俺の胃袋は宇宙だ

 5時起床、大浴場、お気に入りのネカフェ。非日常の中の「日常性の維持」は堅持。連日の昼夜連続暴飲暴食で腹回りはえげつないことになっておりますが、貫きますよどこまでも。
 9時45分にネカフェでの書き物を切り上げて、上京4日目にして初めての聖地・ジュンク堂本店へ。3日間行かずに我慢したのは記憶にある限り初めてのことです。噂の丸善ビル(外から電車が見えました)は超巨大な文具屋になるそうで、オープンが私が福岡に戻った翌日の10日だそう(思わず滞在を延長する算段をつけようかという気に)。今回は行けませんが、どうせ初日なんて身動き不能の混雑でしょうし、10月の上京における楽しみにとっておきましょう。

 聖地では「背表紙読書」をしながら逍遥2時間。最初に地下の漫画売り場に降りた段階で欲しい本が1冊もなかった時点で焦りましたが(『はたらく細胞』の最新刊まではあと数日)、9階に上がって1階ずつ下っていく間に籠がいっぱいになったので満足。ハイライトは、普段ならレンタルDVDショップのアダルトコーナー並に顔を背けて足早に通り過ぎるビジネス啓発本のコーナーでふと知り合いの顔を見つけたような気がして、わざわざ引き返して確認したらタイトルに「東大の現代文」というフレーズが入っていた瞬間かな。相沢理『「最速で考える力」を東大の現代文で手に入れる』という本、東大日本史本をブームにした人でしたっけ。東大の現代文は「最速で考える力」を求める試験ではありませんが、だからと言ってそれが「最速で考える力」を涵養する教材にならないという理はありませんので、まぁ積ん読本にしといて後でチェックかな。

 昼食は「二天」というラーメン屋。つけ麺の標準バージョンに鶏天と豚天とが乗っているのが店名の由来らしく、これはビールが進むだろうと思って入店したのですが、「二天」はオジサンの胃に重そうなので鶏天だけの「一天」を注文。ビールを飲みながらずるずる。

 いったんホテルに戻って荷物(本)を置き、部屋風呂で汗を流してシャツだけ着替え、次なる目的地は六本木。ヒルズの「森アーツセンターギャラリー」にて「週刊少年ジャンプ展vol.1 創刊~1980年代、伝説のはじまり」。
 私は全く「ジャンプ」っ子ではなく、ジャンプを読んでいたのは中高の寮生同士で回し読みをしていた1992年~1998年に時期が限定されます。ですから、『キン肉マン』『北斗の拳』『聖闘士星矢』『キャッツアイ』『キャプテン翼』……等々の作品はほとんど読んだことがありません。今回の展示で大々的に推されていた作品の中で通して読んだことがあるのは『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』『CITY HUNTER』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』くらいのものです……あ、あとは『ジャンプ放送局』ね。泡沫的に紹介されていた作品だと『はだしのゲン』『ついでにとんちんかん』『CYBORGじいちゃんG』(←傑作)かな。
 それでも漫画では読んでいない作品にも多少以上の思い入れがあるのは、偏に高校・大学時代にアニメソングにのめり込んだことがあるから。「鉄腕アトム」から「千と千尋の神隠し」までおよそ40年分のアニメソングを集めて聞きまくってた時期があるので、今回の展示でもアニメ化作品のオープニング映像集のコーナー(『ど根性ガエル』~『まじかるタルるートくん』)は30分釘づけでした。
 展示は総花的・図鑑的でしたが、懐かしむために訪れた人は必ず満足できると思います。私も、なんだかんだで2時間退屈しませんでしたし(ただし、思い入れの不足でしょうがグッズで欲しくなるものは一つもありませんでした)。
 この先行われる「Vol.2」は1990年代特集で、『幽遊白書』『SLUM DUNK』から『ONE PIECE』までの超強力なラインナップを売りに盛り上がりそう。私は、前者2作は勿論(世代の義務として)読んでいますが、後者は1ページも読んだことがありません(この頃からはアニソンからも離れたので、そういう思い入れもありません)。

 神保町に移動して文庫本(講談社教養文庫)の古本を中心に仕事(卒業生配布)用の本を購入、「DOUTOR」でお茶。
 渋谷に移動して、文化村ミュージアム「ベルギー奇想の系譜」。18時完全閉館の40分前にしか入れなかったので、ほとんど走るようにしか観られなかったのが残念。学級文庫に入れるための図録を買いに行ったようなものなので感想を語る資格はなしですね。
 ただ、ギャラリーで行われていた「富田菜摘展」が思いのほか楽しかったことは一言言及。廃材を使って動物を模る、今日展示されていたのは楽器を演奏する動物たちばかりでさながらオーケストラ。こういうの、「男く祭」でも出来るのかなぁと思ったら、実際に廃材を使ったワークショップも開催されているようでした。

 さて、文化村を出た辺りから本格的に雨が降り始めました。上京中の雨は珍しいので晴れ男の自称は返上しよう、とファミマで慌てて傘を購入。考えたら、台風5号がこちらに近づいているのでした。
 雨の中を小走りで渋谷駅へ向かい、井の頭線永福町駅。待ち合わせは18時30分でしたが、永福町着が18時29分でギリギリでした。ギリギリじゃなかったら多分呼び止めましたが、永福町駅の改札を出たところで63回生理系Cくん(東大教養学部)とすれ違いました。髪の毛が真っ金々になってましたけど何しろ顔、そしてそれよりも声が高校時代と全然変わってなかったので、顔を確認する前に「あ、Cじゃん」とすぐ分かりました。

 さて、待ち合わせは63回生Eくん、彼の「美味しいピザ」のリクエストに合わせて予約した店は「マッシモッタヴィオ」。もっちもちのナポリピザが売りの店……で、予想通り前菜から肉から食うこと食うこと。見てるだけで腹いっぱいになる清々しい食べっぷりを肴に、元担任はビールをぐいぐいと。
 Eくんはダブルダッチの人で、文系A組の「日常性の維持」担当の人で、私を始め担任団の言うことを真っ正直によく聞く人で、というと従順受験一途の視野狭男くんに聞こえるかもしれませんがそうではなくて全方向的に好奇心を炸裂させることができる人で、それが証拠にこないだ私に突き合わせて強引にミニライブに連れて行ったら大笑いしてた地下アイドルの、E「絵恋ちゃんをフォローしたんだけど、先生宛の@ツイートをファボってたのに大笑いした」なんて台詞がするっと出てくるし、1時間遅れでやってきた初対面55回生Tくん(8歳年上)とも友達胃袋宇宙大で普通にお喋り出来る。勿論、友達胃袋だけじゃなくてリアル胃袋も宇宙大だから、あれだけ飲み食いした後でもピザは2枚ペロリと平らげる(Tくんも唖然でした)。

 Eくんはこの後ダブルダッチ用の音源編曲作業があるということで1次会で帰宅(っつーか、今度の土曜にもK市で肉を奢るんだわ)。私とTくんとは、2次会ならここだろという池袋「知音食堂」で四川山椒唐辛子の宴……というのをオツカル様に話したら「結局きみは辛いので悶絶するのが好きなんでしょ?」と言われました。はい、そうです。
 「知音」からホテルまでは徒歩5分、健康睡眠。さて、明日の台風は大丈夫なんでしょうか。国立西洋美術館アルチンボルド展」に朝イチ(9時半)で行きたいのですが、サイトを見てみると台風の影響次第で開館が遅れるかも知れないという情報です。