狂女の檻

 7時前に学校入りしてデスクワーク。本日は、新学期初日で午前中が始業式・新任式(今年は、4名の常勤講師の先生が新しくお出でです)、午後が入学式。明日の日曜日を挟んで、来週月・火曜が春休みの課題テストという日程です。

 F校には存在しないのですが、福岡県下(他九州一部地区)の高校で常態化していたのが「0時間目」という制度。7時半からの「朝課外」が、自由参加の「課外」という名でありながら実質的に必修の授業(則ち「遅刻」「欠席」の対象)となっていた制度です。ここで主要五教科の授業が行われていたのですが、これが今年度より県の指導のもと完全な「課外」(授業の対象外)になることが決定した、と公立経験がおありの数学先生から伺いました。これまでは事実上容認されていた「県下全高校の全生徒が一人残らず朝課外に出席希望」という建前が不可能(不許可)になる。つまり、毎日の「0時間目」が消える分、そこで稼げていた主要五教科の授業時数が減ることになります。これは成績下降が確実、各高校への打撃は間違いありません……とまぁ、きっと監視の抜け穴を各高校が探して「いたちごっこ」が始まるんでしょうけれども。
 驚いたのは、その不許可への流れに棹をさしたのが『月曜から夜ふかし』の取材だったという噂。本当ならマツコ凄いな、と。

 始業式、HR活動(評議委員や班構成を決めたり、回収物を集めたり)で生徒は半ドン未満(10時過ぎには全て終わっています)。高3生は文化祭の準備活動(明日の日曜と、課題テスト初日である月曜の午後とは勉強に集中するという「建前」なので、堂々と活動出来る今日の放課後は大切です)。

 授業に必要な書籍を購入するために血痰ネーミングショッピングモール「You Meタウン」へ行ったら、1階のイベントスペースで北海道の物産展をやっていました。買うともなしに冷やかそうと近づいたのですが、試食を勧められた数の子松前漬けがエラいこと美味しかったので迷わず200g購入。味が濃いものがお嫌いな母君ですが、多分これを生野菜と和えたら美味しいと思って下さるでしょう(私は、納豆と混ぜて白飯にかけます)。

 夜は、母君を自宅に残してHさんと『ラ・カージュ・オ・フォール』@シティプラザ。昨年の『シスター・アクト』がとても面白かったので、いつか別のミュージカル・コメディにとお話ししていたのですね。市村正親鹿賀丈史両氏がK市で共演するのは劇団四季時代以来40年振りのことだそうです。
 私は『シスター・アクト』の後で『パジャマ・ゲーム』も鑑賞しているので、『シスター・アクト』に出演していた森公美子今井清隆両氏、『パジャマ・ゲーム』の主演だった新納慎也氏が同じ舞台に立っているのを観て「ミュージカル界、狭いなぁ」って思いました。でもって、観ながら多分そうなんだろうなぁと思って(後でまっきょんに確認したら)果たしてそうだったのですが、指揮も『シスター・アクト』と同じ方(塩田明弘氏)でした……ってか、あんなに跳んで跳ねて客席煽ってみたいな指揮者が2人も3人も居るこたぁないよねぇ(一瞬、ミュージカルの指揮はそれが原則なのかなぁ、と疑ってしまうところでした)。だからでしょう、修道院っぽく部屋を模様替えするシーンがあったのですが、そこにモリクミ氏が入ってきた瞬間に「デロリス!」ってなりましたもん(隣がオハラ神父だったし)。

 さて、『ラ・カージュ・オ・フォール』。主人公の鹿賀丈史がオーナーを務めるのは「狂女の檻」の名を持つゲイクラブ(これが劇タイトル)で、舞台の半分はそこで行われるレビュー。残る半分は鹿賀丈史市村正親夫妻(「妻」はクラブの花形)の愛情交歓。前者ではとにかく新納さんの美声と美脚に圧倒され、後者はきっとオールドファンには溜まらない極上の機微・雅味なんだろうなぁ、とこれは新参には届かないハードルがありそうだという印象。ジャン・ミッシェル(木村達成)くんの不自然なまでの幼稚さは後半への布石だと分かっていても(分かった後も)イライラし通しだったし、あぁこれは私の修行が足りないんだろうなぁ、なんて(正直にイライラするのも味わい方の一つなのかもしれませんけれど)。
 面白かったか面白くなかったかと言われれば面白かったんですけれども、どっちかと言えばレビューシーンの見事さと鹿賀丈史の美声とばかりに目と耳とを持って行かれて、ぶっちゃけストーリーはそこまで気にならなかった印象。Hさんとも、『シスター・アクト』はまだ何度か観たいけれども、こっちは1回でいいかなぁ、なんて話を。初心者初心者。
 あと、大した話ではないですが、前半クライマックス「ラ・カージュ・オ・フォール」の中で全員が「ネ・ス・パ!」って叫んだのは面白かったです。相槌って、やっぱり日本語に訳しづらいんでしょうね。京大過去問(林達夫)の語注で覚えてなかったら、聞いても何を言っているのか分からずに一瞬混乱したんじゃないかな(そうそう、どの出演者さんも、日本語の歌詞がスッと入ってくる歌唱をなさっていたのが印象的でした……って、こんなのが歌の感想になる程度には、最近歌詞カード無しでは言葉が分からない歌が多くなったんです……流行歌の側の問題かこっちの耳・脳の側の問題かというのは置いといて)。

 場内のチラシで配られた藤原竜也椎名桔平の『レインマン』(8月)は観たいぞ! とこれまたHさんと意気投合。シティプラザ、めちゃめちゃ豪華なのが来ますね。チケット、買えるかなぁ。
 遅めの夕食は自宅近くの肉料理「I」で、Hさんと観劇の感想を交わしながら。