にがくてあまい

 今年度の「男く祭」では(でも)講演Pの顧問。今回のテーマはLGBT(若しくはSOGI)ということで、何冊かの本を読みましたし、1月期のドラマ『女子的生活』も観ましたし、4月期のドラマ『おっさんずラブ』も観るつもり……なんですけれども、『おっさんずラブ』は一昨年の単発ドラマが完成品だったので連ドラ化は間延びが心配です(例え脚本が良くても、落合モトキ→林遣都のキャスト変更は残念だし)。そして、それよりも何よりも、単発ドラマの時に「気持ち悪~」「やっぱ性別って大事」等、デリカシーの欠片もない主演コメント(HP残存)が光りまくった田中圭の今後の発言が気になります(『女子的生活』に関してお手本のように見事なコメントを発していた志尊淳を見習わなくては!)。

 本日の私は一日心身を貸し切りで、母君との日帰りバス旅行に出かけます。昨年11月に山口出かけたのに続くバスツアー第2弾、目的地は佐賀で、長い長いツアー名は「松浦鉄道『お花見列車』桜のトンネル・川上峡貸切『屋形船』と『伊万里牛セイロ膳』の昼食」。一時期の2時間ドラマと同じで、タイトルオンリーで全てを語り尽くす意欲に満ち満ちています。一人8000円弱の格安ツアー、キャンセル待ちに滑り込むことが出来たのですが、さて母君にお喜び頂けますかどうか。

 9時に西鉄K駅前を出発したバス、鳥栖で途中乗車のツアー客を乗せてから伊万里方面へ向かいます。今日のバスガイド男性氏は、前回の女性氏が移動中地域についての(観光メインの)蘊蓄を語り尽くす饒舌さだったのとは違って、喋るのはあまり得意ではない様子。しかも、例えば「伊万里牛」について話す時にも歴史や等級の話程度をサクッと終らせるような形ではなく美味しい料理法や肉の見分け方等あんまり旅行に関係ない方面に話が脱線していくタイプの人で、満席高速バスの視聴率(聴取率)はあまり高くありません。元はバス旅行に頻繁の客から添乗員に転じた(旅行会社の中にそういう採用制度があるそうです)と言っていた割には、観光蘊蓄が好きじゃないのかなぁ、という感じ。バスツアーはバスの中に居る時間が半分以上ですから、添乗員(バスガイド)の当たり外れは大きいな、と。

 ツアー最初の訪問地は、なぜ伊万里で博多名物なのかは解りませんが(旅行会社との契約があるんでしょうね)「鮮鼓堂」。カラシメンタイコが名物の土産物店です。
 私にとっては願ったり叶ったりのシャッターチャンスですので、義務のように絵恋ちゃんのアクキーを取り出して色んな商品(絵恋ちゃんの代表曲「カラシメンタイコ」にまつわるもの)と一緒にお写メり、お写メり。気が早いですが、事務嬢さん、Hさんへのお土産はここで買ってしまいました。絵恋ちゃんつながりで、虎ノ門のオツカル様職場にもカラシメンタイコ(高級品)を送りつけます。

 前回11月のバスツアーは雨模様の一日で天気に関しては残念だったのですが、今日は快晴、暑くも寒くもなく良い日和です。今年は少し暑くて桜が咲くのが早かったのですが、松浦鉄道浦ノ崎駅」(有志管理の桜街道が有名)の桜は美しく咲き残っていて、散り始めた桜は地面を薄紅色に変えて、正に見頃の絶景でした。浦ノ崎駅から伊万里駅までは松浦鉄道で移動、その後は伊万里駅まで先回りしていたバスに乗って有田ポーセリンパークへ向かいます。

 有田ポーセリンパークは、オープンしたての頃にF中学年行事で出かけた記憶があります。以来四半世紀ぶりの再訪ということになりますね。そのポーセリンパークですが、25年前は焼き物の絵付けをしたりヨーロッパ町並み再現の建物を見物したりと割と楽しかった記憶があるんですが、今はもう完全にバブルの遺物になってました。
 良い具合に荒廃したパークはとっくの昔に某焼酎会社に経営を移譲しており、ポーセリンよりも「のんのこ」焼酎の販売所という色合いが濃くなっています。焼き物の歴史や逸話を書いた看板はボロボロに錆びきっており。今日は平日昼時で敷地内閑散。ただし、大量の観光客に食事を提供できる設備はあるので、複数のツアーバスが客に昼食を食べさせる(土産物屋を覗かせる)ため「だけ」に立ち寄っており、我々母子にも食事と20分程度のお土産購入が可能な制限時間が与えられた上で食堂に連れて行かれました。

 昼食は確かに看板(ツアー名)通りの豪華さ(というか、分量)だったかな。小さなステーキ丼とそぼろ丼、伊万里牛のせいろ蒸し、茶碗蒸しに刺身にという定番の小鉢類……と、普段昼食を食べない私、鳥のように小食な私、は義務のように食べながら目を白黒させています。向かい合って食事の(同じツアーに参加の)お二人は、母君よりも一回り程度年上だと思われるご姉妹で、私たちが親子だと知ると「お母様思い!」「珍しい親孝行だわ!」と盛んに感心して下さいました。これ、親孝行なんですかね。
 嬉野茶や有田焼のスプーンなど、幾つかのお土産を買い込んでバスに乗ります。バスに乗る前にお手洗いにも行きましたが、病と薬の副作用とで動きに不自由のある母君は、お手洗いも普通の60歳の倍以上の時間が掛かりますので、制限時間がある行動を共にするとちょっとドキドキします(イライラする時期が過ぎる程度には病気との付き合いが長くなりました)。動きの不自由というのは、具体的には視力・握力の低下と歩行速度の鈍化ですね。

 ツアーは続いて「増田の小城羊羹」で羊羹と嬉野茶との振る舞い。まだ食えというんかいという話ですが、バスツアーに参加するような元気なお年寄り(女性率が圧倒的)というのは食べますね。車内でもず~っとお茶飲んだりせんべい食べたり、止まらない止まらないで見ている私も母君も目を白黒させています。しかし、確かに試食の羊羹は美味しかったので全部頂きましたし、母君のお茶請け用にお土産の羊羹もしっかり購入(一緒に丸ボーロも猛プッシュされましたが、F高63回生の担任として丸ボーロを買うお店は一択と決めておりますので、ここではお断りしました)。そういえば、この試食の時にも、隣に座った高齢のご夫婦から親孝行だと褒められ、何だか親孝行って簡単なのかなぁ、となったり。

 さて、最後に寄ったのは川上峡。川を横断する形で何百もの鯉のぼりが飾られており、その下を屋形船で15分ほど潜る(鯉のぼりを下から眺める)というのが趣向で、屋形船の乗り降り(揺れます)が母君に可能なのかと事前に心配していたのは何とか杞憂に終りました。下から覗く鯉のぼりは確かに圧倒的、数は力です。
 関係ない話ですが、「山家には少し早めの鯉のぼり」という句があります。有名人ではなく子どもが作った作品で、私がF校に赴任して初めて担当した学年(高校56回生で、当時は中3でした)の誰かが中2の時に詠んだものです。4月末の高良山歓迎遠足で見た風景を元にしているそう。赴任の翌日にそれを見た時にはその巧さに「へぇ!」と感心したのを今でも覚えており、以来鯉のぼりと聞いて思い出すのはいつもそれです。
 屋形船から降りてた後の休憩時間で、母君が露店のかき氷が食べたいと仰いました。そういうものをご所望というのは珍しいことなので、これは機嫌の良い証拠だと即座に買いに走りました。実際には3口、4口程度しか召し上がらない(残りは私が食べる)のですが、まぁ良かれと思って。

 K市に戻る頃には既に日は落ちて19時。お土産で両手が塞がったまま、タクシーで家まで一直線です。お腹はいっぱいで夕食が入らないという母君は、お疲れもあってそのまま就寝。私は母君がお休みになったのを見届けてから、20時前に「もりき」に入りました。Hさんも合流なさったので、そこで「鮮鼓堂」で購入のお土産をお渡し。
 1時間半ほど飲んで帰った後、私も22時頃に健康睡眠。