読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

子供は空に憧れ 彼女は混乱してる 女ごころ

 「ユリイカ」の臨時増刊号は矢野顕子さんの総特集でした。読了、★★★★。松任ユーミンの発言「自分はもう評論家に論評できる領域には居ない(大意)」は勿論アッコちゃんにも当てはまり、この本の論評も苦しいものが幾つかではっきり言って玉石混淆、その中でも素直に愛を告白した文章ほど玉に近づくのはやはり「愛がなくちゃね」ということなんでしょうか。何れにせよ力作ではあり、かつ貴重でもある特集です。但し、松任谷由「美」の誤字が全編に渡り続く論文が無校正だったり、歴代アルバムレビューの紹介欄に収録曲名が一切無いなど、本の作り自体は音楽界への「愛がたりない」のではないでしょうか。
 井出孫六『抵抗の新聞人 桐生悠々』読了、★★★★★。恰好いいっ! 月並みですが、「蟋蟀は嵐の縁に鳴き止まず」の魂は、2017年の今思い出されるべき。

 そういえば、昨日、出張(浪人生激励会)のついでに15分ほどジュンク堂に寄る時間があったのですが、店内で殆ど立ち止まることなくマラソンランナーの給水所通過みたいなやり方で手に取った3冊が、田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(漫画)、栗原類発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』(エッセイ)、こだま『夫のちんぽが入らない』(私小説)というセットになっていて、これらはどれも学校関係者(教員・生徒)のメンタルがどのようにかなってしまう本(←まとめ方乱暴)、職業病というのか因果というのかしみじみとさせられますね。

 さて、私が職務の中で最も好きな仕事は何か、と言われればそれは、高3現代文の授業特講添削ではなく(これは2番目)、校内模試の作成でもなく(これは3番目)、時間割パズルでもなく(これは4番目)、クラス担任業務でもなく(これはもっとず~っと下)、もうダントツで入試業務(作成・会議・監督・採点)なんですね。作って楽しい、問題検討会議して楽しい、入試期間に全教員一丸で採点その他業務に打ち込むのも楽しい、そんでもって打ち上げも楽しい。その上で(客観的に考えたら安いと思いますが)入試業務手当まで貰えるってんですからもう最高じゃないです?
 明日(21日)がF校の中学入試、明後日(22日)が高校入試、その後2日間(23・24日)が入試業務、更にその翌日(25日)は日曜出勤の分の代休。入試業務に遮二無二打ち込んだら、24日からの打ち上げは1泊2日で広島旅行。あぁ、今年も非の打ちどころがない。

 思えば1年前、まさかまさか自分が翌年度の高1A担任になるなんて思いもしていなかった(から気楽なもんだった)あの日、よりにもよって高校入試の当日が県内市内道路鉄道大混乱の豪雪で西鉄に頼み込んで臨時バスを出してもらうわ受験開始時刻を遅らせるわという開闢以来の椿事出来で職員一同上を下だったあの日、繰り返しますがまさかまさか自分が翌年度の高1A担任になるなんて思いもしていなかった私はその大混乱の中ほぼ全ての受験生が根性でF校に辿り着き平常心で(なのかは知りませんが少なくとも外から見る限りは何事もなかったかのように)試験に臨んでいたのに「ほうほう偉いもんだねぇ」と感心してたんですよ……但し、完全に「他人事」として!

 我らがA組帰りのSHRにて。
 「……というわけで、私は去年の皆さんの受験態度を見てその冷静さとど根性とに感心していた訳ですよ。ところが蓋を開けてみたらどっこい、入ってきた人間が内進生より勉強しないってどういうことよ話が違うやないかと」
 この程度の泣き言は、お生徒さんたち51名、聞き慣れてるからすましたもんです。
 「あのですねいいですか、明日から皆さんは5日間の入試や……じゃない、F校入試期間に伴う自宅学習に入ります。勉強してくださいよ、ほんとに。勉強してね、勉強が勉強で勉強を勉強するのっ! じゃあ解散! 号令!」
 休み憩い遊びだらける気が満々で既にしていつもより顔が3歳程度幼くなってる51人にそんな訳の分からん命令が届くはずもなく、大体担任が「入試休み」って言いかけてるじゃないかと。本当にね、63回生文系A組もこの67回生高1A組も、他の誰でも良いから担任が私でさえなければもう少しは勉強する人間になったと思うわけですよ。タラレバは言っても詮無い話ですけれども、これ、一生を左右するレベルで大きな違いなんですよ。

 思えば4年前。まさかまさか自分が3年後に高1A担任として学年団に加わるなんてこれっぽっちも思っていなかった私と、これから6年間学年主任としてこの学年(中学45回生→高校67回生)を牽引することになる地理先生との会話。
 私「しゅ・に・ん・せ・ん・せっ!」
 地「うっせぇ、こっちはど緊張してるんだぞ。他人事だと思って!」
 私「何をおっしゃいます、F校初の中学共学学年の主任、もう大抜擢大出世先生じゃないと出来ないっ!」
 地「あ~、これからどうなるっちゃろぅ」
 私「あのね、先生に一つ予言というか呪いというか」
 地「呪うなよ」
 私「中学女子が入るでしょ、3年後に高校女子が入るでしょ、でもって高2で彼女たちがクラス替えで混ざるでしょ? その時にねぇ、絶対キャットファイトが起こる」
 地「え~? あ~、あるかも」
 私「内進組が『そんなのF校じゃありえないんだけど~』って攻撃したら、外進組が『ぷっ、視野狭~い』とか言い返すの。で、それを調整するのが主任」
 地「お前悪魔か」
 私「い~っひっひっひっひっひっ」
 ……と、悪魔が投げたブーメランが3年後に自分の眉間にスコーン! って。或いはフリーザ気円斬みたいにザンッ! って。

 とまぁ、ブーメランと気円斬の傷は浅くないですけれども、幸いなことに内進女子は穏やかで優しそうな人が多いし、A組女子はそれより五月蠅いけど人間的にヤな人はいないし、混ざっても大丈夫じゃないかなぁ、という思いも。ただ、A組女子はもちょっと勉強してほしいけど、勉強勉強勉強。
 ……入試の話があれよあれよとあらぬ方向に。これは、ベッドに入るのが早くて色々考え事をしたせいですね。本日は授業が3限で終了、生徒下校後に入試用の教室整備をした後は、16時前に帰宅して19時には就寝、9時間超の寝だめをするのですから。