事故には気をつけろよ せめて読書はしろ

 授業がないので午前中に年休を取りました。理由は、2日前の学級日誌の日直感想に某くんが「学級文庫がほしいです」とのコメントを書いたからです。待ってた、お先生は待ってた。「善処します!」と返事を書いた瞬間から腕を鳴らしておりまして、昨日は病院と飲み会とで暇が無かったこともあり、本日は朝から始動。
 先ずは、家の書斎に置いてあった本から30冊ほどを見繕って段ボールに詰め、それと一緒にタクシーで出勤。国語科に入って、同じく段ボール詰めで「死蔵」していた本(どこにどの本があるか分かるよう床に直置きしていたら「見栄えが悪いから片付けろ」と命じられたのです)の中から、良さそうな本を80冊ほど。これで、入れる本は揃いました。

 次は本棚。
 10時を待って、タクシーで移動した先は血痰ネーミングショッピングモール「You Meタウン」内にあるお値段以上「ニトリ」。そこで、組み立て式の本棚を2つ購入。完成棚の高さが90cm弱なので、黒板の溝の下にピタッとはまり込む形で教壇の上に置けるのです。本棚コーナーの横には、ご丁寧に組み立て時に使うプラスドライバーも100円程度で売っています。

 タクシーで学校に戻り、進路指導室に本棚セットと準備していた本とを運び込み、室内で本棚の組み立てを開始。とは言っても板と板とをネジで固定するだけの極めて簡単な作業で、DIY的な作業にこれまでトンと縁の無かった私でも1つ20分弱で完成してしまいました。完成品を普通に買ったら万単位ですが、組み立て式なら板の代金だけですから2つで3000円程度です。安い。往復のタクシー代金の方が高かったくらい。

 ですけれども、コンテンツの方は割と時間とお金とをかけて集めているんですのよ。というわけで、本は、私がここ4~5年かけて集めた本(5年だとしたら全ての本代を合わせると600万円です)を中心に、これと思う108冊(煩悩の数!)を選択。超即席超適当な選書ですし、一人の人間によるものですので当然偏りはありますが、取りあえずはこれでご勘弁。今後、新陳代謝させます。
 という訳で、以下、学級文庫一覧。108人108冊です。

 【文庫】
 1 石牟礼道子『苦界浄土』
 2 井上荒野『静子の日常』
 3 井上ひさし『父と暮らせば』
 4 井伏鱒二『厄除け詩集』
 5 江國香織『つめたいよるに』
 6 大坪砂男『天狗』
 7 大西赤人『善人は若死にをする』
 8 恩田陸『ドミノ』
 9 川端康成『掌の小説』
 10 木原浩勝・中山市朗『新耳袋 第四夜』
 11 筒井康隆残像に口紅を
 12 中島敦山月記・李陵』
 13 野坂昭如『戦争童話集』
 14 山田詠美『ぼくは勉強ができない』
 15 山本周五郎『ひとごろし』
 16 ルナール『博物誌』
 17 青木奈緒『うさぎの聞き耳』
 18 嵐山光三郎文人悪食』
 19 池田清彦『他人と深く関わらずに生きるには』
 20 上田三四二『無為について』
 21 内田百閒『先生根性』
 22 金子光晴『絶望の精神史』
 23 壇蜜壇蜜日記』
 24 鬼海弘雄『世間のひと』
 25 高橋和巳『エッセイ 現代の青春』
 26 梨木香歩『ぐるりのこと』
 27 中村浩『糞尿博士・世界漫遊記』
 28 水木しげる『ねぼけ人生』
 29 山本夏彦『変痴気論』
 30 米原万里『偉くない「私」が一番自由』
 31 石井光太『遺体』
 32 石井好子水森亜土『料理の絵本』
 33 石川淳『諸國畸人伝』
 34 内田樹『ためらいの倫理学
 35 桐生悠々畜生道の地球』
 36 小西甚一『国文法ちかみち』
 37 末弘厳太郎『役人学三則』
 38 鈴木牧之『北越雪譜』
 39 谷沢永一『紙つぶて』
 40 戸塚洋二・立花隆『がんと闘った科学者の記録』
 41 藤田省三『精神史的考察』
 42 山本七平『「空気」の研究』

 【新書】
 43 足立幸代・三上英司『気ままに漢詩キブン』
 44 飯間浩明『辞書を編む』
 45 内田義彦『読書と社会科学』
 46 斎藤美奈子戦下のレシピ
 47 斎藤緑雨『緑雨警語』
 48 霜山徳爾『人間の限界』
 49 鈴木日出男『高校生のための古文キーワード100』
 50 出口汪『センター現代文で分析力を鍛える』
 51 中川淳一郎『夢、死ね!』
 52 中野三敏写楽
 53 なだいなだ『権威と権力』
 54 橋本治『たとえ世界が終わっても』
 55 平田オリザ『下り坂をそろそろと下る』
 56 福岡伸一生物と無生物のあいだ
 57 茂木健一郎『思考の補助線』
 58 柳沢幸雄『なぜ中高一貫校で子どもは伸びるのか』
 59 山際寿一『京大式 おもろい勉強法』
 60 サン=テグジュペリ星の王子さま

 【文庫・新書以外】
 61 レオ=レオニ『スイミー
 62 荒木経惟『男 アラーキーの裸ノ顔』
 63 湯本豪一『日本の幻獣図譜』
 64 ジェームズ・キャンベル『世界の図書館』
 65 リチャード・バーネット『描かれた病』
 66 永青文庫春画展図録』
 67 朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』
 68 いなにわ・せきしろ『偶然短歌』
 69 木下古栗『グローバライズ』
 70 こだま『夫のちんぽが入らない』
 71 谷川俊太郎『定義』
 72 又吉直樹『火花』
 73 三浦しをん舟を編む
 74 村田沙耶香コンビニ人間
 75 森見登美彦夜は短し歩けよ乙女
 76 米澤穂信『満願』
 77 酒井順子高橋源一郎内田樹枕草子方丈記徒然草
 78 天久聖一『挫折を経て、猫は丸くなった。』
 79 KAWADE夢ムック『総特集いしいひさいち
 80 大村彦次郎荷風 百閒 夏彦がいた』
 81 岡潔『数学する人生』
 82 北大路公子『頭の中身が漏れ出る日々』
 83 栗原類発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由』
 84 最果タヒ『きみの言い訳は最高の芸術』
 85 高橋秀実『不明解日本語辞典』
 86 高野りょーすけ『現役東大生が一日を50円で売ってみたら』
 87 内藤廣『建築のちから』
 88 中野京子『新 怖い絵』
 89 二宮敦人『最後の秘境 東京藝大』
 90 二村ヒトシ金田淳子・岡田育『オトコのカラダはキモチいい』
 91 藤原新也メメント・モリ
 92 松本博文『東大駒場寮物語』
 93 森於兎『耄碌寸前』
 94 吉田太一『遺品整理屋は見た!』
 95 RYOJI・砂川秀樹『カミングアウト・レターズ』
 96 若松英輔『涙のしずくに洗われて咲きいづるもの』
 97 季刊「銀花」編集部『“手”をめぐる四百字』
 98 スミス・マガジン『SIX-WORDS』
 99 青山ゆみこ『人生最後のご馳走』
 100 今井健仁『現代文の解法』
 101 内山節『時間についての十二章』
 102 岸政彦『断片的なものの社会学
 103 西畠清順『そらみみ植物園』
 104 蓮實重彦『齟齬の誘惑』
 105 長谷川一『アトラクションの日常』
 106 原研哉『白』
 107 藤木TDC『アダルトビデオ最尖端』
 108 ダグラス=アダムス・マーク=カーワディン『これが見納め』

 これで、今日の仕事はやりきった感。あ、担任業務他は、ちゃんとやったんですよ。
 放課後の教室で、内進生2人に『アダルトビデオ最尖端』の魅力を力説する担任。「小見出しが『旧ユーゴスラビアでナンパ』だよ? んなもん笑うやん。人気作『お茶を摘むお母さん』を含むシリーズは今もDVDよりVHSが出てるとかさ」 2人、爆笑。近くにいた優等生3人も俯いて笑ってました。

 夜は「もりき」に。先客はHさんですが、私の顔を見るなり開口一番「いけのっちゃん! 今日は私は機嫌が大変宜しくないのよ~、うふふふふふふふ」ですって。聞けば、就職上京の一粒種が、今度の黄金週間には帰ってこられないことになったとのこと。「食材をいっぱいいっぱい買って待ってたのに! いけのっちゃんも連休は東京でしょう!?」
 一頻り聞いた後、昨日(特に意味なく)2枚買い求めた10月東京のミュージカルのチケットを徐に取り出す。「Hさんも大感激していた上口耕平さん、出ますよ。2泊上京ですけど、Hさんは例えばその前後も東京に泊まって演劇だけ一緒に僕と観に行って、後は息子氏と一緒に過ごすとか、どうです? 良かったら、東京で日本酒の美味しいお店、お連れしますし」
 みるみる機嫌の良くなっていくHさんなのでした。