君子は和して同ぜず

 6時入りの職員室でデスクワークは担任業務と高3東大文系漢文の添削、及び1限の高3文系(東大以外)の授業準備。朝のSHR、及び1限の授業が終わった時点で10時から年休。職員室で私服に着替え、手配済みのタクシーで西鉄K駅に向かいます。
 連休を定期勉強に費やすお生徒さんたちを尻目に、担任が2泊3日の旅行たぁどういうこっちゃという話ですが、本日から東京。時間の都合で飛行機往復をしないといけないというのが辛い(というか怖い)ですが、イベント3種(絵恋ちゃん「生誕祭」、ミュージカル『パジャマ・ゲーム』、63回生飲み)はどれもとても楽しみ。

 西鉄から福岡空港への行き方は電車か高速バスかなのですが、手荷物もあるので歩く必要の少ないバスを選択。そうしたら、高速に入る前の乗車専用バス停がもの凄く増えてて、学校徒歩5分の「十三部」(←ローカル!)からも乗車できたことを知りました。空港行きなんて乗りませんからそら知らんかったわという話、タクシー代損した。
 福岡空港には離陸(発射)予定時刻の90分前に到着。ネット予約の確認番号を機械に入力したら乗車券が受け取れる、なんてことは全然知りませんでしたから、JALのCAさんに頼って一から教えて貰いました。空港内では、折角福岡から上京するならと絵恋ちゃんさんへのお土産(「生誕祭」だから誕プレなのかな)に「カラシメンタイコ」を使った商品をいくつか。書店を覗いて、昼食は構内の「一蘭」でとることに。保安検査を潜った先にあるから飛行機に乗る客しか入れないという難攻不落、福岡プライスなのか東京プライスなのかは分かりませんが、とにかくラーメン・替え玉・半熟卵・追加チャーシューでおよそ1500円の超高級店です。
 「一蘭」では勿論、絵恋ちゃんと楽器のCD(『ERERGY』『二度寝る寝るね』)2枚と料理とを一緒に写メる「えったんこ飯」なる儀式をこなし、写メはオツカル様にお送りしました。本日の「生誕祭@目黒『鹿鳴館』」、オツカル様は仕事の都合で2部からしか参加できないそうです(1部はゲスト多数のライブ、2部はトークイベント……この2部が相当なカオスだったのですが、これは後述)。私は1部の途中から参加で、恐らくライブトリの絵恋ちゃんさんには間に合うだろうという時刻に会場入りの予定。チケットはオツカル様に予約しておいてもらったので、会場受付にて「絵恋ちゃんを『××××』(←オツカル様のTwitterアカウント名)の名前で2枚予約した『イケモト』(←私の偽名)の方です」と名乗ればいいそうです。わざわざ「絵恋ちゃんを」と言わなければならないのは、大勢集まるアイドルの誰が目当てか(どのアイドルの運営からチケットを買ったのか)を明確にするためで、それによって出演者の出演料の割り当てが決まるというシステムなのだとか。以前、新宿LOFT戸川純ちゃんとZAZEN BOYSとの対バンイベントに行った時に入り口で「戸川さんですか? ZAZEN BOYSですか?」と訊かれたのを何でだろうと思っていたのですが、そういう理由があったのですね(あの時は、戸川純ちゃんが目当てで後攻のZAZEN BOYSは観ずに帰るという蛮行を)。
 オツカル様からは「もしTシャツを先に着てたいなら、入り口で先に自分の分を受け取っておいてもいいよ」との言。そうですよ、ついに私、地下アイドルのイベントTシャツまで注文してしまって。というか、それって記念品じゃなくてその場で着る前提なのね。どうしよ。

 飛行機の記憶は抹殺。全力で読書に集中して気を紛らわせました。発射時と着陸(墜落)時との、飛行機が「斜めってる」間が本当に怖いんですよねぇ。2月の高2北海道スキー研修、もし飛行機座席が私の隣だったら破れるくらい強く袖を握るつもりだと、既にお生徒さんたちには言い渡しています。
 発射予定時刻が20分ほど遅れ(客が飛行機に乗り込んでから滑走路で待機している時間が長かったです)、墜落予定時刻も15分ほどオーバー。速い速いが自慢なら予定時刻を遅れんじゃねーよJRを見習えJRを。

 さて、空港からは電車を乗り継いで直接目黒駅へ。ホテルは池袋ですが、チェックインは1部が終了後、2部が始まるまでの空き時間で往復して済ませます。目黒駅徒歩5分のライブハウス、「鹿鳴館」は勿論「ROCK鳴館」なのでバンド出演を前提に作られているのでしょうが、昨今は集客において優れているアイドルイベントが各所ライブハウスで行われるご時世だそうで。
 入り口でオツカル様に教わった通りの手続き(シャツは後回し)、ワンドリンクは当たり前のようにビール(缶)を選んでいざ会場入り……をしたら、100人くらいで既に立ち見満員状態の会場で、ステージの上には3人組の地下アイドル(「ノーメイクス」という名前だったそう)と、サングラス姿でも絶対にどこかで見たことがあると分かる小太りのおじさんと……で、おじさんが急に音楽に合わせて「大傑作! 大傑作!」とがなり始めてそのパンチ力に唖然。初手からすんごいの観ちゃってるなぁ、と思いながら、歌の後のトークでそのおじさんが映画監督・俳優の井口昇さんだということが分かりました。ど~りで。このアイドルさん3人で映画を撮られたんですね。それが「大傑作! 大傑作!」なのかぁ。
 会場内には、勿論他のアイドルを推しているファンの方々も居るのでしょうが、流石に中心勢力は絵恋ちゃんさんのファン(通称「えれにすと」さん)だと思われます(これまで何度か足を運んだライブ会場にいらした方が大勢です)。が、ノーメイクスさんたちのライブでも、続くぱいぱいでか美さんのライブでも、前者では「はい敬礼!」の声に合わせて全員で敬礼をしたり、後者ではタオルを振り回したりと、もう全員がノリノリでヲタ芸熱すげぇ、と。私はどのライブハウスでもスタンディングなら絶対会場後ろの壁に寄りかかって、というマイルールを貫いて(アイドル現場では「後方彼氏面」と呼ぶそう)、アイドルさんとそのファンの一体感、これを一つのグループだという思いで眺めて楽しみました……んですけれども、やっぱり色んな地下アイドルを観る(アイドルイベントは単独ではなくフェス形式? が多いみたいです)につけて、やっぱり私は楽曲に関しては絵恋ちゃんさんの作品「だけ」が好きなんだよなぁ、というのをしみじみと。

 さて、1部トリの絵恋ちゃんさんライブ。今日はバックバンドの「楽器」さんは不参加で(客席にいらしたそうです)、全曲カラオケ音源歌唱。

 ①カラシメンタイコ ②ことわれない女 ③もうどうにもえったんこ ④なまぬるイーな! ⑤恋人がサイコパス ⑥就職しないとナイト ⑦天狗 ⑧すっぱいぱい ⑨頭痛い ⑩結婚しないとナイト EC.①なぜか涙がでちゃうんだ EC.②レジ打ちでスカ!

 オツカル様が居らず私独りで鑑賞するわけで、言ってみればアウェイなんですけれども、考えたら2人で観に行ってもオツカル様は客席前方でえれにすとさんたちの一員としてヲタ芸三昧、私は後方で「えれんちゃんと楽器とえれにすとさんたち」というアーティストを観るという風に分かれるわけだから独りでも変わらないと言ったら変わらない。
 ライブハウスの客席壁面は、えれにすとさんたちが皆で絵恋ちゃんさんのお誕生日(一昨年も去年も今年も祝・14歳!)をお祝いする飾り付けでいっぱい。「絵恋ちゃん14歳の誕生日おめでとう」の垂れ幕、代表曲「レジ打ちでスカ」に因んだ(?)各種レジ袋、等々の手作り感に温かさが。先日読んだ姫乃たまさんの新書の中で、元々地下アイドルのファンには心の優しい人が多く、かつ推しを一緒に応援するファン同士の連帯感もあって(大意)というようなことが書かれていましたが、本日のイベントを通じて最も強く感じたのは正にそれ、F校校是「和而不同」が顕現していました。

 ですがまぁ、オープニング映像・ナレーションが桃太郎のゆる~いパロディで何てことはないただ絵恋ちゃんさんが「どんぶらえったんこ」という台詞を言いたかっただけ、にすとさんたちの愛ある失笑からイベントが始まるところが多分「らしさ」なんでしょう。ですが、幕が開いたら絵恋ちゃんさんのキラッキラな衣装に客席大歓声、1曲目のイントロが流れた瞬間にはオイオイとかけ声、というメリハリ。ライブは、4月に初めて聴いた時にその世界観のおかしさに目眩がしそうになった「カラシメンタイコ」からスタートです。頭に乗せたらチョンマゲ~♪
 「なまぬるイーな!」ではサンバ間奏の「オレ~ オレ~」に合わせて客席でオレオが飛び交うし、「結婚しないとナイト」では客席にすとさんたちがすかさず「ゼクシィ」を取り出して振りたくるし、新曲「すっぱいぱい」では隣の人の汗をタオルで拭くという振りまであるし(「すっぱい」というのは汗の臭いの形容です)、一度生で聴いてみたかった「恋人がサイコパス」では歌い終わった後の絵恋ちゃんさんが「怒られるよ……」と思わず呟いてしまうような女王様冒瀆フレーズのかけ声が客席を飛び交うし、読んでる人は何が何だか分からないでしょうけれども書いてる私も何が何だか分からないんだから仕方がない。でも、一曲一曲毎に楽しく遊んで盛り上げようというファンの情熱、見ているとだんだん胸が熱くなってくるものがあります。
 極めつけは「頭痛い」かな。いったいどなたがどうやって準備したのか、客席に台車ワゴンを持ち込んで、絵恋ちゃんさんはステージからワゴンの上に移動して歌唱。足下の悪い中でふらつきながら歌う絵恋ちゃんさんが客席中央、間奏のサークル(みんなでぐるぐる回るやつ)はワゴンを中心にしてにすとさんたちがぐるぐるぐるぐる、からの土下座!(だから書いてる私も何が何だか分からない)

 さて、アンコール待ちの間に観客全員にある物が配られます。私も受け取ったのですが、それが何かというとレジ袋。ちょうど人間の頭がすっぽり入るくらいの大きさで、そう言えば被った時に目の位置にあたるところに穴が開いており……って、「これ、被るの?」と、誰も居ない空間に語りかける私。見れば前方にすとさんたち、全員袋をすっぽり被ってこれはさながら黒ミサかKKKかという。で、ヲタ芸はやらないけれども郷に入ってはとも言うし、と私も結局頭からすっぽり。何やってるんだろう、なんて考えるのは私だけで、他の人たちは皆嬉々としてやってるんだろうか、と一瞬自信がなくなりかけたんですけれども。
 アンコールで登場した絵恋ちゃんさんが客席の異様に明らかに戸惑った様子で「何やってるの?」と仰ったのでやっぱり何やってんだろうってなるよねそりゃ、と首肯すること3回、その度にレジ袋がガサガサ鳴ります。
 絵恋ちゃんさんへのファンからの誕プレは、お洒落なブーツとレジスターの形のデコレーションケーキ。ブーツを見た絵恋ちゃんさんは大喜び、第二部で絶対履く、とのお言葉。でしたがレジスターケーキにはイマイチの反応で「レジ打ちのバイトやめたのに……」と、何というかとても正直。
 黒ミサかKKKかの格好のままでファンは「レジ打ちでスカ!」のコールを叫び遂げる(酸欠になったんじゃないのか)し、最後の記念撮影(ステージ上から撮って、一番前に絵恋ちゃんさん、その後ろにえれにすとさん一同という構図)も全員袋を被ったまま行いました。

 そして、最後の最後でちゃぶ台返し、早速着用しているファンも多い生誕祭Tシャツにもはっきり「14歳」と書いてあるのに、絵恋ちゃんさんラストMCにて「今年はスナックイベントと結婚式とがあるので24歳になります」と一気に10年のワープ、客席のどよめき(そらそうだわな、コンセプト完全破壊なんだから)。確かに酒絡みのスナックイベントで14歳はまずいか、とは思いますけれども(この時、客席のどよめきに気を取られて「結婚式」という意味不明なワードへの疑念を忘れてしまいました。後で理由を聞いた時の衝撃たるや)。
 物販が90分、私は図々しくも最前列近くに並んで、新曲「すっぱいぱい」のCDや旧譜を中心に8500円分の音盤をゲット(何度も言ってますが、これまで観た地下アイドルの中で、唯一楽曲が好きなアーティストなんです)。チェキは撮りませんでしたのでご本人とはお話しをしませんでしたが、物販の係の方に福岡土産のカラシメンタイコを託けました。

 さて、会場を飛び出して一路池袋、北口の定宿にチェックインです。目黒から池袋に向かう途中の電車内でオツカル様から「今会場に着いた!」との連絡。2部でお会いしましょう、とお返事。因みにここでのやりとりで、生誕祭Tシャツというのがアーティスト側が作ったグッズなのではなく、ファンが自主的に作成してみんなで着ている(祝意を表す)ものなのだと知りました。凄い、どれだけ熱心なんだろう。
 ホテルチェックイン、1階の大浴場で湯浴みの後、再び山手線で池袋→目黒はライブハウス「鹿鳴館」。

 仕事上がりで背広のオツカル様とご挨拶、の後、よく考えたらここで着なけりゃ福岡・K市で着るタイミングはないぞ、とトイレで生誕祭Tシャツに着替えました。私もこれで「えれにすと」に片足を突っ込んだことになるのでしょうか。で、2部のトークショウの開演を待って……
 私「2部のトークショーってさ、あのラジオ番組の相手の人が司会なんでしょう?」
 オ「そうそう、谷さん。善意の豚」
 私「その『善意の豚』っていうワード、凄いよねぇ。よくそんな呼び方出来るよねぇ」
 オ「愛称、愛称。で、今日はプロポーズ会だから」
 私「?」
 オ「ここに居る人たち、今度絵恋ちゃんと結婚するの」
 私「?」
 オ「だから11月に結婚式があって、そこで絵恋ちゃんと結婚したいファンが集まって公開プロポーズするのが今日のイベント」
 私「……オツカル様は、するの?」
 オ「しない。ウチ(←一人称)は高みの見物派」
 私「(少し安心して)えっと、集団でプロポーズして、絵恋ちゃんさんがOKだして、来月にはその人たちと絵恋ちゃんとの結婚式イベントがある、という?」
 オ「そうそう」
 私「多夫一妻?」
 オ「女子もプロポーズするよ!」
 何度目か忘れましたけど、私だって書いててよく意味が分かんないんですから。もうそういう物として受け止めるしかないんですから。結婚かぁ、それで14歳を名乗れなくなったわけね。

 公開プロポーズイベントの2部が開幕。そのオープニングトーク中にも、えれにすとさんたちが準備した大きなデコレーションケーキが切り分けられて客席に振る舞われて、と細やかな心づくしに感じ入ります(チョコレートケーキ、美味)。
 ただ、「人数が多いからグダるだろうし、観てる方が小っ恥ずかしくなるんだろうなぁ」と、30人弱のえれにすとさんたちが順番にプロポーズをするというコンセプトには流石に正直引き気味でスタートを迎えました。

 見届け人はゲストの里咲りささん、ぱいぱいでか美さんのお二人。絵恋ちゃんさんの親友、先ほどのレジスターケーキを頬張りながらの審査員(?)席です。
 ・指輪の代わりにカラシメンタイコを差し出し、自分の頭の上に乗せてもらってから、「結婚して下さい!」
 ・他の推しであるところの里咲さんのグッズを(想定外にご本人が目の前に居られる場で)脱ぎ捨てて一途を示してから、「結婚して下さい!」
 ・モールス信号をプロポーズの言葉(何故か「SOS」でしたが)として流してから、「結婚して下さい!」
 ・シンプルにスーツ、花束を差し出してから、「結婚して下さい!」
 ・女性ファンが感極まって殆ど泣きそうになりながらえれにすと来歴を語り尽くしてから、「結婚して下さい!」
 ・ショートコント「結婚相談所」を披露してから、「結婚して下さい!」
 ・台湾からやって来たえれにすとさんが一緒のお墓に入りたいという希望を伝えてから、「結婚して下さい!」
 ・初めてお会いした時に頭にかけてもらった牛乳のことが忘れられません、と如雨露に入れた牛乳を頭にかけてもらってから、「結婚して下さい!」
 ・一生懸命書いてきた手紙を司会の谷さんに代読してもらってから、「結婚して下さい!」
 ・料理が得意なので絵恋ちゃんに手料理を食べて欲しいという意を伝えてから、「結婚して下さい!」

 ……三十人三十色の「結婚して下さい!」を観ている内に、胸の内に何とも言えない感動が広がって行くのに我ながら驚いてしまいました。全員が何かしら仕込んできていて、そこにはえれにすとさん同士じゃないと理解できない符牒もあったようで私には全然理解できないものもあったし、感動よりも観客を如何に笑わせるかという方向に振り切った「芸」が多かったんですけれども、誰も彼も兎に角絵恋ちゃんに対する愛情(と言って良いのか分かりませんが、何かしらの熱量を持った感情)に溢れているのが半部外者の私にまでひしひしと伝わってきて。見届け人のお二人もまさかこんな「神イベントになるとは」と思われたかどうかは知りませんが、ず~っと両手をマスク状態の里咲さんの圧倒されっぷりが印象的でした。

 最後の最後には、ファンの手作りのDVD映像鑑賞会。手の込んだ映像はこれもまた絵恋ちゃんさんに対する思いに溢れていて、内容そのものよりもやっぱり会場全体の雰囲気の温かさが良かった。
 イベント中に出たケーキのゴミは、紙の物とプラスチックの物とを分別してえれにすとさんたちが回収、飾り付けの撤収も全部えれにすとさんたちの協働です。もうね、一度観たら分かる。全ての地下アイドルのファンがこのようなクオリティの集団だということは流石にあり得ないと思うけれども、この手作りの温かさと居心地の良さは偉業だわ。これまでオツカル様には色々と面白いものを教えてもらったけれども、こういう形で「和而不同」が見られる世界を知れたのは、ちょっと大げさですけれども人生の収穫。色々な所でこういう協働が行われているんでしょうか。

 解散22時、終電の時間まで、えれにすとさんたちが集まる打ち上げが行われます。場所は「金の蔵」という安いチェーン店で、人数は50人超。オツカル様は慣れた調子で参加ですが、私はその後ろに影のようにひっついてオドオドです。

 結論から言うと、もの凄く楽しい飲み会でした。
 大体、50人規模の飲み会を取り仕切る幹事さんがいらっしゃって、その方が事前にオンラインで参加者を募集・把握して店を押さえられて(私は、オツカル様を通じて事前参加申し込みをしていました)、当日のキャンセルや飛び入りも含めて店と話をつけて、という労力がまず凄いですよね。私もF校で幹事仕事をよくやりますので解りますけど、勝手知ったる行きつけに仲良しメンバーで行くのとは訳が違う仕事ですから。

 さて、掘りごたつテーブルがいくつも並んだ座敷を「えれにすと」さんたちが占領。オツカル様が気を遣ってくれて端っこのいちばん小さな4人席を選んでくれたので、新規私は大勢の濃い人たちとは触れあうことなく、境界から全体を俯瞰するという最も得意なパターンで参加することが出来ました。我々2人の他には、多分我々と近しい年代の男性がお二方。
 で、早速感心したのが私の斜め前に座られた男性との自己紹介で、私が「イケモト」と名乗ったら初手から「じゃあ『池ちゃんさん』ですね! 僕、『××っぴい』です!」という返し、アカウント名文化の間合いの詰め方は『バガボンド』並の鋭さです。オツカル様とはオンライン(Twitter)で薄く繋がっておられる方のようで、そういえば「××っぴぃ」さんはオススメユーザーで時々お名前を拝見することがあります(大体私のオススメユーザーは、F校・クイズ・絵恋ちゃん)。

 料理の注文方式はテーブル毎にタッチパネルで、飲み放題は全員共通ですが料理は各自が適当に頼んで良いということ。てっきり食べ放題にするものだと思っていたのですが、参加人数が直前まで確定できないことが理由なのかな。取りあえず、そういう時は私が注文するという本能を持っているので早速タッチパネルを操作して、生ビールを3杯と瓶ビール(私)を1本。料理は「適当に選んで良いですか?」との許可を得た上で、先ずは4人なのでおつまみを4品。
 まさか就職以降の上京旅行でこんな安かろうのチェーン店に来るなんて思いもよらなかったので(嫌みではなく)逆に興味津々だわ、というノリ。それでも、「えったんこ飯」をなさるであろう他の3人のことを考えて、「カラシメンタイコ」の乗っただし巻き卵を注文するという礼儀だけは忘れてはいけません。「××っぴい」さんが、カラシメンタイコを見て「わぁ!」と小さく喜んで下さったのは嬉しかった。

 さて、料理は本当に安かろうで、でもそんなに不味いって程じゃなくちゃんとお酒を美味しくしてくれるものだったので先入観サーセン、という感じ。ただ、流石の安チェーンで、ビールは「薄い生ビール」か「ぬるい瓶ビール」の2択みたいです。4人で飲み比べて「本当だ、薄い!」「うわ、ぬるい!」となった時に、私が絵恋ちゃんの曲名で「なら『なまぬるイーな!』ですね」と言ったら「××っぴい」さんに喜んでもらえて、本当にそれ以降は全員瓶ビールになりました(私は、最後は冷酒に移行)。
 一瞬「あっ」と思ったのは、石焼きの麻婆丼を注文していたのですが、店員さんが持ってきたのを受け取られた私の横の男性(結局、名前は聞かなかったですね)が、流れるようにそのままかき混ぜて全員が食べられるようにしてからテーブルに置いたこと。うわぁ、幹事仕事取られたぁ、って思ったんですけれども、本当にこういうのが極々自然に出来る人って、私、あんまり見たことがありません。私は趣味なんで割と貪欲に混ぜる取り分けるってのをやるんですけど、隣の方は自然な気遣いって感じでした。 因みに、我々以外のお2人のお仕事はエンジニアだったかプログラマだったかそんな感じで、というか私が福岡で教員をやってることはオツカル様が最初に明かしたんですけれども、絵恋ちゃんさんのファンだということ以外の個人情報は殆ど交わさない(意味がない)という雰囲気でしたね。絵恋ちゃんさんが今度久しぶりに九州でイベントに参加されるという話題の時に、「じゃあ、池ちゃんさんは参加出来ますね! いいなぁ」と「××っぴい」さんに言われた時に、一瞬だけ周りのテーブルから視線を浴びて、個人情報が活きたのってその時だけだったかな。

 とにかく、生誕祭~二次会についてのえれにすとさんたちの運営の誠実さ・協働とが「凄い! 凄い!」と驚く私にオツカル様、「皆、青春を取り戻したいの」と。それにしても、情熱と、偏見かも知れないけれども能力とが高いと思う。地下アイドルのファンって、そういう意味でも「ちゃんとした」人が多いんだなぁ、って(偏見かも知れないけれども)。これまたオツカル様に教えてもらったんですが、アイドル自体のファンであるのは勿論なのですが、次第にそのファン同士の交流の楽しさ、ファンの人たちのファンになっていくようなファンも居るそうです。だろうなぁ、と思う。

 終電でホテルへ。長い長い一日でしたし、長い長い日記(約1万字!)になりました。健康睡眠。