打ちのめされるようなすごい本

 関西旅行中に読了の本、以下。
 米原万里『打ちのめされるようなすごい本』読了、★★★★★。量質圧倒的、申し訳ありませんでしたとしか言いようがありません。彼女の書評によく登場する結びが、あらゆるテーマの本を読んでは「私も○○してみたくなった」というもので、これは凡百の人間が書いたなら実感のない紋切り型と斬って捨てるべき文言なのですが、彼女の好奇心分析力表現力なら本当にやってみたいと思っているんだろうしやったらできるんじゃないだろうかと思わずには居られません。「趣味は読書」というのも、彼女が言えば無趣味の表明じゃなくて本当のことなんですね。読書家というのは、例えば米原氏であるとか、米原氏が本書で絶賛している斎藤美奈子氏のような人のことを言うのです。
 平岩弓枝『肝っ玉母さん』読了、★★★★★。さて、米原氏の書評に特徴的なのは、本を読んでいる最中なら自宅だろうが外だろうが爆笑号泣憤怒とあらゆる喜怒哀楽が本から引き出されたという記述の多さ。これも凡百が書けば実感のない大袈裟と斬って捨てるところですが、彼女の場合は本当なんだろうなぁと思わずにいられず。でもって、その書評集に続いて一気読みした人生初の平岩弓枝小説で、私本当に号泣してしまいました(酔ってたのもあるけど、兎に角本当に涙が止まらなくて、あぁホテルで良かったと)。米原書評に、私は「本の読み方」で影響を受けた様子。因みに、この本、読みながら「橋田壽賀子の世界だよなぁ」と思ってたら、本当に石井ふく子の手がけたドラマだったんですね。寡聞でした。
 北大路公子『私のことはほっといてください』読了、★★★★★。今回読了の文庫3冊はどれもこれも傑作ですが、誰彼構わず人に勧められる1冊ならこれでしょう。兎に角面白い。自己を取り巻くあらゆる他者、どころか妄想内に構築した他者の眼にすら「脱中心化」できる視点の融通無碍で、自己に降りかかった全ての出来事を(というか降りかからなかった出来事まで)笑いに変えられる力は、読んでいて時にゾッとするくらいです。
 長倉洋海マスード 愛しの大地アフガン』読了、★★★★。何がきっかけなのかは解りませんが(アラーキー『裸ノ顔』かなぁ)、最近、画集や写真集(文字の少ない本)を読んで「いいなぁ」と思うことが増えてきました。年の問題ですかね。

 午前中は自宅でだらだらと過ごし(この「だらだら」には読書・TV・DVD・「DQ11」・風呂掃除・トイレ掃除・入浴・洗濯……等々が含まれます)、昼過ぎに自宅を出発。したのですが、学校に行きたくない余りに出勤準備をして歩き出した通勤路の途中にあるラーメン屋で食べたくもない昼食をとってUターンしてしまいました。
 昼食のおともは古市憲寿『大田舎・東京 都バスから見つけた日本』。古市キュンをバスに乗せて「ちょっとだけ上から目線」と言わせたい・読者に「お前はバスから降りてもそうだろが!」とツッコませたい(だけの?)雑誌企画は、都バス車窓コラム集。最近、上京旅行中に都バスを使い始めたこともあり、面白く読めます。

 学校に行きたくない理由は、唯一に近い仕事が喫緊でもない職員飲み会の案内状作成だから。火曜の職員研修会の後に開かれる有志慰労会(2学期への決起集会?)の幹事を、昨日の63回生飲み会中に(生徒指導部長からの)電話で依頼され、その場で居酒屋「K」を押さえたのです。その場でこなしたのを見て卒業生が「凄ぇ」と言いましたが、私に言わせれば逆で、その場でやんなきゃこの後ビールビールビールビールビールを飲んで全ての現実が酒霧の向こうに消えていく運命が見えているんだから、でもってその後に28人とかが参加する大口の飲み会の予約を取り付けるなんて無理に決まってるんだから、その場でやるのが唯一の正解なんです……ってまぁ、若しかして今の私ならば気絶している間に小人さん的な何かが勝手に予約してくれてたりするのかも知れませんが。

 でもって、結局16時頃に学校に入って、高3の添削と案内状(日時・会場・予算・地図等々)の作成印刷配布の仕事を行いました。夜は、帰り道すがらの肉料理「I」で独酌読書。私より年若いマスター、来年には隣接店舗に姉妹店として魚料理「I」をオープンするそうです。頑張れ~。