満室! Tonight そこかしこ満室!

 健康起床。入浴後に着替えてホテルを出発、先ずは池袋にあるお気に入りのネカフェで数日分の日記を更新。一度大塚のホテルに戻って休憩、北口にある「北大塚ラーメン」で昼食。明日からお盆休みだという人気店に一番乗り、前回訪問時の胃もたれを反省して大盛りは回避しました(隣のお客さんがサービスのライスを注文していてそれがとても美味しそうだったのですが、私は胃が拒否したので注文せず)。大量のチャーシューの脂部分を全て残したこともあり、今日はスッキリと美味しくいただけました(スープの中に大量の脂身だけが浮かんで、食べ終わった後の丼は下品だったけれど)。

 大塚から神保町に出て、馴染みの書店4、5軒を回って文庫本漁り。生徒プレゼント用の「いつもの」筆者のものもたくさん(長谷川如是閑・堀秀彦・山本夏彦・なだいなだ・石川淳林達夫……)。

 神保町から荏原中延へ移動し、聖地「隣町珈琲」にて読書。正に地元の商店街、の外れにひっそりと小さな喫茶店。店に入って直ぐの右手には「日本で一番小さな書店」があります。個人的な読書で、或いは授業での参考資料でお世話になったあの本やこの本がずらり。私は、棚が正面に見える入口左手のテーブルで、1杯目はアイスカフェオレ、2杯目はブレンドを注文。
 入店時は私一人でしたが、その後に何組かお客様。テーブルにつくなりスケッチブックを広げた年若い女性は常連の様子、男性店員との話の内容から漫画家だということが分かります(「イブニング」や「アフタヌーン」等に作品が掲載されたとか)。暑い暑いと言いながら入ってきた老嬢もまた常連のようで、注文は「いつもの……の前に、今日はレモンスカッシュを頂戴」と。作業服2人と背広1人で入ってきた一見さんたちは、商店街の色々な場所で行われている工事関係者の様子で、アイスコーヒーを飲みながら仕事の打ち合わせ。絵に描いたような喫茶店です。

 荏原中延から池袋、5泊6日の上京旅行最後のお独り様イベントは、サンシャインシティで「水木しげる展」です。
 嘗て内田樹先生と「男く祭」講演前日のお食事会でお話しした時、先生が「越境・他者・言語」(『ためらいの倫理学』所収)で書かれた「絶対的他者」との応答は、水木翁の妖怪図鑑に出てくる非在の妖怪との想像的対話で学んだという3歳の頃の昔話をして珍しがられました。「鬼太郎妖怪クリスマス」の歌詞一節、「あるある ないけどある」の身分け如何が人間らしさの尺度だと思っているということを(お酒の勢いで生意気にも)話して、「その通りです」という有難い一言を頂戴したんですね。
 だから、今回の「体感妖怪アドベンチャー GeGeGe 水木しげるの大妖界」は私にはイマイチ。立体化してまで妖怪を「あらしめ」なくても良いんです。そんなことしなくても、「ある」んですから。

 ただね。
 企画が面白いかどうかというのと、そこで登場する妖怪が好きかどうかというのとはまた別問題なわけですよ。キジムナーだとかすねこすりだとか見せられてさ、萌えないわけないじゃないですか。こんなん2匹並べられたら「あへぇ」「らめぇ」ってなるに決もうとるやないですか。かわいいは正義
 「~展」的なやつで初めてTシャツを購入してしまいました。鬼太郎ファミリーとキジムナーたち。最高。

 大塚のホテルに戻ってシャワーで汗を流し、早速さっき買ったばかりのキジムナーTシャツに着替えて出発。本旅行最終日の飲み会、お相手は55回生Tくんで、場所はミシュラン店の「みや穂」です(お料理がとっても美味しかったので、一発で屋号暗記)。
 3800円のおつまみコースというのを事前に予約して入店。最初の無農薬サラダ(山盛り!)に使われている野菜、珍しくて名前が分からないものが多かったんですけれども、一つ一つシャッキシャキだしドレッシングは美味しいし、これだけでカウンター2人のテンションは爆上がりです。
 私はしばらくビールだったんですけれども、Tくんは2杯目早々から日本酒。普段は痛風を気にしてビール日本酒は飲まないようにしてる……って、28歳でそれはどうなのよ(流石、かつては「静かなる激飲み」を称した文系人)。で、このお店は日本酒の銘柄の豊富さも料理と並ぶ売りの一つで、Tくんは先ず炭酸系を狙って「風の森」を。キャップを覆うように貼られていたシールには「しぼり華」の文字でもちろんこれは「あらばしり」の「風の森」的表現。なんですが、マスター(料理・お酒の選定をお一人で担当)が「酒米の名前です」と説明したのでちょっと困ってしまいました(酒米はラベルに書かれている通り雄町ですが、別段訂正せず何となく受け流しました)。
 という一点だけはシコリだったんですけど、そんなのどうでも良いくらいに料理が美味しいんですよ。メインのカツオのレアカツ、それから追加注文したうに飯を食べた時なんて、Tくんったら私の肩をバンバン叩いて喜んでやんの。無邪気か。私も、普段「もりき」で飲めないお酒を中心に、長崎「福田」、群馬「龍神」、東京「家守」等々。
 代金を支払って退店する時、マスターが私たちに「さっきの『しぼり華』は酒米ではなくて酒の搾り方でした。申し訳ありません」と。これでシコリも取れたから、これは再訪再々訪必至じゃんかよ、と。

 2軒目は大塚から池袋へ移動、Tくんたっての希望で「知音食堂」……に入ろうと思ったらまさかの満員御礼で断念。仕方なく、次善の策は韓国料理「韓二郎」。絶品レバーの炒め物などを肴に再びビール。
 入店1時間後、「知音」だったら激辛の陳麻婆豆腐を注文したはずだからという理由で「激辛」とメニューにあったタッカルビを注文。店員さんに「大丈夫ですか?」と念を押されて余裕っすよ、と返した10分後に撃沈される。なんだこれ舌喉やべぇ。

 私「『知音』の麻婆豆腐が大丈夫で」
 T「どうしてカルビだと駄目だったのか」
 と、理由が全く分からないまま敗走の池袋駅構内で、突然「先生!」と声をかけられる。振り返りましたら、おっと副委員長氏じゃないですか。
 一部F校(卒業)生の憧れ、アイドルグループ「N」の副委員長氏は高1~高3の間私が国語(高1古文、高2・高3現代文)を担当した教え子でして。彼女、この9月でグループを「卒業」して、医師を目指して受験勉強を始めるという話。当時の担任だったベテラン体育先生には、グループ入りする前から2年間だけはアイドルを駆け抜けると宣言していたそうで、有言実行は大変立派だと二人で感心したものです。
 私「2年間頑張った後の受験復帰、有言実行だと担任先生が感心しきりでした」
 副「先生(←私)のセンター試験のプリント、まだ使ってます」
 私「光栄です。どうか頑張ってください」

 「こんな偶然ってあるんですね~」と驚くことしきりのTくんとお別れして大塚ホテル、あんだけ辛い物にぶちくらされたのに、舌がまだあのレアカツとうに飯との味を覚えてるんですから。幸せに健康入眠。