まちがいなく関西人 さいでんなぁー

 6時に学校入りしてデスクワーク、いつもと違うのは1泊分の着替えを詰め込んだバッグを携えて出勤している点で、本日は1限(高3文系漢文)の授業を終えたら1泊2日で大阪出張なのです。某予備校模試の結果検討会のために、西日本の(所謂)市立進学校の教員(英・数・国)が集います。進路指導部命令での出勤ですが、会議・情報交換会(要は飲み会)の席に見知った先生方がいらした場合、何年か前に一度やって二度としないと決めた某社模試作成の仕事に再勧誘されないかなぁ、とちょっと心配(結果的には杞憂、見知った先生方とはお会いしませんでした)。

 K駅から新大阪へは乗り継ぎ無しの新幹線があって楽チン。JR駅前の老舗「R」(豚骨臭がキツすぎないあっさり系で好み)でラーメンの昼食などとったり。麺類の汁を飲んではいけないという家訓(子どもの時からの調教)を破って二口啜ったり、あろうことかセットの小チャーハンを注文(追い炭水化物!)したりするなど暴挙ですが、出張非日常への興奮がそうさせるんですね(新幹線の中では禁断のコカコーラにも手を出すぜ!)。

 新大阪行きの新幹線、指定席は既に満席でした。自由席もいっぱいで最初は立っていなくてはなりませんでしたが、どうせ博多でごっそり人が降りるのでその後座れることは分かっています……と、その新幹線で高2文系もお世話になっている生物非常勤先生とバッタリ。これから博多の予備校で講義という先生は予備校事情に通じたカリスマ講師で、2つの予備校をかけ持ちなさってお出でです(F校の非常勤も長くておいでですが、先生曰く「生徒が知的だからやってて楽しい」)。博多までの20分弱で、今日の会議のテーマである模試を始め、予備校界の様々な裏事情をたっぷり伺いました。ダブルで食べた炭水化物のせいではなくお腹いっぱい。

 博多から新大阪までは着席悠々の読書。3時間のうち1時間は、今日の会議で検討する模試(評論・小説・古文・漢文)の問題と解答とを再チェック。国語科の教員だけが集まり、模試の問題について、出題(作成)なさった講師の方に直接疑問や意見やをぶつけるというなかなかない機会なので、入試問題以外をこんなにじっくり見るのは珍しいというほど。

 問題について「ケチ」をつける点はありませんが、例えば……。
 評論文の漢字の書き取りに「講義」が出題されているのに、漢文の或る設問の選択肢に「抗議」という語が出てくるのはどうでしょう。書き取りの出題意図には、勿論「義」に言偏をつけるミスのチェックもありましょうが、当然同音異義語(抗議・広義・公儀・厚誼・交誼……)のミスのチェックもありましょう。出題に当たっては問題冊子内で「講」「義」それぞれの字が使われていないかという検索は為されているはずですが、同音異義語の検索は忘れられていたようです。本文は変更不可でも、選択肢内の単語なら変更は容易ですから、事前に検索しておけば「抗議」の使用は避けられました。些細な問題でしょうが、詰めておいて悪いことはありません。
 小説に関しては、リード文と設問との誘導で、本文全体で表されている主人公のあるコンプレックスを敢えて(これは明らかに意図的にでしょうね)丸ごと無視するというアクロバティックな出題が為されていました(と書いても、受験した生徒にさえ何のことか分からないでしょうが)。具体的に言えば、「ソンザイカン」という語に傍線部が引かれているのですが、これが何故カタカナで表記されているのか、という問題。出題側は、もし受験生にそう聞かれたら答えに窮するでしょうね。問題自体は成立していたので、繰り返しますがこれは「ケチ」ではありません。そういう風に問題を作ることって「あるある」だよねぇ、という感想。

 ……なんて話を検討会でやって(案の定、なぜ「ソンザイカン」がカタカナなのかというのは問題作成会議で話題にも上らなかったそうです)、その後は懇親会……が、いきなり面白かった。
 F校から一緒に参加した高2担任団の超ベテラン英語科先生(56回生・62回生の主任)が、懇親会の乾杯の挨拶を、何故か直前に依頼されたそうで。「面倒臭いもんね~。池ノ都先生、俺、何喋ったらいいんかね~?」と聞かれたので、冗談で「俺の挨拶中にスマホ触ったらビール瓶かリモコンかで殴る、って仰有っては?」と答えたら、偉い先生方や予備校の管理職お歴々の前で本当に言いやが、じゃない仰有ったの(どんだけ肝が据わってらっしゃるんだろう)。爆笑。

 懇親会(立食形式)では、関西のN高校の数学の先生とのお話が面白く。このN高校、教員の新陳代謝が凄いらしいんですね。その数学先生は3年目の28歳でいらっしゃるんですが……。
 N「僕なんて3年目なのに先輩から『君ももう中堅なんだから』とか言われて」
 私「言う先輩は何年目?」
 N「……8年目とか?」
 私「若っ! 僕、14年目ですけど職員室の全飲み会の幹事よ?」
 N「どぺーぺーやないですか」
 そのN高校では、時間割係の権限が強いそうで……。
 N「ウチはもう、時間割変更は絶対ですわ。言われたらへぇへぇ、と。時間割係に逆らうとかありえへん」
 私「へぇ、田舎(F校)は全然違いますよ。時間割って天体支配だと思ってたんですけど、僕、4年やっても『3限か4限かは空けてくれないと、僕はいつお昼ご飯を食べるの?』みたいなのがザラで」
 N「だからどぺーぺーやないですか」

 しばらく体調が悪かったのもあるし、明日も早いので、2次会以降には参加せずにホテルに戻りました(部屋飲みしたけど)。