アカシアの雨にうたれて このまま死んでしまいたい

 健康起床、入浴。荷物の学校配送手続きを済ませてチェックアウト。肩掛けのバッグ1つの軽装で、8時にホテルを出発したら渋谷着は8時25分。山手線は発車の感覚が短い(今発車した電車の最後尾が駅のホームから出て行く前に、次の電車の「間もなく電車が参ります」アナウンスが入るレベルな)ので、待ち時間を全く考慮せずに純粋に徒歩・電車の時間を足し算すればそれが移動時間なのです。徒歩10分、電車15分。

 朝の8時半に37歳(47回生)の私と、その教え子28歳(56回生)3人とがハチ公前で待ち合わせる。37歳私はど泥酔旅行の数日間で既に3㎏程度太ってる、28歳ライターOくんは「こんなに早く起きたの初めてだよ~」とか言いながら一番乗りでゲームしながら時間つぶし、28歳塾講師Yくんは昨日の飲み会でやらかして家に帰れずネカフェ宿泊の挙げ句「エクセルシオールに居るから迎えに来て~」、28歳エンジニアNくんだけが朝会っても昼会っても夜会っても変わらず飄々としたもんですが飲み始めたら最初に潰れるのはこいつと相場が決まってます。
 8時半なんて健康的な時間に集合した4人、塾講Yくんに言わせりゃ「朝活」なる時間帯に揃ったメンツで何をするのかと言えば……私「日曜の朝なら、大学生がまだ居たりするんじゃない?」 N「いやいやいやいや、大学生が本格的に動き出すのは来週末からでしょう」 O「ほとんど客は居ないと思う」 私「そっか。じゃあ、F校卒業生に会う確率はゼロだな。じゃ、気兼ねなく飲めるじゃん」 N「先生、朝からビール飲むの?」 私「どうせ昼に飲むんだし同じだよ。凄いクズっぽく見えるかも知れないけど、卓を囲んだら同罪だからね」

 はい、朝の9時から「いつメン」で麻雀です。徹マンよりは100倍健康的。吸わない、賭けない、残念ながら私のせいで「飲まない」ではないですけれども、11時30分のランチまでジャラジャラと4半荘のお遊び。各自持ち込み(「ZOO」は持ち込み可)の飲み物とおつまみ(重ねて言いますが飲んでるのは私だけです)とを食しつつ。あ、こないだ63回生Oくんからもらったおかきを開けたらとても評判が良かったです。

 いつものようにOくんが沈んでお開きとなり、渋谷「ZOO」から徒歩5分のお店(予約済み)までとぼとぼと移動します。
 N「流石に雀荘で卒業生にバッタリとかはないんでしょ?」
 私「でも、上京数泊の間に、お互いが気付くかは別にしても、必ず知ってるF校卒業生とは偶然のすれ違いがあるよ」
 N「必ず?」
 私「(理系、拘るね)まぁ、大体必ず……ほら(会釈)」
 Bunkamura近くのポルトガル料理「マヌエル」へと向かう途中で、向こう側からやって来たのは63回生理系Hくん。野球部の監督を務める人格者です。東大から渋谷へ徒歩ならBunkamura経由になりますので偶然の邂逅もありますね。

 と、オープン11時30分の店に4人で入り、ランチから合流の56回生Sくん(商社マン)を加えた5人で先ずは乾杯ビール(私以外の4人はワインを選択)。メインを選べるランチコースに飲み放題を付けて1人3500円。前菜4種、サラダ、メイン(鱈鍋)、デザート……を、絵恋チャンのアクキーと一緒に写メってオツカル様に送る、田舎教師の「えったんこ飯」デビューです。S「先生、何それ」 私「えっと、アクキー。話すと長いんだけど……」 地下アイドルの話は場が持ちます。
 さて、宴も闌の13時に、しかし私は万札1枚を置いて先に店を出ることになります。羽田発の飛行機の時刻が14時15分だから。75分で機上の人になれるのか私、小瓶ビール4本とワイン5杯で結構酔っ払ってるぞ!

 ……結論としては間に合ったんで流石俺って思ったんですよ。飛行機に乗るまでは。でもさぁ、朝からビール飲みながら麻雀やって昼も宴会コースとかいう巫山戯たことをやってたら、神様からのバチが当たるみたいでねぇ。
 上京中に必ずF校卒業生と偶然の邂逅があるってのを、実際にHくんとすれ違って証明したその3時間後にさぁ、飛行機の座席が在校生と隣同士になるという偶然の邂逅があるとかさぁ。多分、高校生だと思うんですよ。学校でお見かけしたことが何度かあるお顔だったんですよ。新高2とかかなぁ。
 その在校生の隣に乗り込んできた教員がさぁ、選りに選ってかなり酔っ払ってて絶対無敵に酒臭ぇ! という状況なわけですよ。何を間に合ってんだ乗り遅れろよ俺、という後悔も虚しく飛行機は離陸をし、大概飲んでるもんだから早々に寝落ちて目覚めたら福岡空港だったんで、珍しいことに飛行機は全く怖くなかったんですけれども……
 ……恥ずかしさで消えてしまいたいと思いました。名も知らぬF高のあなた、本当にゴメンなさい!

 福岡空港西鉄K駅→タクシーで「もりき」へ。ここでお土産を渡すところまでが上京旅行です。

 最後に、旅行中の読了本。今回は少ないですね。山口瞳を皆勤して、事前の直観通りの上質な(且つ好きなタイプの)文章だったことがとても嬉しいです。
 山口瞳山口瞳ベスト・エッセイ』読了、★★★★★。
 富澤一誠『あの頃、この歌、蘇る最強伝説』読了、★★★。
 佐藤さつき妖怪ギガ(2)』読了、★★★★。
 江口夏実鬼灯の冷徹(26)』読了、★★★★。
 たら子『天地創造デザイン部(1)』読了、★★★★。
 シタラマサコ『おそ松さん(6)』読了、★★★。