"I want you" 忘れないでね

 1月2日の日記、最初のタイトルは「耳寄せれば あなたがいる また逢いましょう」でした。これは松任谷由実「Bueno Adios」の一節なのですが、後でもしやと思って検索をかけたら既に2014年12月30日の日記で使っています。重複は避けたいので、タイトルは「いつか来たこの場所に 多分5年は前」に変更。これは、キノコホテル「回転レストランの悲劇」の歌詞からです。
 1月3日のタイトルは、某TVバラエティ番組での中村メイコの発言。1月1日のタイトルは、キャロル・キングの曲名。このように、毎日の日記のタイトルは、芸能・文学畑で印象に残った(つまり、私が「てにをは」レベルまで暗記している)フレーズの中から、その日の記述内容に合いそうなものを選んでいます。1700日以上も続けていますから、ネタが切れることはなくても誤って重複してしまうことはたまにあります。

 私「きみらはさ、美空ひばり宇多田ヒカルとが同じ『古い』って箱に入ってて違いがないわけでしょ?」
 Y「そうですね。例えば、RADWIMPSは新しいけど、BUMP OF CHICKENは古いです」
 私「それ、ロキノン系つながりだよね。僕の中では、両方とも新しい人たちだわ」
 Y「だって、10年違いますよ。十年一昔ですよ」
 私「僕ときみとで年が11違うって年齢差もあるかも知れないけど、10年とかいう長さが問題じゃないの。新しい古いの基準は、長さじゃない」
 Y「じゃあ、何なんですか」
 私「記憶。具体的記憶。例えば、僕は『君の名は。』を観てないから『前前前世』は知らないけど、ボーカルの人が去年ドラマで歌った『ユメマカセ』って曲は好きなんで、僕にとってはRADWIMPSは具体的な記憶に残ってます。BUMP OF CHICKENは、確か天体を観測した人たちだよね?」
 Y「それが10年以上前」
 私「バンドは全然知らないんだけど、確かあの歌が主題歌に使われたドラマが小池徹平のデビュー作だったのは覚えてる。多分、僕が大学生の頃」
 Y「細か」
 私「そういう細かい具体的な記憶で残ってる人たちは新しいの。更にその10年以上前に、ユーミンの『ANNIVERSARY』って曲を小学校のクラスメイトがリコーダーで吹いてて、これも具体的記憶だから新しいの」
 Y「25年くらいが新しくないです?」
 私「そう。で、そういう具体的な記憶が薄れてなくなってる人はいつの時代の人だろうが古い人になるの」

 「古い」箱に入ったら、10年前の人も50年前の人も何らかの形で(例えば活躍時期で)順列化されることなくのぺ~っと一緒くたになる。58回生Yくん(26才)の頭の中では、宇多田ヒカル松田聖子松任谷由実美空ひばりとが同じポジションで区別無く抽象的に存在している(るつぼの中でごちゃごちゃになっている)んです。
 「新しい」箱の中では、各アーティストが具体的記憶と共に独立して存在していて、整然と並んでいます。古い人でも、保存状態の良いアンティークみたいな感じでピカピカ・活き活きしている。だから、そういうアーティストの曲のフレーズは即座に思い出すことが出来ます。日記のタイトルのネタが枯れない所以。

 さて、何の話をしているのかというと、Yくん(野村総研)のお仕事の話。最近は音楽業界の人相手に仕事をしているそうで、聞けばCDが売れない(プレス工場が稼働しねぇ!)と悩んでいる業界人に(上から目線で?)助言するお仕事。
 私「筆者忘れたけど、『ヒットの崩壊』って読んだ?」
 Y「読みました読みました」
 私「あれが全てだよね。CDはもう売れない」
 Y「でも、業界の人って、売れない理由が分かんないというか考えようとしてないというか」
 私「50代とか60代とかの人なんでしょ? じゃあ、98年(CDが最も売れた時代。宇多田ヒカル椎名林檎aikoMISIA浜崎あゆみのデビュー年)が『古い箱』に入ってないんでしょう」
 Y「だって、20年前ですよ? 十年一昔ですよ?」
 私「同じ話、もっかいする?」
 個人で音楽を楽しむレベルだったら、「古い/新しい」の区分なんて個人の記憶レベルで考えりゃいいんでしょうけれども、モノを売るとなりゃ話は別ですよねぇ。
 ここから話は、CDは売れないのに何故JASRAC著作権使用料は右肩上がりな(音楽業界自体は一貫して活性化している)のか、というお話へ……。

 Yくんと2人でお話をしているのは近所の肉料理屋「I」のテーブル。本日は、58回生「いつメン」と年に一度の飲み会です。昨年、東京で開催されたユーミンの記事展の図録を代理購入してくれたのがYくんで、本日はそのお礼を兼ねて新年会を開くのです。で、参加のMくん(銀行)・Iくん(医者)・Oくん(医者)がそれぞれ時間差でやって来る(五月雨式に乾杯をする)のを待つ間、Yくんと仕事のお話をしていたんですね。

 Yくんは高校時代からTVを全く観ていないそうです。パソコンゲームにはまって部屋に籠もりきり、居間のTVには見向きもしない高校生活を経て、大学でも社会人になっても家にTVを置かない。
 私「じゃあ、どうしても観たい番組があればスマホで?」
 Y「いや、だから、そのどうしても観たい番組という概念が存在しないんです。どんな番組をやっているのかを知る手立てが無いから」
 私「あぁ、そうか。愚問すまん。あ、僕も同じ。『CDデータ』も『WHAT's IN?』も『オリ☆スタ』も休刊になって、紙媒体でのアーティスト情報がなくなったら、TV観ないしネットも巧く使えない情弱のオッサンに新しいアーティストを知る手立ては無いです」
 TVとCDとがこんなに弱くなる時代が来るってのは、確かに20年前は想像してなかったよなぁ。

 Oくん(医者)は緊急オペが入ったということでドタキャン、これは医者あるあるですね。Yくん(商社)のお代は私が全額負担するとして、Mくん(銀行)とIくん(医者)とからは、Yくんとの差異化のために参加費を徴収します。で、乾杯の前に任意の金額を出すようにいったらMくんが4000円も出そうとして、Iくんに至っては7000円も出してきてびっくり。医者凄ぇな(二人からは3000円ずつ貰いました)。
 お金の話。社会人2年目が同窓宴会なら給料ネタは不可避で、11才下のIくん(福岡で医者)・Yくん(東京で野村総研)は当然のように私より上。K市内で銀行員のMくんは私より下でしたが、もしも同じ年なら彼の方が遙かに上です。Yくんからは「(月収手取りが)年齢万円ないんですかっ!?」と驚かれました(んなもんあるわけないやないか)。Iくんは「金があっても使う暇がない」とこれは医者・自衛隊あるあるです。

 何だか時系列がぐちゃぐちゃですが、本日の日記、以下。
 午前中、学校で高2冬休み課題テストを作成。昼食は市内の居酒屋「U」にて、ビール2本・日本酒1合、良い感じに酔っ払う(この席にて今年に入って初めて本を開きました)。市内を2時間散歩、帰宅後に入浴、書斎で書き物。19時から58回生3人と飲み会、二次会はK市内のラーメン「M」(現在のF校生の魂食)にて麺とビール。Iくん・Yくん曰く、彼らのソウルフードはやっぱり「大砲」じゃないとダメなんですって。