太田が悪い。

 旅行が楽しみなんでしょうね、3時過ぎには目が覚めてしまいました。二度寝チャレンジは30分弱で諦めて布団を出て、入浴・読書・旅行準備(読む物・着る物・聴く物、等々をバッグに詰め込むだけ)を。
 7時過ぎに母君に電話をして、旅行中にベランダの植木に水をやってもらうお願いを改めて。実質丸5日間家を空けるのですから、寒い中往復して頂くのは申し訳ないのですが、1日起きにでも自宅に立ち寄って頂く必要があります。

 旅行バッグを抱えて8時過ぎの学校へ。1月6日からの生徒引率上京(ビジネスプラン・コンテスト)の事務手続きをしたり、生徒と会ったり保護者に電話をしたり。今夜会う56回生Yくん(塾講師)からはF高入試の問題をお土産に頼まれているので、現物を1セット準備。PC室では、来年5月(黄金週間)の上京のホテルまで予約してしまったり。

 西鉄K駅に出て「梅の花」でランチ。その後、高速バスで福岡空港に向かいます。今回の上京旅行は新幹線ではなく飛行機で往復。担任のためとの前置きで「飛行機の安全性について」という3分間スピーチをしてくれたB組某さんのお気遣いに敬意を表して。
 しかし、飛行機って、何分前までに手荷物検査をとか何分前から搭乗手続きとかやたら厳密に指定してくる癖に、離陸(というか発射)の時間は必ず遅れますよね。今回は離陸(というか発射)の時間が25分遅れて、着陸(というか墜落)の時間が5分遅れました。20分も縮められるんかい、適当だなぁ、と思いました。
 あ、そうそう、読書(後述)に集中してたからか、それとも「3分間スピーチ」の霊験なのか、今回の飛行では恐怖が皆無でした。これまで20回程飛行機に乗ったことがあるんですけれども、もしかして離着陸(というか発射・墜落)に操縦士の「巧さ」ってあるんですかね。
 あと、某さんには申し訳ないのですが、恐怖心がないという条件が同じであっても私は断然新幹線派です。飛行機は拘束時間が小刻み(高速バス・飛行機・モノレール・山手線)で1回ずつが短くてつまんないんです。新幹線(博多→品川)の5時間の自由は(特に行きは)とても豊かで楽しい。勿論、2月のスキー研修引率の憂鬱が減ったことについては某さんに大感謝です。

 さて、池袋の定宿にチェックインして先ずは大浴場で入浴。その後、着替えて出かけた先は新宿。私は新宿では滅多に遊ばない(飲まない)ので、先ず南口の場所が分からず苦労します(東・西口は地下1階で、南口は2階。新宿駅は街です)。本旅行最初の飲み会は56回生の「いつメン」。システムエンジニアNくん(5分前行動)と塾講師Yくん(15分遅れのポンコツ)との3人で新宿「鳥茂」です。
 「鳥茂」は「鳥」と名がつくものの鶏は出さずに豚を出すという「焼きとん」のお店。福岡の「焼き鳥」屋は牛だろうが豚だろうが馬だろうが野菜だろうが練り物だろうが全部「焼き鳥」と呼ぶのですが関東はどうやら違うようで、豚を焼くなら「焼きとん」屋になるようですね。それが「鳥茂」の名前だというんですから福岡人には紛らわしいことこの上なし。で、アラサー卒業生には予め「くそ高い店で、食べログ見る限りお運びは遅いらしいから覚悟ね」と忠告しておきました。私は人生初「焼きとん」で楽しみ。

 特選コース(6500円)
 ・突き出し
 ・豚レバー(以下、串6本)
 ・豚上シロ
 ・つくね
 ・ピーマン肉詰め
 ・牛ロース
 ・豚上顎(串はここまで)
 ・ユッケ
 ・漬物
 ・雑炊
 箸ではなく串2本を使って食べるというのが面白いですね。突き出し(玉ねぎ)はごく普通で、レバーのレア具合は確かに美味しい。Nくんは「上シロが溶ける!」と興奮。お寿司のように少しだけご飯が敷かれていた牛ロースの柔らかさはやっぱり高級店なんだなぁ、と。
 NくんもYくんもお酒は程ほど。私はグラスビール(600円)・瓶ビール(中瓶700円)から日本酒(8勺で800円)を3杯。岩手「豊盃」を全プッシュしてましたけれども、「もりき」で全銘柄飲んでたのでスルー。神奈川「いづみ橋」、栃木「松の寿」、静岡「正雪」を冷酒で。料金は3人で33000円。社会人には奢らないぞということで、Yくん9000円、Nくん8000円、私16000円の支払いで、Yくんが1000円・Nくんが2000円を2次会(っつーか麻雀)にプール。
 珍しく支払った金額を(ほぼ)正確に書いてみました(今回の上京でいちばんの高級店がここ。こんなとこに2回も3回も行けるかっつーの)。で、感想。美味しかったけれども、K市だったら半額以下で同じくらい美味しい串が食べられる。以上。お運びは「食べログ」に書いてたほど遅いとは思わなかったけれども確かにゆったりペース(隣のテーブルの男女二人連れはずっと店員さんに「まだ? まだ?」と文句を言ってました)。

 Yくん(塾講師)に何故F高の入試が欲しかったの? と聞いたら「高校入試国語の解答欄が見たかった」からだそう。市販の問題集では問題を見ることが出来ても解答欄が見られないんですね。成る程。ここから、付属中の問題のクオリティが高い話だとか、私立K高校はいずれ高校募集をやめるんじゃないのかという話だとか、東京の高校事情を色々と。そこに、F校時代の青春を微細に入り穿ちで全部記憶しているNくんが思い出話を被せてくるというトーク
 2軒目(雀荘)からの合流はライターのOくん。「仕事上がりで合流するといっつも雀荘なんだよね~」と言ってる彼ですが、今日の3人の中では唯一30日の56回生同窓会(@福岡天神)に参加するんで、飲んで話してはその時にゆっくりね。卒業生3人は明日も仕事があるので、勿論麻雀は0時終電までのシンデレラクリスマスで、2半荘の結果はもう4人とも±0でいいよ、というほど平たいものでした。「またね~」と、毎週会ってる友達みたいに解散するのも「いつメン」ならではですね。

 さて、そのOくんも読んだそうなんですが、飛行機・モノレール・山手線で読んだ本が今村昌弘『屍人荘の殺人』で、旅行中の読了本はいつも最終日にまとめるのですが、この本に関しては一言二言だけ。
 デビュー作で「3冠」というのでも分かるように、これ、ミステリーとしては一級品です。面白かった、★★★★★。ただですね、やっぱりどうしても言いたいことはあって、先ずタイトルは鮎川哲也賞応募時の『屍人荘~』を発売時に変えるべきでした(選評で北村薫がわざわざアドバイスまでしていたのに)。この作品がどんな煽りで売られるかというのはこれがデビュー作の作者には分からなくても編集者なら分かるべきでこれは編集者が悪い。そして、「3冠」記念で新しく作られたオビ、これが最悪だった(これも編集者が悪い)。ミステリー界の綺羅星が絶賛しているのは分かる、分かるけれども例えば「綾辻行人→青崎有吾→知念実希人太田忠司」の推薦文を順に並べたら、物語の舞台設定・コンセプトからミステリとしての伏線はどこに潜んであるのかまでダダ漏れ状態になります。要するにオビの面々が群がって本を喰らい尽くしてるんですね(お後が宜しいようで)。

 ホテルで健康睡眠。