人からコロッケだけは見ておけって言われて(笑)。

 朝食後に実家を出て、新幹線でK市に戻ります。母の日の贈り物がガンマナイフ承諾書の連帯保証人サイン、というのはぞっとしない話ではありますが、とにかく次に母君にお会いするのは水曜からの2泊3日、K市内のS病院。それに合わせた仕事の前倒しが必要なので、本日は午後から職員室でひたっすらデスクワーク三昧(授業準備・特講準備・学級通信作成など)です。
 授業準備はA組が山崎正和「水の東西」、B~E組は長田弘「レオーノフの帽子屋」。後者は京大11年度現代文の教科書輸入。同じく京大入試出典となった鈴木忠志「過疎村のこと」を高1現代文の最初に(全クラス共通で)行いましたが、この鈴木忠志長田弘とが同じことを言っている、と気づくかどうかが現代文的知性のバロメーター。A組も、第1回定期前に長田弘の文章は扱いますので、現代文の試験はA組・B~E組で別問題ながら、鈴木忠志長田弘の2文章については共通問題を出題します。日常性の維持は、なぜ偉大なのか。

 夜は、Hさんと「もりき」とにお土産をお渡しし、即ちこれにて旅行終了とありなりますので、以下、旅行中に読んだ本を列挙。この日記では、「読書感想文」は書きません。書くのは「読書印象文」です。

 おおたとしまさ『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』読了、★★★★。共学化が進むF校は「例えば桜蔭のような学校から女子の受験教育を学ぶべき」と本当に仰有る先生がいて耳を疑ったんですけれども、F校は塾に外注せずに自前で東大等の合格者を育てようとしている学校なので、他の学校に学ぶにしても塾頼みの学校ではいけないんじゃない? と思ったり。因みに、私のクラスに桜蔭中学校卒業後にご家族の都合で引っ越しされF校に入学してきた女子がいるんですけれども、彼女曰く「中学から鉄緑会に通われている方々(←本当に敬語を使って話しました)は、ちょっと次元が違うと思います」と。
 林真理子内田樹『教えて! 校長先生 「才色兼備」が育つ神戸女学院の教え』読了、★★★。開成・灘の校長先生方が御著書の中で決して「鉄緑会」やら「サピックス」やらに触れられない(それぞれの学校が受験教育だけではない、という言い方はされるものの)のと対照的に、通塾の状況についても正直に語られているのが印象的。著者は、有名小説家と同姓同名の「中等部・高等学部部長」でいらっしゃる方です。
 吉本ばなな『イヤシノウタ』読了、★★★★。短いエッセイの集まり。ユーミンを取り上げて作品が「白日夢」というのが渋いですね。
 伊藤龍平『ネットロア ウェブ時代の「ハナシ」の伝承』読了、★★★★。書店人文コーナーの面陳列で表紙だけ印象に留めておいた本を、まっぴぃに薦められて購入、したのですが買って数日間、これが『江戸幻獣博物誌』と同じ著者の本だとは気づきませんでした。振れ幅大きいな。「くねくね」も「八尺様」も「南極のニンゲン」も知らなかったのですが、ネタを知らずとも頷けるところの多い抽象力は流石。序でに、この本のおかげで、『探偵! ナイトスクープ』の「謎のビニールひも」の回がネットに転がっていることを知りました。放送は都市伝説で語られている程恐ろしいものではなかったし、既に番組内で上岡龍太郎がいくつかの解釈を挙げていたんですね。
 井上俊・永井良和『今どきコトバ事情 現代社会学単語帳』読了、★★★。これは完全に仕事用読書。1語解説に4ページ(B4プリント1枚分)、玉石混淆のカタログ本ですが、こういうのは買っておけば必ず資料に使えます。普通は目次だけ覚えておき適宜引っ張り出すのですが、旅行の暇に通読。真っ先に目につくのは16年センターの筆者・土井隆義の名前でしょうか(ほら、センター授業の資料が1枚完成)。
 山田怜司『年上の義務』読了、★★★。印象は先日の日記に書いた通り。因みに、第7章「イノベーション幻想の終わり」は、24ページがそのまま「レオーノフの帽子屋」の資料に使えるなぁ、などと。
 スージー鈴木『1979年の歌謡曲』読了、★★★★。タイトルだけで「買い」ですね。個人的な楽曲の好き嫌いで言えば、私は「1978年派」なんですけれども(渡辺真知子中島みゆき八神純子)、確かに(サザンがデビューをして、ピンク・レディーが年間シングルチャートトップ3を独占して、キャンディーズが解散して、堀内孝雄の「君のひとみは10000ボルト」がCMと一緒に大ヒットした)78年はまだ前座で、見る・語るべきは79年だという筆者の見識に完全に同意。この2年間、(「かんらん車」や「DESTINY」や「水の影」等々のど級の名曲を生み出しながら)ユーミンが完全な潜伏期間を送っていたってのもツボですね。
 ナンシー関『超高校級』読了、★★★★。ファンなので、読んでない本があったら買う。三宅裕司の「レディース・アンド・ジェントルめんたつ」なんて良い具合に発酵したネタを今更字面で読まされたらそら笑いが止まらなくなるに決まってる。そしてその勢いで三宅裕司をウィキったら、彼が前島密の子孫であるとか、幼時にいわさきちひろの母乳を飲んで育ったとか、出るわ出るわ。あと、大空真弓がモノマネ上手というプティ情報にも笑わされる(大昔から中村玉緒の笑い声なんてやってたらしいですよ)。
 似鳥鶏『レジまでの推理 本屋さんの名探偵』読了、★★★。本屋さんの名探偵、最近多いですね。やっぱり出版不況(本屋の危機)というのは深刻なのでしょう。
 弓きいろ『図書館戦争 別冊編(2)』読了、★★★★。手塚さんと柴崎さんとの恋愛成就を楽しみに待っている私。
 西原理恵子『毎週かあさん3 サイバラくろにくる2012-2016』読了、★★★。