夜と霧

 施川ユウキ『ヨルとネル』読了、★★★★★。大傑作『オンノジ』と表裏の作品、ギャグは上質ながら冒頭から色濃く漂う「死」のイメージが不穏な伏線。ラストシーンはそれでも前に進む希望だと受け取りたいですね。傑作。
 直前に霜山徳爾の随想を読了してから開いた影響でしょうか、最初から最後まで一貫して「死」の影をリアルに感じたのですがが、作者あとがきで最初のタイトル候補が『ヨルとキリ』だったと知り偶然に驚きました。「すべてをなし終えたら、臨終の床に神の声をきくだろう。『来よ、わが友よ、われなんじを見捨てじ』」の詩句が響きます(霜山徳爾『共に生き、共に苦しむ』に引かれた南ドイツの詩より)。

 天神ホテルで健康起床、朝の西鉄電車でK市に戻りそのまま出勤。授業無しなので仕事は書き物のみ。
 放課後の某寮生面談で、気分転換だというアニメは自宅で撮りだめして週末の帰省で観るの? ……と訊ねて、何を愚かな質問をしてるんだ私は、とその場で気付いて落ち込む。今じゃスマホで観たい放題の時代なんですね。っつーこたあれだ、高校47回生の寮生時代、「アメリカ横断ウルトラクイズ」の復活版を録画ではなく自宅のTVでその日に観たくてそれなら風邪引いて自宅療養に持ち込めば良いのだという結論に至った結果、1時間超の風呂とパン一でのベランダ待機でしっかり大風邪引いて家に帰れたはいいけど、熱が高すぎて肝心の番組観るときも意識が朦朧としてた、あの徒労みたいなことを今の子はしなくて良いのか。夢の時代だわ。

 昨夜あれだけばかんこつ飲んでも、取りあえず夜になったら飲むというのが「日常性の維持」。
 「もりき」で湯豆腐、瓶ビールから日本酒は「雪の茅舎」「雅山流」。