命知らずを乗せてはるかに 飛びたつ ブライスター

 5時起床、入浴後に部屋で読書。6時40分に生徒のうち一人にモーニングコール。4人の内一人は、昼過ぎに福岡で行われる数学オリンピックの予選に参加するために先に帰るのです。チェックアウトの方法と空港までの道順(乗り換え)とを確認。

 7時過ぎに朝食。K市の「日常性」の中では、朝・昼食べない夜は飲む、飲むときもできるだけ炭水化物は摂らない(腹がふくれて他の肴が食べられないから)という方向性で、お米を1~2週間口にしない(日本酒は飲むけど)というのも珍しくないのですが、日本人ですし米が嫌いな訳ではない、どころか積極的に好き。なもんだから、「非日常」ホテルビュッフェなんてのに来ると大変なことになる訳で、海苔で1杯、ゆかりで1杯、納豆で1杯、とかね。これ以上太ったら仕事に影響が出そうなのに。

 8時45分に生徒3人とロビーで待ち合わせ。チェックアウトの後、「お茶の水→(京浜東北線)→品川→(京浜空港線)→羽田空港」の順で羽田に向かいます。品川を経由するのはお土産を買う為。ビジコン優勝の賞金は2万円なのですが、一人5000円なら賞金というよりかは「お小遣い」で、お友達や家族のためのお土産で蒸発してしまうんでしょうね。品川駅で25分、空港で25分の自由時間をとりました(これまた観光の一種かも知れません)。私は、品川でHさんへの「品川珈琲」やB組41人への「和ラスク」などを、空港で母君へのお土産を購入。
 そういえば、品川へ向かう京浜東北線の中では興味深いデータ。9人一列の座席の真ん中に3人のF校生が座っています。彼らは並んでじっとしていて(車窓を眺めてるのかな)、時折お喋りをするという感じ。列の中には他に3人の男性が座っていましたが、全員スマホを弄っています。ふと周囲を眺めて数えてみたところ、車内周囲の(眠っていない)35人の中、スマホが28人、じっとしているのがF校生3人、新聞が1人、読書が(私を含めて)2人、手帳に書き物をしているのが1人でした。

 羽田空港に着いたときに、生徒の1人がチケットを忘れた(ホテルから自宅に送った荷物に入れている)との話。A4のプリント1枚に読み取りバーコードがついてるのが往復の「チケット」という形式なのですが、要は紙切れ1枚です。こんな紛失しやすいものを失くしたら「はい、それまでよ」なんて阿呆な制度があるはずはありませんから(そんなこと言われたら暴動ものです)、そんなに「すみません、すみません」と謝るほどのことではない。
 それこそ偶然にも昨夜TwitterのTLで見た話が、大事なものを失くして悲しんでいる男の子を母親が注意不足と叱ったら「悲しんでいるんだから叱らないで」と言われてハッとしたというエピソードでして。成程、ここで「すみません」という生徒を叱るようなら確かにアホだ。
 実際、窓口に行けばあっという間に解決。身分証と電話番号暗唱で一発。生徒たち、「こんなに簡単なの?」と拍子抜けしています。

 ただ、アレですね。確かに失くした・忘れたが面倒くさいことになる場合はある。例えば。
 センター試験や2次試験の会場に受験票を忘れる人は絶対に居る。いくら大事な場面だからって、普段の教室でアレを忘れたこれを失くしたという友人(或いは自分?)を見てればそれくらい分かる。実際、200人の学年なら2人~3人はそうなる。だったら、受験票再発行の窓口(救済措置は必ずあります)が、5000人が受験する会場なら60人とか70人とかのうっかりさんでぎゅう詰めになることは直ぐに分かります。精神的な負担もそうでしょうが、物理的な時間のロスも大きいでしょうね。
 教員「だから、忘れた失くしたには気をつけましょう」
 生徒「はい……」

 さて、帰りの飛行機。搭乗口の案内を見ると、一人1000円(現金とっぱらい)で「Jクラス」なる特別席にアップグレード可能だということです。「Jクラス」ってのが何なのか一切分かりませんが、私は使ってみたいぞ(飛行機なんて滅多に乗らないし)。ファーストクラスへのアップグレードなら一人8000円らしく、その差を考えたら「Jクラス」というのは大したものではないと想像できるものの、まぁ経験が大切ということで。
 教員「Jクラス、乗ります!」
 生徒「「「おぉ~」」」
 この「おぉ~」という半笑いの為に4000円払うのは高くない派です。

 因みに、座席幅が「少し」広い、椅子に使われている革が上質、選べる飲み物の種類が多い、等の売りがあるこの「Jクラス」席、座り心地が良かったのか生徒3人はほぼずっと爆睡でドリンクすら頼んでねぇという味わい方でしたが、疲れてただろうから90分ちょっとの爆睡が1000円なら安いのかも、という評価。私にとってとにかく有難かったのは前方席だということで、直ぐに降りることができたのが最高でした。

 13時30分に福岡空港着。空港内のレストランで4人でランチを食べて、私は寮生2人と一緒に高速バスでK市へ戻りました。3人でタクシーで学校入り、生徒2人と別れて職員室でデスクワーク。明日は始業式・課題テストなので、モードを切り替えないといけません。

 旅行、じゃない出張中に読了した本は以下。
 ヴァージニア二等兵異世界居酒屋「のぶ」(5)』読了、★★★★。メディアミックスまで追う気はありませんし、元の小説も読みませんが、このマンガは上質だと思います。同僚(先輩)の関西数学先生(職員室を代表する読書家)からも高評価です。
 西原理恵子毎日かあさん名言集 あなたが笑うと、あなたの大切な人が笑うよ』読了、★★★。完結記念。最近は色々言われている作者ですが、子どもを手放した後なら別に良いんじゃないでしょうか。
 伊藤潤二伊藤潤二研究 ホラーの深淵から』読了、★★★★。一時期は才能(想像・妄想・発想力)の枯渇を本気で心配していた(半ば諦めていた)のですが、何とか再浮上していただきたい。今は原作付きでリハビリ(?)中、待っている読者は世界中に居ます。1月期のアニメは……DVD待ちかな。
 内田樹ローカリズム宣言 「成長」から「定常」へ』読了、★★★★。以前から時々使う表現ですが、内田センセイのベスト盤(DJリミックス)。今回の「ビジネスプラン・グランプリ」が正にそうだったのですが、来賓の政治家が「生産性を上げろ、若者はポンポン起業しろ」とナンセンスな挨拶をしているのを余所に、真摯な高校生は第一次産業や伝統工芸への回帰を(地に足のついたプランで)真剣に考えています。筆者の若者世代への期待の眼差しに共感。
 唐沢俊一『僕らを育てた声 飯塚昭三編』読了、★★★。おなじみのシリーズ、出たら買うよ。インタビュアーの「昔は良かった」誘導に、飯塚氏は気前よく乗ってくれている印象。「遊芸」の話は面白かった(というか、教員にとっても大事な話だと思いました)。