女だてらに狐のように アン・ドゥ・トロア

 5時入りで授業準備、高1B~E組で現代文の授業でしたが、今日は先週行った(3.5回という疑似的)定期テストの返却とセンター演習なので教員の身体自体は楽。その授業中、隣接クラスで授業を行う先生方の声が聞こえてくるのですが、今日は例えば右隣で保健体育先生が避妊について語られ、左隣で家庭科先生が育児について語っておられるように、左右両方と孤絶した中道一直線36歳がこの世に生を受けた価値についてしみじみと感じずにはいられない気持ちになりました。「だって、子どものいない社会なんて考えられないでしょう?」「育児は育自でもあるの!」って。

 放課後8限は高3漢文理系特講。この添削は明日に回して、夜は自宅徒歩2分の焼き鳥屋、21時には就寝の健康な毎日……。
 の、つもりなんですけれども、今日、学校で(担当学年の高1ではない)高校生男子とすれ違いざま、突然「先生、お酒飲みすぎじゃないですか?」と聞かれてしまいました。このブログをお読みになった感想でらっしゃるのでしょうか。取りあえずいつもの通りに「あれは成りすましですから」とお答え。

 鴨下信一『昭和のことば』読了、★★★★★。平成が駆逐した「昭和のことば」の機微を丹念に掘り起こすコラム。言葉が消えれば、それが表す所作が消え、その所作が喚起する細やかな感情が消える。要は文化が蒸発し、人間が痩せる。このコラムも結局は再発掘ではなく哀悼と読まれて終わる(としか残念ながら思えない)のは避けがたいのでしょうか。