとは思えない食欲を「美登利寿司」で見せた彼は、今日も絶好調で何と2軒目の喫茶店「ラドリオ」でナポリタンを注文しやがった。日本で初めてウィンナーコーヒーを出した店として知られるこの店で、私はコーヒーゼリー、B&Mくんはウインナーコーヒー。
 さて、学生3人は文系から東大ですから割と物知りなんだと思うんですけど、今日はウインナーコーヒーの語源を誰も知らないことを知って驚き。寺田寅彦知らなかったのもそうですけど、「何でそんなこと知ってるの?」「何でそれを聞いたことがないの?」というのの分布が全然読めない方々です。

 祝20歳のEくんが「こんな20歳になるとは思わんかった~。もっとちゃんとした大人になってると思ってた~」と、隣に居る元担任に対する当て付けとしか思えない慨嘆。
 こちとら東大卒36歳同士、人生で2番目に大切なお友達と会うたびに「職業は?」「旅人」「それは職業やなくてジョブや!」とか「職業は?」「すっぴん」「ラーメンかっ!」とか「職業は?」「玉ねぎ剣士」「見てるだけで泣けるわ!」とか言ってるんですよ?
 あんだけ食っといてさらにコーヒーゼリーまで注文しやがったEくんは、多分文系就職でしっかりお金を稼げる企業に入ると思います。その意味で、元担任よりは「ちゃんとした大人」になるであろうと推察。そんときゃ出世払いでこっちが奢ってもらうからな……とは思うんですけど、あの食欲分の支払いを取り返すだけの飲み食いは私には出来そうにないなぁ、などと。

 地下鉄で渋谷に移動、教え子3人とお別れして、文化村の国芳・国貞展へ。TwitterのTLに現れるまっぴぃやアラリン、真ちゃん哲ちゃんの呟きに徐々に調教されていったのか、30を大きく過ぎて漸く私にも「文化」に対する興味が少しだけ出てきたんですね。とまぁ、「妖怪画」がないんだったらこの展覧会にも来ていなかったかも知れませんが。
 「髑髏彫物伊達男(スカル&タトゥー・クールガイ)」等、解説の振り仮名センスは松岡正剛的な(?)過剰(ケレン)が過ぎているように思われましたが、展示は良かった。展示を2周、1度目は自分のペースでゆっくり、2度目は音声ガイド(中村七之助)を借りてそのペースに合わせて。美術の展覧会で音声ガイドを借りるのは初めてでしたが、内容が練られていたことを認めた上でこれは鑑賞には要らない物なのだと。家に帰って図録を観ながらだったら良いかも知れません。
 図録は買わず、絵葉書を何枚か購入。一部は、この後お会いするTくんに、『役人学三則』の文庫と一緒にお渡しします。

 64回生の高1では漢文の授業を担当しました。この時私は63回生の高2で文系A組の担任をしており、これまでの(長いとも短いとも言えない)教員人生で最も楽しい(楽ではなかったですが)2年間を過ごしている最中。もともと64回生は中1で古文を担当して「こんなに性質(性格)の良い学年はかつてなかった」と担任団の英数先生に話していた学年でしたので、3年ぶりの高1授業も機嫌よく気分よく。
 担任団ではなかったので個々の生徒と個人的なお話をすることは殆どありませんでしたが、「この人がどうなるか」が気になる生徒はやはり数人はおりまして。とある理由で、外進高1A組の入学初日(入学式の日)からブックマークしていたのが本日の夜をご一緒するTくん。
 こういう勘は外さないんですけど、高1の半ば頃に廊下で立ち話したら、案の定文系に行って官僚になりたい、と。才は理系で興味は文系、と言ったところですがこういう人は絶対に文系に行かないといけないというのが私の価値観なので、あの立ち話の日に追跡調査を決めた次第。
 ご家族が理系への矯正をはかる(「性善」を人為で歪める)ことをなさらなかったのも素晴らしい、果たして文系に進んだTくんは、そのまますんなりと文一に合格して。2月に56回生の警察官僚Mくんが母校を(進路講座で)訪問なさった時に顔合わせをさせていたこともあり、大学ではMくんが代表を務めていた政策系のサークルに入られたそうです。人脈大切。

 「でね、君の入ったそのサークル、56回生の文化委員長だったKくんってのも入ってたんだけど、彼曰く『政治的意識の高いヤリサー』なんだって。気をつけてね」
 おされ居酒屋で日本酒を干しながらする会話じゃないですけれども、そんなこんなで本日はTくんの20歳の誕生日を寿ぐ宴席。高校在学中から約束してたお祝いの会場は、「僕はあっさりしたものが好きです」というお言葉から大塚の「ぐいのみ大」と即決。Tくんの大学生活の話や、F校時代のお話などを楽しみつつ。外進A組出身のTくん曰く「池ノ都先生が高1Aの担任をするってのはどうなんでしょうか」と。わしもそう思う。
 大塚は2次会の候補も豊富な居酒屋激戦区、前述の56回生Mくんもお呼び出しして二軒目は「串駒房」です。人脈大切。