気さくが世を斬る

 母君からは(お見舞いには来ずに)一日ゆっくりしていなさいと命じられたにも関わらず、日曜の朝5時過ぎに学校に入って全力デスクワーク。
 誰もいない職員室で学級通信を作って、授業準備をやって、9時にアポイントをとっていたクイズ研究部勢との部誌印刷作業が奇跡的に1時間で終わった!

 ということで、10時22分西鉄K駅発の特急に滑り込めました。体調は95%で若干のエヘン虫。ですが心は逸るばかりで52分天神着。
 本日はオツカル様と終日天神デート。これと天秤に掛けてこないだの矢野顕子上原ひろみを(チケット代高かったのに)諦めたんだい! ってなもんです。

 本日のデートコース。
 ①昼食はラーメン「一風堂
 ②オツカル様ご推薦の地下アイドルイベント
 ③二手に分かれてオツカル様はアイドルとのオフ会、私は新居昭乃さんのライブ
 ④再合流後は私推薦の焼き鳥屋「月空」
 ……なんなんでしょう、この不即不離、カップルの距離感として最高じゃないです?

 さて、本日の地下アイドルイベントは、『絵恋ちゃん×里咲りさツーマン 博多編! ~スペシャルゲスト 宍戸留美さん~』@「書斎りーぶる2階」というもの。私は、里咲さんのライブは昨年末に東京で観た(チェキも撮った)のですが、残るお二人は観たことがありません(絵恋ちゃんさんは名前も知らないし、宍戸さんは「あの作品」の声優さんだよね? レベル)。
 会場の「書斎りーぶる2階」というのが、要するに雑居ビルの会議室だというところから(2階ですけど)地下っぽい。オツカル様に連れられて会場前に着いたら、既にベテランのファンの方々がお出でになっておりオツカル様と「毎度」のご挨拶なぞしておられる様、成る程追っかけはオンラインでもオフラインでもしょっちゅうの接点、最早同志なわけですね(なんぞという理解がまだまだ「甘い」ものだということを、これから一ヶ月かけて池ノ都は知ることになります)。でもって、入口の張り紙だか演者のTwitter事前告知だかが間違っていたということで開場時刻が直前になって15分単位で変わる、それを演者がTwitterで告知謝罪をする、とファンが即座にリツイートする、というアットホームなバタバタ感も「地下っぽい!」
 開場前のちょっとした空き時間で、私は近くの「滝川パン」(コロッケ監修のパン屋)でシュークリームを買い、オツカル様たち絵恋ちゃんさんファンは1階「書店りーぶる」で雑誌「ゼクシィ」を買い占めたそうです。

 列に並んで「ほんまもんの会議室やないかステージって殆ど教壇の大きさやないか」と驚きの会場に入って、もぎりのオジサンが掟ポルシェロマンポルシェ)だったのに早速笑わされる。事前の調査(wikiレベル)で「書斎りーぶる」が掟さんの奥様の実家だということも分かってはいましたし、掟さんが熱狂的な宍戸留美ファンだというのも……って、もぎりの隣で1ドリンクの缶ビールを手渡してくれたのが宍戸留美さんご本人でまた笑わされる。
 掟「小銭が少なくなっております」
 宍戸「誰か両替をして下さる方~」
 掟「こちら雑居ビルですので、ジャンプ・サーフは禁止となっております」
 ……いや~、何だかシュール(←便利なフレーズ)だなぁ、と明日も授業の先生は12時の客席ビールで絶賛喉潰し。客席は60程度の椅子が満席になって既に立ち見、そこにのっそり現れたアル中風の太っちょオジサン……がロマン優光だったのに三度目の笑い。

 オツカル様は最前の席、私は離れた後方の席に座ったのですが、第1部の里咲さんワンマンはまさかの会場後方でストリートライブっぽくアコギ1本(床に直座り)という展開、結局私が最前で観ることになってしまい。「大人なんか信じない」というそれっぽいキャラを演じながら代表曲を弾き語り……オツカル様は里咲さんを推しまくってるんですけれども(私もCDを貰ったんですけれども)、どうもこのアコースティックな「良い曲」という彼女の世界観に私はあんまり興味を引かれず。ノーMCで4、5曲を歌った後、「観客の脳に心の声を送っている」という謎設定のMCで、この弾き語りが博多高架下のJK路上ライブだということを知りました(2部へのフリみたいです)。

 休憩を挟んで第2部は3人で。

 先ずは初めて観る「絵恋ちゃん」さん。これに大笑いさせて貰った。いや~、楽しかった。事前に、持ち歌の「恋人がサイコパス」というサーフ&スノーな曲について教えて貰っていたので、何だか気の狂れた世界観の人なんだろうなぁ、と想像していたんですけれども、これが予想以上でして。
 「結婚しないとナイト」という新曲、感想で客席のヲタが一斉に「ゼーックシィ! ゼーックシィ!」とコールしつつバッグから今し方買った「ゼクシィ」を取り出して振り始めたのを見た時には「それ!?」と思わず声に出し。ヲタはヲタ同士が同志なだけなんじゃなくて、ライブのコールや振り付けで演者の曲の一部を構成してるんですね。だから、アーティストも交えて「同志」。こないだ、オツカル様が絵恋ちゃんさんについて私に送ったTwitterのリプを絵恋ちゃんさん自身のアカウントが「いいね」した時には全く意味が分からなかったんですけれども、成る程「同志」なら不断の生存確認が必要だわ、と納得。
 「気さくが世を斬る」だとか「レジ打ちでスカ」だとかのぶっ飛んだ詞曲にヲタ芸エクスタシー、入る勇気は無いけれども観てる分には最高でした。あの客席の恍惚はあれだ、小学校の25mプールで全員が一緒にぐるぐる回りながらその勢いで天然の「流れるプール」作ってる時のやつだわ。
 でもって、代表曲を遂に聖地で初披露だという「カラシメンタイコ」に完全にやられてしまいました。「だから頭に乗せたらちょんまげ~ ね~ダーリン早く乗せてみて」ですって。あぁ、頭がおかしい!

 宍戸留美さんは、初期から追っかけの掟ポルシェ氏が泣いて喜びそうな「コズミックランデブー」「地球の危機」等々の、MC絵恋ちゃんさん曰く「神セトリ」。他の2人からしたら「叔母と姪っ子」レベルの年の差なんですけれども、歴とアイドルを続けている人物のオーラと美しさは確かに本物です(声も綺麗で歌も上手い)。正直、昨年末のグダグダ地下アイドル(の卵)イベントとは格が違う。最後の3人によるトークでも「部活動気分の俄アイドルのCDなんて貰っても聴かない(大意)」という宍戸毒舌で演者も観客も盛り上がってました。

 ラストは里咲さんで、1部で路上JKをやったのの続きが前方舞台歌唱だそうで、設定としては何と福岡ドームが満員なんだそうです。今度はアコースティックではなくてカラオケ(あ、3人の歌唱は全てカラオケです。そら教壇レベルの舞台ですから、生演奏なわけもなく)で歌唱。ヲタの皆様も、その設定に即座に乗ってコールを送る等、成る程「同志」故の反射神経もぱねぇな、と感心するやら呆れるやら。
 因みに、とある曲の間奏でロマン優光氏が「社長が×××(←ガナリ過ぎで聞き取れず)」と絶叫する「芸」を披露したのには、私は引いたしビルのオーナーから即座に苦情が来たそうです(「社長」とは里咲さんの愛称)。

 3人によるトーク、「カラシメンタイコ」ユニット唱を以てイベントはお仕舞い。その後は物販だったのですが、私、迷わずに絵恋ちゃんさんの物販コーナーの最前に並んで、CDシングル3枚と、5月7日(日)に新宿ロフトにて開催のライブ(絵恋ちゃんさんと戸川純ちゃんのツーマン!)チケットとを購入しました。このライブは、黄金週間の上京旅行のラストを飾るオツカル様とのデートです。

 さて、思ってもない程に楽しかったアイドルイベントの後は、オフ会に行くオツカル様と一旦お別れ。「ジュンク堂」で買い物をした後、西鉄近くのライブハウス「ROOMS」に移動して新居昭乃さんライブ。
 1ドリンクは今回も躊躇わず缶ビールを選んで絶賛喉潰し。物販コーナーではシングル1枚とミニアルバム1枚(洋楽カバー集の存在、知りませんでした)。

 ライブ「Little Piano vol.7」@福岡ROOMS
 弾き語りライブで、打ち込み音源とピアノ、演者は独りだけで前方スクリーンには曲毎のイメージ映像が流れるというシンプルな構成。こうとだけ書くと、実際さっきのアイドルイベントとパフォーマンスにおいて何が違うんですか? と聞かれたとして答えるのは(私には)難しいですね。
 間違いなくさっきと違っていたのは、静謐・幻想の世界観。癒やされる~。坂本真綾奇跡の海」というたった一度の例外(それでも菅野よう子繋がり)はありますが、それを除けば今回のライブでは初めてカバー曲を聴くことになりました。先に書いた洋楽カバーアルバムから2曲、1曲目がシャンソン(ダニエル・ビダル)だったのも2曲目がスタンダード「Smile」だったのも、演者の世界観の中の出来事です。良かったのは「凍る砂」「鉱石ラジオ」「WANNA BE AN ANGEL」「降るプラチナ」等々、やっぱり懐かしい曲でしょうか。

 オツカル様と合流、天神から西鉄電車で特急15分、二日市「月空」にて軽いめの食事とお酒と(「牛のタタキカルパッチョ」がやっぱり最高)。オツカル様は新居昭乃さんの年齢(内緒)に驚いておられましたが、今日の宍戸留美さんだって年齢を超越していたと思います。いや~、それにしても今日の絵恋ちゃんさんは面白かった、という話で盛り上がり。推しのオツカル様から、彼女にまつわる色々なエピソードを教えて頂いて楽しかった。
 た・だ・し! 本日は披露されなかった「恋人はサイコパス」の曲中でヲタは「マットーヤ! マットーヤ!」との掛け声をするそうですが、それは気にくわんな。
 私「あのね、『まっとうや』の音便化はファンにのみ許された行為なの」
 オ「あははははははは」
 私「そこは『まつとうや』であって欲しい」
 オ「あははははははは」
 後で考えたら、メンタルが完全にアイドルヲタと同じでした。

 西鉄→タクシー、で自宅着即就寝。オツカル様との次のデートは2週間後に東京にて。それまでは元気に働きましょう!